ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2018年3月11日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784062924795

作品紹介・あらすじ

「人間の文化は遊びにおいて、遊びとして、成立し、発展した」。歴史学、民族学、そして言語学を綜合した独自の研究は、人間活動の本質が遊びであり、文化の根源には遊びがあることを看破、さらに功利的行為が遊戯的行為を圧する近代社会の危うさに警鐘を鳴らす。「遊びの相の下に」人類の歴史の再構築を試みた不朽の古典をオランダ語版全集から完訳。

[本書の内容]
まえがき――導入

第一章 文化現象としての遊びの性格と意味
第二章 言語における遊びの概念の構想とその表現
第三章 文化を創造する機能としての遊びと競い合い
第四章 遊びと裁判
第五章 遊びと戦争
第六章 遊びと知識
第七章 遊びと詩
第八章 形象化の機能
第九章 哲学のもつ遊びの形式
第一〇章 芸術のもつ遊びの形式
第一一章 「遊びの相の下に」立つ文明と時代
第一二章 現代文化のもつ遊びの要素

原 注
解 説
原本あとがき
学術文庫版あとがき

感想・レビュー・書評

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  • 遊びから文化が生まれるならば、今の時代からは文化は生まれないな、と。
    面白い視点でした。読みにくかった。

  • 「遊び」の精神性。動物は遊ぶことができるという意味で超論理的であり機械仕掛け以上の存在たり得る。遊びとは何なのかに向き合った本。儀式、信仰、戦い、演奏、愛との関係。その起源と語源。各種言語における遊び。日本語においても〜遊ばせなどの表現があるが、そういった細かいところの文化的・思想的背景まで触れられている。真面目との対立性。歴史的に「遊び」として捉えられる人々の行いを多く挙げ、その精神性に迫っている。大抵、人の命を賭けたりするものも含まれていて遊びの概念の広さを感じる。哲学すら遊びの概念から生まれたと見ることもできる。18世紀以降の遊びの地位向上、19世紀以降のスポーツの発展。そして現代における遊び。現代の遊びに括られるものは、昔の文化や儀式の概念と密接に結びついた「遊び」から精神性が抜け落ちてしまったもの。うーん、長い。

  • 2024年12月16日、グラビティの読書の星で紹介してる人がいた。4冊のうち1冊。③

    「カイヨワ、アガンベン、ホイジンガ、チクセントミハイ等の著書を読んで"遊び"ガチ勢になりたい

    究極的には仕事も遊びにしたい 子どもは遊びながら学ぶのだから、人生を遊ぶように生きることは可能なはずなのだ

    しかし、なかなか見つからないんだよな彼らの本……」

  • すべての文化は遊びからはじまっているのではないか。
    ホイジンガの問いと解釈は非常におもしろい。

    日々の生活に照らしあわせると、会話や仕事、ファッションや散歩。乱雑に思い浮かべるだけでも遊びの要素はたくさんある。

    すべて、と言い切ってしまっていいものか。
    感覚的には、すべてのことに遊びが、と言いたいが、それは危険だろう。
    しかし、ものごとに遊びの要素を見出すのは大切だと思う。

