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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784062922715
作品紹介・あらすじ
12世紀初頭、十字軍の聖地奪還により誕生したテンプル騎士団。イェルサレムの防衛と巡礼者の守護を担う騎士、教皇に属し厳格な規律に生きる修道士、東西文化交流の媒介者、莫大な資産を有し王家をも経済的に支える財務機関。近代の国民国家や軍隊、多国籍企業の源流として後世に影響を与えた謎の軍事的修道会の実像に、文化社会学の視点から迫る。
みんなの感想まとめ
歴史的な背景と文化の交錯を描く本作は、12世紀初頭に誕生したテンプル騎士団の興亡を通じて、当時の社会情勢や政治的陰謀を鮮やかに浮かび上がらせます。騎士団は、武力と莫大な資産を背景に、フランス王フィリッ...
感想・レビュー・書評
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武力と莫大な資産を持つがゆえにフランス王フィリップ4世に異端として滅ぼされたテンプル騎士団。
各地に分散した拠点と軍隊を維持するために優れた財務システムを整備し、テクノクラートとしてヨーロッパ各国を経済的に支え、彼らが作り出した金融業務や組織体制が近代の株式会社などに影響を与えたという視点は新鮮であった。
また、中東におけるキリスト教徒の内部対立、イスラムやモンゴルとの勢力争いなどの歴史も紹介されており、それほど厚くないながらも充実した一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
テンプル騎士団の創立から滅亡まで詳細に書かれていました。
騎士団の財産を狙ったフィリップ4世の策略で滅んだとは知っていてもフィリップ4世と教皇との様々な遣り取り等は知りませんでしたし、騎士団のシステムが近代の株式会社に生かされているとも知りませんでした。色々と知ることができる内容の濃い本でした。 -
「Assassin's Creed(アサシン・クリード)」は、フランスのゲーム会社Ubi softが手掛ける人気ゲームである。
プレイヤーは近未来と過去を行き来し、「エデンの果実」や「かつて来たりしもの」といった人類誕生の謎にまで迫るストーリーを軸にながら、アサシン教団の1人としてテンプル騎士団と戦う。
本ゲーム作品の面白さは、世界の歴史的な事件を「アサシン教団 VS テンプル騎士団」の物語として上書きしているところにある。
例えば、第1作は十字軍とイスラム教徒の戦いを舞台とし、イスラムの英雄サラディンが(名前のみだが)登場する。
第2作ではルネサンス期のイタリアを舞台にし、チェーザレ・ボルジアをはじめとするボルジア家は敵役のテンプル騎士団の一員として登場する。このチェーザレ・ボルジアは人気マンガ『チェーザレ』(講談社)の主人公と同一人物である。
一方、『君主論』で有名なマキァベッリは味方のアサシン教団の一員として登場する。
第3作でもアメリカ独立戦争を舞台としてジョージ・ワシントンやチャールズ・リーが登場し、第4作でもカリブ海の海賊時代を舞台としてバーソロミュー・ロバーツや、通称「黒髭」で知られるエドワード・ティーチ(本作ではエドワード・サッチ)が登場するなど、史実とリンクさせている。
本書『テンプル騎士団』(講談社学術文庫)はこのゲーム作品で敵役として登場する「テンプル騎士団」について、文化社会学者が解説したものである。
(誤解を避けるため念のために書いておくと、本書は1972年に刊行された単行本の文庫版であり、もちろんゲームを解説するために書かれたものではない)
ゲーム「Assassin's Creed(アサシン・クリード)」では、テンプル騎士団の末裔は近未来において「アブスターゴ社」という大企業を隠れ蓑として活動しているが、これは実はそう現実離れした設定ではない。
現代でも、テンプル騎士団の後継を自称する組織としてはロータリークラブ、ライオンズクラブといった社交団体、あるいはフリーメイソン、薔薇(バラ)十字騎士団などが紹介されている。
また、テンプル騎士団はドイツで生まれた株式会社の源流であり、企業統治のあり方はテンプル騎士団のノウハウが活用されているそうだ。
さて、そのテンプル騎士団はどのようにして生まれたのか。
