ユダとは誰か 原始キリスト教と『ユダの福音書』の中のユダ (講談社学術文庫)
- 講談社 (2015年11月11日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062923293
作品紹介・あらすじ
キリスト教世界で「裏切り者」「密告者」の汚名を一身に受けてきたユダ。イエスへの裏切りという「負の遺産」はどう読み解くべきなのか――。原始キリスト教におけるユダ像の変容を正典四福音書と『ユダの福音書』に追い、初期カトリシズムとの関係から正統的教会にとってのユダと「歴史のユダ」に迫る。イエスの十字架によっても救われない者とは誰か。
感想・レビュー・書評
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イスカリオテのユダに関する語源から芸術まで、ユダづくしの一冊。キリスト教におけるユダの位置付けの原理的な難しさを感じる。ユダはイエスを引渡した者であるという意味では確かに悪人であるが、そのユダの罪悪なかりせば死をもってみせたイエスの十字架の贖いも、その後の復活もないわけで…。
時代が下るにつれて、ユダの評価が厳しくなるという事実はおもしろい。当初はユダの行為を含めて、イエスの辿った奇跡の一部とみていた可能性がある。後世の解釈次第でユダのポジションは大きく変わる。
でも、歴史の中のイエスはやはり正直に思ったのだろう。こいつ「生まれてこなければよかったのに」と。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みながら・・・本当のユダは「駈込み訴え」のユダの
ようであって欲しいな、と思って読んでいました。
冷静に、多くの文献や芸術的資料によってユダとはイエス
にとって、また12人の弟子たちの中にあってどんな位置
づけにあったのかが述べられています。マルコ、マタイ、
ヨハネ、ユダと福音書によって「ユダ」の扱いは違って
います。「罪」や「赦し」は布教や教育について根幹を
成すものであり、「ユダ」は恰好の材料ということなの
でしょう。 -
誰に向けた本なんだろ。宗教画の中でユダとユダヤ教が混同されている点が指摘されていて、自分にも当てはまっていたのでなるほどと。
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12人いたといわれるイエスの弟子の名を、
すべて挙げることができますか?
4~5人は思い出せるかもしれませんが、
全部答えられる方は、
少ないのではではないでしょうか?
それでもユダの名は、
ほとんど誰もが知っているはずです。
ユダについて書かれた本は、
以前にも何冊か読みました。
なぜユダに惹かれるのでしょう?
彼がいなければ新約聖書の物語は
成立しなかったと思えるからかもしれません。
そういう意味では、
12使徒の中でもユダは極めて
重要な役割を担っていたことになります。
イエスはユダが裏切るということを知っていながら、
あえて彼の思い通りにさせました。
なぜならば、
そのことがイエスにとっても、
とても重要だったからです。
本書では4つの福音書の記述を比較しており、
とても興味深い内容でした。
時代によって福音書の書かれた目的、
著者の意図が異なり、
マグダラのマリアのイメージが、
グレゴリウス1世によって歪められたのと同じように、
ユダについての記述も、
時がたつにつれて変化していることがよくわかりました。
ユダもイエスの愛した弟子のひとりです。
その罪は許されていると信じたいです。
べそかきアルルカンの詩的日常
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べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
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ちょっと着眼点ずれてるな。。