    発展させれば、物事に遊びの要素を付け加えるということも、またいいのではないか。

  • ヨハン・ホイジンガ(1872~1945年)は、オランダのフローニンゲンに生まれ、ライデン大学の歴史学教授として、広く西欧にその名を知られた文化史家である。1938年に発表された本作品のほか、『中世の秋』(1919年)などの著作を残している。
    ホイジンガは、「遊びは真面目な機能を果たしていて、人間文化の本質的基盤と密接にかかわりあっている」として、人類は「ホモ・サピエンス(知恵ある人)」ならぬ「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」であるといい、本書の題名を付けたのである。そして、本書の中で、いったいどの程度まで文化は遊びの現象で説明されうるか、遊びと文化の関係はどのくらい密接かを明らかにしようとしている。
    その概要は、まず最初に、「遊び」の定義・形式的特徴が列挙される。①命令されることのない、自由な行為である。②本来の生活ではない、仮構の世界であり、その目的は物質的利益や個人の生活上の必要を満足させるような領域を超えている。③ありきたりの生活から継続的時間と場所が区別され、時間的・空間的に限定されている。④規則を持ち、それを守る点では真面目で真剣である。➄秘密を持ち、ありきたりの世界とは別物である。更に、機能の面から見れば、「遊び」は、何かのための戦い、または何かの演技である。
    次に、文化とは、遊び「として」始まったのでも、遊び「から」始まったのでもなく、遊びの「中で」始まったということが説かれ、競争、祭礼、詩文、音楽・舞踏、知恵・知識、法律、戦争、貴族生活の慣習などが、そうして発展したことが述べられている。
    そして、最後に、本書が書かれた19世紀の前半には、文化において真面目が支配的になり、遊ばれる度合いが大きく減少してきたことを指摘し、「真の文化はある程度、遊びの内容をもたなくては成り立ちえない。なぜなら、文化はなんらかの自己抑制と克己を前提とし、さらにその文化に特有の性向を絶対最高のものと思い込んだりしない能力をもち、しかも自由意志で受け入れたある限界の中で閉ざされた自己を見つめる能力を前提としている。文化はある意味ではいつの時代でもやはり一定の規律への相互の合意に基づいて遊ばれることを欲している。真の文明はいかなる見方に立とうと常にフェアプレーを要求する」と締めくくっている。
    最後の部分については、本書が書かれたのが、ヨーロッパで(真面目の権化である)ナチスを中心としたファシズムの勢力が拡大していく時代であり、その潮流に大きな警鐘を鳴らしていたことは間違いないが、80年を経た現代においても、偏狭なナショナリズムをはじめ、「遊び」を否定する主義・思想が世界を覆っており、ホイジンガの主張の重要性は何ひとつ変わってはいない。
    「人間・文化の本質は何か」を解き明かしつつ、我々人類の向かうべき方向を示唆してくれる古典といえる。
    (2019年11月了)

  • 序盤は体系的でおもろかった
    後半は著者が深掘りおもれーーってなってるところについての具体例だったり語源エピソードだったり分析を列挙されてる感じで、たまに興味を惹かれるものがあるくらい

    様々なinsightはあった
    単純明快にスッキリと全てを説明してくれるような本ではないからこそ、色々と広がる世界があった

    直接的な答えをすぐ得ることを求めて読むのに適した本というよりは、新たな面白い問いを得る本であり、答えに近づくための予想していなかったルートの存在に気付かせてくれる本である。

    ーーー以下、個人的読書メモのコピペーーーー

    遊びの第一の主要特徴
    遊びはすべて、何よりもまず自由な行為だ。
    命令された遊びは、もはや遊びではあり得ない。
    遊びは自らそこへ余分に付け加わったものであり、衣装のようにその上に纏えるものだ。
    子供も動物もそれが楽しいから遊ぶのだ。そして、そこに自由がある。
    遊びはいつ何時でも延期できるし、中止もできる。
    それは肉体的要請によって課されるものではなく、なおさら道義的義務によって課されるものでもない。遊びは仕事ではない。
    ただ遊びが文化的機能となった時はじめて第二義的に、当為とか、任務とか、義務とかいった概念との結びつきに縛られるようになる。


    第二の主要特徴
    遊びはありきたりの生活でも本来の生活でもなく、そこから一歩踏み出して独自の性格を持った活動の仮構の世界に入るのが遊びだ。
    ありきたりの世界からの一時的な脱却
    生活から遊離した遊びは必要や欲求の直接的満足を求める生活過程の圏外に立つ
    遊びはそれ自体だけで完結する一時的行為として生活過程の中に割って入り、行為すること自体に含まれた充足感のゆえに行われる。
    →そういう形で立ち現れ、繰り返されることで生活の一部となる。
    →アーレントのaction, アリストテレスのポエーシス

    第三の主要特徴
    場所的、時間的限定性
    ある定められた時間と場所の範囲内で完結する。
    そしてそれが繰り返される。

    遊び場の中では独自の、絶対的秩序が支配する。
    ルールがある。

    ごっこ遊び、空想、旅、異国文化の趣味
    慣れ親しんでいないものに魅力を感じる人類共通の心理学的セオリーがありそう。
    「ありきたりの世界」からの脱却、刺激

    personal insights
    遊びとは、動き回る余地である?
    アソビを持たせておく(日本語)
    「金本位制に残された余地がこんなに少なくなっては、金本位制も遊んではいられない」(オランダ銀行頭取)