それを知るにはローマ教皇の命令により出征した十字軍の歴史をたどる必要がある。
1099年の第1回十字軍は、イスラム教徒が平穏に暮らしていたエルサレムを突然襲撃する。当時のイスラム文化はキリスト教側と比較にならないほど豊かであり、略奪が目的の侵攻だったと思われる。
このときエルサレム住民は、アラブ側の記録では10万人におよぶ人々が虐殺されたという。
なお、当時のイスラム教は寛容であり、エルサレムはイスラム圏でありながらも、キリスト教徒やユダヤ教徒の巡礼は認められていたというから、宗教上の問題として、この十字軍による侵攻・略奪について正当性はないと思われる。
とりわけ第3回十字軍を率いたリチャード獅子心王は、十字軍の残虐さの象徴でもあり、毎日2000~3000人のアラブ人捕虜を殺害し、内臓を切り裂いて、捕虜が飲み込んでいた財宝を取り出したという。
しかしキリスト教側は、文化だけでなく軍事的にもイスラム側に劣っていた。
第2回十字軍以降は敗退を重ねただけでなく、襲撃に向かったはずの西欧人が豊かなイスラム文化に魅了されイスラム圏に住み着くことになる。
テンプル騎士団はそういった状況下で1118年に修道会として創設された。
ローマ教皇の認可を得た修道会だったが、大きな自治権を与えられる。
十字軍の遠征に参加するが、やはり次第にイスラム側に感化され、キリスト教側とイスラム教側の仲介役のような存在となる。
特筆すべきはその財産で、騎士団のメンバーは私有財産を全て寄付し、さらに戦争の勝利により褒賞や土地なども得る。
その結果、テンプル騎士団の財産は国家予算をはるかに超えるに至り、フランス王などが多額の借入を行った。
「通帳」や「手形」といった現代にも使われる金融手段も、テンプル騎士団によって生まれたという。
国家を超える富を持ち、キリスト教側へもイスラム教側へも影響力を持った組織であるテンプル騎士団は、今でいうならGoogleやTwitter、Facebookのようなグローバル企業のようなものかもしれない。
だが、最終的にはテンプル騎士団から多額の借金をしているフランスのフィリップ美王が、その借金から逃れるために陰謀を用いて、キリスト教皇により異端者とされたことにより解体され、テンプル騎士団の最後の総長は1314年に処刑される。
しかし以降、そのノウハウや教義が様々な組織に継承されたのは既に書いた通りである。
なお、ゲーム「Assassin's Creed(アサシン・クリード)」でプレイヤーが扱うアサシン教団も、本書では「アササン騎士団」として登場する。
本書によればイスラム教イスマエル派スキート教団を源流とし、第1回十字軍に対抗したところからその存在感を現したとされる。
歩行でゆっくりと軍を進めるキリスト教軍に対し、アササン騎士団は俊足のアラブ馬により神出鬼没、疾風のごとく死体を生み出していった。
そこから「暗殺(Assassination)」という言葉が生まれたという。
キリスト教側で発生したにも関わらず独立した勢力となったテンプル騎士団に対し、アササン騎士団でも一部はキリスト教側へ改宗したり、キリスト教側から暗殺を請け負ったりしたようである。
なお、本書ではアササン騎士団の最後については詳しく触れられていないが、サラディンの死後、イスラム側の衰退に伴って消滅したように描かれている。
またウィキペディア「暗殺教団」によれば、それにまつわる物語はほとんどが伝説で史実とは異なる旨が記述されている。
一方、WEBサイトなどではアジア民族の襲撃を受けて離散したという記述も見られる。
(例:http://www.y-history.net/appendix/wh0501-063_1.html) -
偶然とも不意打ちともいえる第一回十字軍でエルサレムを占領し、イスラム世界の威容を垣間見てしまったヨーロッパ世界が、エルサレム防衛のために置いたテンプル騎士団。そのテンプル騎士団が中央集権化を進めるフィリップ4世の策略によって壊滅させられるまでの歴史は、最初から最後まで時代を体現した存在なのではないでしょうか。テンプル騎士団の馬に2人乗った紋章から男色の罪を被せる件は何とも。。。
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レベル高い!学術書でありながらメイスンの記述あり。
著者プロフィール
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