儒教 怨念と復讐の宗教 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062924429

作品紹介・あらすじ

2000年余りにわたって、東アジア、特に中国・韓国の文化と思想に大きな影響を及ぼしてきた「儒教」に、今、関心が集まっている。しかし、「儒学」ではなく「儒教」とはいったいどんな宗教なのか――日本では意外に知られていない。
本書では、学術文庫『諸子百家』や『孫子』などで、中国の古代思想研究者として知られる著者が、儒教という特異な宗教の成り立ちと正体を暴いていく。
わずかな領地も持たず、生涯のほとんどを無位無官で流浪した一介の匹夫・孔子。政界に地位を得て為政に参画せんと野望を抱きながら挫折し、みじめな人生を送ったこの男の妄執が、怨念と復讐の宗教を生んだ。名声では王公を凌いだ、天子にこそなれなかったが功業は堯・舜を凌ぐ――孔子の弟子たちや後世の儒者が執拗に語るほど、そこには「受命なき聖人」の情念が色濃くにじみ出ている。
時に体制擁護のイデオロギーとして利用され、時に革命思想として弾圧されながら、その底に流れるルサンチマンの精神は払拭されることはなかった。そして清朝末期、近代にいたり、変法自強運動の旗手・康有為の手によって「儒教神学」は完成する。「聖人君子の道徳」という従来のイメージを覆す、新視角の儒教論。
[原本『儒教 ルサンチマンの宗教』平凡社新書、1999年刊]

感想・レビュー・書評

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  • 儒教 怨念と復讐の宗教。浅野裕一先生の著書。儒教はもともと世間から評価されずに蔑まされて馬鹿にされ、世間に対して怨念を持ち復讐したいという強い願望を持っていた孔子によるいわば妄想、被害妄想に基づいて出来たものだなんて、恥ずかしながら初耳でした。儒教というと年長者や目上の人を敬う上下関係に厳格な教えという怨念と復讐とはほど遠いイメージがあったから驚きでした。

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    2020.08.22〜23

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著者プロフィール

1946年, 仙台市生まれ. 東北大学名誉教授. 中国哲学専攻. 『黄老道の成立と展開』(創文社, 1992), 『孔子神話』(岩波書店, 97), 『孫子』(講談社学術文庫, 98), 『儒教 ルサンチマンの宗教』(平凡社新書, 99), 『古代中国の言語哲学』(岩波書店, 2003), 『戦国楚簡研究』(台湾・萬巻樓, 2004), 『諸子百家』(講談社学術文庫, 2004), 『古代中国の文明観──儒家・墨家・道家の論争』(岩波新書, 2005), 『図解雑学 諸子百家』(ナツメ社, 2007), 『古代中国の宇宙論』(岩波書店, 2008), 『上博楚簡與先秦思想』(台湾・萬巻樓, 2008)ほか.

「2016年 『『甲陽軍鑑』の悲劇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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