最暗黒の東京 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 26
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922814

作品紹介・あらすじ

明治中期の東京に暮らす下層民の生活ぶりを克明に記録したルポルタージュ。明治25年(1892)11月から、徳富蘇峰の「国民新聞」に断続的に連載され、明治26年11月に民友社より刊行された。
「御一新」以来の文明開化に沸き、日清戦争を目前に控えて「一等国」に仲間入りしようとしていた明治日本の帝都の陰には、すでに都市開発と経済成長に取り残された人々が密集する「飢寒窟(貧民窟)」がいくつも形成されていた。そこに生きる人々の暮らしを、住居、食生活、生業から、日々の喧嘩のネタ、ただよう匂いまで、生々しく伝える本作は、横山源之助の『日本の下層社会』とならぶ明治記録文学の傑作である。「東京論」の一つの視座として、また、いまに続く「格差社会」を考えるためにも必読の書。
巻末解説を、坪内祐三氏が執筆。
〔原本:『最暗黒之東京』 民友社 明治26年(1893)刊〕

感想・レビュー・書評

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  • 明治時代、日清戦争直前の時代に、東京の貧民窟に潜入した記者のルポルタージュ。著者の率直な感想がリアルでおもしろい。文明開化のかげに隠れて、庶民はこんな生活を強いられていたのかという話。

    士官学校の残飯を集めて貧民街に売る残飯屋の話がすごい。こんなシーンが『めしあげ!!』(http://booklog.jp/users/junjinnyan/archives/1/4041060036)の第1話にもあったよね。
    材料揃えて作る方が安上がりかと思えるが実は残飯屋で出来合い買った方が安上がりなんだよ、っていう説明をしている下りがあって、現代でも変わらないじゃないか…とそら恐ろしい気持ちになりました(一からハンバーグ作ったら数千円かかったとかいうのがあったよね)

    宮尾登美子「櫂」に出てきた裏長屋、こんな感じなのかな…(http://booklog.jp/users/junjinnyan/archives/1/4101293082

  •  『最暗黒の東京』、まずタイトルからして驚きます。筆者が最下層の人びとに混ざって生活をすることで実態を描き出していますから、読み物として興味深く、面白く読めると思います。たとえば、宿泊した木賃宿(粗末な宿)で出会った人びと、貧民の住居や生活、客を取り合ってケンカする車夫の様子などが描かれています。

     他方でこの本は、商売(この本のいう「経済の原理」)が最下層にまで巣くっている様子が描かれている本でもあります。残飯は本来捨てるものですが、最暗黒に生きる人びとにとっては欠かせない食糧です。しかし、商人が賄方と結託し、残飯をせり買いすれば、貧者は残飯をそれだけ高値で買わなければならなくなる。あるいは、年老いて弱った車夫(人力車を引く人)は安上がりだといって血気のよい健脚車が利用する。「世間の事態逆倒〔さかさま〕なるが如し (p. 124)」という言葉は、この本の重要なテーマでもあるのだと思います。

     興味深くもあり、人間臭さが現れていて面白くもあり、しかし笑うことのできない最暗黒の世界がある。このような意味をひっくるめて、面白い本としておすすめする一冊です。

    自分用メモ:http://dobons-gate.blogspot.jp/2015/09/blog-post.html

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