手仕事の日本 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 107
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062923019

作品紹介・あらすじ

名もなき工人が作る民衆の日用品の美、「民藝」。大正時代半ばから二十年近い歳月をかけて日本各地で手仕事の「用の美」を調査・収集した柳宗悦は、自然と歴史、そして伝統によって生み出される美を探求し続けた。著者がみずからの目で見、選び取った正しい美しさとはなにか。日本文化が世界的に注目される現代、今なお多くの示唆に富む日本民藝案内。

感想・レビュー・書評

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  • 柳の工藝に対する思想が好きなので内容はもちろん、日本語が当時の昭和15年のままなのも、読んでて時代を感じれるしなんか癒されて良。
    用と結ばれる美の価値
    実用的な品物に美しさが感じられるのは、背後にかかる法則が働いているためであります。他力の美しさと呼んでも良いでありましょう。他力というのは人間を超えた力を指すのであります。自然、伝統、理法だとか呼ぶものは全て掛る大きな他力であります。かかる事への従順さこそは、かえって美を産む大きな原因となるのであります。何故なら他力に任せ切る時、新たな自由の中に入るからであります。
    実用性が美しさを穢すどころか、かえってそれがために美しさが確実になることが多いのであります。

  • 日本各地の工芸についてまとめている。日本に息づく手仕事の素晴らしさ、工芸のあり方(自然、伝統_創造を発展、職人の意気(粗末なものを作らない)、実用の美、健やかさ)を論じている

  • 全国を回りその土地の工芸品を紹介する。
    昭和18年の日付の後記を読むと二十年近くかかったとのことで大正末期から昭和初期の日本の姿が浮かぶようです。
    工業化の波に呑まれ商いに走り特色や美しさを失った工芸品には『見るべき品が少なく』や『浅い趣味のために、仕事が遊びに終わっている』等々と手厳しい意見もあります。
    この本が書かれた当時でも失われつつある土地に根差した「民藝」は現代ではどれくらい残っているのでしょうか、また残っているものたちも著者の言う健康な美しさをどれだけ保っているのだろうか、と考えてしまいました。

  • p.30
    百姓をして暮らす人の作ったものの方に、ずっと正直な品が多い。それは農業が与える影響によるもの。大地で働く生活には、どこか正直な健康なものがあるから。半農半工は良い結果をもたらす。
    正直な品物の多い地方には、概して風習に信心深いところがある。信心は人間を真面目にさせる。良い品物の背後にはいつも道徳や宗教が控えている。

  • 柳宗悦(1889~1961)著「手仕事の日本」(2015.6)、原本は1948.6に刊行されたそうです。「手仕事」から視た日本の姿を描いたもので、同時に、郷土という存在が大きくクローズアップされています。関東が相模、武蔵、安房、上総、下総、常陸、上野、下野で、山陽道は播磨、美作、備前、備中、備後、安芸、周防、長門。九州は筑前、筑後、肥前、肥後、豊前、豊後、日向、大隅、薩摩と。そんな説明も嬉しいです。子供の頃は、結構馴染んでいたんですw。その土地その土地の手仕事に思いを馳せながら、地理と歴史を感じました!

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著者プロフィール

柳宗悦(やなぎ・むねよし):1889-1961年。学習院高等科在学中に雑誌「白樺」創刊に参加。主に美術の分野を担当した。東京帝国大学哲学科を卒業後は宗教哲学者として活躍。濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチ、富本憲吉らと出会い、「民藝」という新しい美の概念を打ちたてた。眼の人として知られるが、柳のまなざしは、物の美しさだけではなく、物を生み出した人や社会にたえず注がれていた。

「2023年 『新編 民藝四十年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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