ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇 ケンブリッジ 1939年 (講談社学術文庫)

制作 : コーラ・ダイアモンド 
  • 講談社
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本棚登録 : 131
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922760

作品紹介・あらすじ

ウィトゲンシュタインの講義は、臨場感あふれ、また、哲学の思考の現場を味わえる貴重な記録として有名です。
学術文庫では、先に『ウィトゲンシュタインの講義 ケンブリッジ1932-1935』を刊行しました。これは、中期から後期に向かう時期の、いわゆる「言語ゲーム論」が、彼の中で熟していく過程を体感することができる講義でした。
本書『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇』は、明確に後期に属します。後期の『哲学探究』の思考が、濃密に出てくる講義になっています。
もちろん、死後、『数学の基礎』としてまとめられる数学論の構想の土台となった思考でもあります。
数学基礎論は、ウィトゲンシュタインの主要な関心のひとつでしたが、本講義の魅力は、その内容が、数学の基礎論にとどまらないところにあります。
言語論、規則論といった、まさにウィトゲンシュタイン哲学の根幹にあたるところを、じっさい、どのように思考をめぐらせて熟成させていったのか、その哲学の現場が、まさに実況中継としてみえてくるのが、本講義の魅力です。
もうひとつは、他の講義とちがって、出席している著名な学生たちが、活発に発言し、ウィトゲンシュタインがそれに真っ向から応じているのです。
その中心となっているのは、アラン・チューリングです。チューリングとウィトゲンシュタインの丁々発止を聞いているだけで、哲学の現場を体験できます。
数学の構造と、言葉の使用と、規則の成り立ち、これこそが、いまだに世界中の哲学読者を魅了してやまないウィトゲンシュタイン哲学のエッセンスでした。
講義という現場で、ぜひ、そのスリリングな面白さを味わってください。

感想・レビュー・書評

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  • ウィトゲンシュタイン講義録、「数学の基礎篇」は「哲学探究」前半を書いた後に行われた時期の講義で、内容的にも「哲学探究」と重複する面がある。
    「数学」というからちょっと逃げ腰で読んだが、出てくるのは小中学校程度の基礎数学がほとんどで、その意味では難しくはない。「哲学探究」の言説を保管する詳細な論述という点で興味深いものだった。
    しかし相変わらず、ウィトゲンシュタインの考え方には謎が多い。おおよその論旨はわかるのだが、ところどころで何を言わんとしているのかわからない箇所があるのも、いつもの通りだ。講義に出席した数学者チューリングの言い分のほうがよほど常識的でなじみ深いものだが、ウィトゲンシュタインはそうした聴講者の発言を受けて、さらに思考を深めてゆくようだ。だがそれは底知れないような高度な知の探索であり、容易に全貌は掴めない。
    ここではウィトゲンシュタインは一貫して、数学的命題と、通常の言語による論理との根本的な差異を強調している。そして「摘要」(使用)が問題なのだ、といういつもの指摘が繰り返される。
    ウィトゲンシュタインは相変わらず私には謎が多い。しかしそこには、私がまだくみつくし切れていない豊穣が眠っているような気がして、謎めいて魅了される。
    この独特な哲学者から、私はまだ何か強い大きな物を引き出したいと思っている。

  • 150314 中央図書館

  • 『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇 ケンブリッジ 1939年』
    原題:WITTGENSTEIN'S LECTURES ON THE FOUNDATIONS OF MATHEMATICS
    著者:Ludwig Wittgenstein (1889-1951)
    編者:Cora Diamond (1937-)
    訳者:大谷弘、古田徹也

    【版元】
    発売日 2015年01月10日
    価格 本体1,730円(税別)
    ISBN 978-4-06-292276-0
    通巻番号 2276
    判型 A6
    ページ数 624ページ
    シリーズ 講談社学術文庫

    ウィトゲンシュタインの講義は、臨場感あふれ、また、哲学の思考の現場を味わえる貴重な記録として有名です。学術文庫では、先に『ウィトゲンシュタインの講義 ケンブリッジ1932-1935』を刊行しました。これは、中期から後期に向かう時期の、いわゆる「言語ゲーム論」が、彼の中で熟していく過程を体感することができる講義でした。
    本書『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇』は、明確に後期に属します。後期の『哲学探究』の思考が、濃密に出てくる講義になっています。もちろん、死後、『数学の基礎』としてまとめられる数学論の構想の土台となった思考でもあります。数学基礎論は、ウィトゲンシュタインの主要な関心のひとつでしたが、本講義の魅力は、その内容が、数学の基礎論にとどまらないところにあります。
    言語論、規則論といった、まさにウィトゲンシュタイン哲学の根幹にあたるところを、じっさい、どのように思考をめぐらせて熟成させていったのか、その哲学の現場が、まさに実況中継としてみえてくるのが、本講義の魅力です。
    もうひとつは、他の講義とちがって、出席している著名な学生たちが、活発に発言し、ウィトゲンシュタインがそれに真っ向から応じているのです。その中心となっているのは、アラン・チューリングです。チューリングとウィトゲンシュタインの丁々発止を聞いているだけで、哲学の現場を体験できます。
    数学の構造と、言葉の使用と、規則の成り立ち、これこそが、いまだに世界中の哲学読者を魅了してやまないウィトゲンシュタイン哲学のエッセンスでした。講義という現場で、ぜひ、そのスリリングな面白さを味わってください。
    http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000211756


    【目次】

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程満期退学。文学博士。武蔵野大学講師。専攻は、哲学。

「2015年 『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇 ケンブリッジ 1939年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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