    遊びを面白くするもの
    予測不可能性、振れ幅≒「アソビ」そのもの
    100点が絶対取れてしまう程度のレベルのテスト、結末もトリックも知った上で見る推理ドラマはそこまで面白くない
    それはすなわち「新規性」の獲得でもあるのか。「ありきたり」からの脱却。
    映画を何度も繰り返し見るオタクは毎回新しい感動を受け取っている。
    キャラクターの細かい仕草やcinematographyのディティールを新しく発見したり、もしくは脳内の解釈を再編成する形で新規性を獲得している。
    自己の世界の拡張。
    いかに新規性を感じられるかは個々の解像度と感性にかかっている。
    他者との会話が面白いのも、予測不可能性や新規性にある。

    遊びには指向性がある?ルールの話
    ルール(価値観、世界線)を共有していないと楽しくない
    「ある馬が他の馬より速く駆けることは承知しています」競馬に対して

    ルーレット盤にかけることと、株取引をすることの間の差は何か?
    それに生存を頼ってしまうと、自由で行為そのものに意味がある営みからはずれてしまう。

    ポトラッチ 犠牲と破壊による優位性の誇示 気前のよさ、かける気持ちの証明?

    面白い!かぐや姫やスフィンクス、たのきゅうの話のように、謎かけに命や人生を賭ける行為があった 命懸けの遊び
    詩作がものすごく重要な能力だった時代と社会がある
    それこそ、その能力によって社会的地位や生活を認められるくらいに

    Inferiority, superiorityって本当に時代と環境次第すぎる!絶対的なものなどない

  • 古典である。半世紀前に読んだ記憶はあるので再読である。裁判や戦争や国会での議論も遊びということでくくっている。日本の俳句も一部引用している。学生は読んでみてもいいだろう。

  • 第39回OBPビブリオバトル「ラッキー」で発表された本です。
    2019.7.31

  • #89奈良県立図書情報館ビブリオバトル「贈りたい本」で紹介された本です。
    2部制で実施の第1部。
    1部は通常回で、2部は奈良県内の書店員によるエキシビションでした。
    2018.4.21
    https://m.facebook.com/events/1211793018923515?view=permalink&id=1413555225413959

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741932

  • 昭和46年版河出書房、里見元一郎訳 図書館蔵

    解説の後に本文を読むほうがわかりやすいかも。

    第一章 遊びの定義
    遊びは文化より古い。遊びの面白さは独自のもので外に取り替えられない性質。真や善とは別物だが美とは密接に結びつく。
    形式的特徴は
    1.自由な行為である
    2.仮構の世界であり利益を度外視、一段と高級である
    3.時間的空間的に限定されている
    4.規則を持つ
    5.秘密を持ち非日常である。
    さらに機能から見れば、遊びは戦いか演技のいずれか。
    プラトンは人間を神の遊び道具と呼び、真面目に楽しく遊ぶことを人間にとっての最高の行為とした。

    第二章 遊びの各国での考察
    遊びは相対する概念。真面目より広く一段と高級で独立の基本的概念。

    最後に文化にとって遊びの要素が不可欠であることを論じている。戦争もスポーツも盛んになるのに反比例して遊びの要素を失っていく。大衆は熱狂し拡大されるが一方選手はプロ化し利害打算に左右されるようになった。

    遊びがルールを守る冷静さを保つ点、つまりその余裕を持った態度に、文明の明るさや文化の誇りを見ている。

    解説
    カイヨワ著『遊びと人間』も遊びの研究であるが、ホイジンガは利益の無視または超越を遊びの特徴とする一方
    、カイヨワは非生産的とだけ規定し、賭けや宝くじのような射幸心の追求を遊びの中に認めている。
    またカイヨワは、偶然と目眩の遊びを彼独自の分析としたが、訳者は、偶然のサイコロは神聖さを追求するが利益追求は取り上げておらず、目眩は文化の創造的な力とはいえず、理性の自制を振り切って病的現象を求めるのは堕落であり遊びの定義に当たらないのではないかと論じている。


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著者プロフィール

1872~1945。歴史家、文明批評家。フローニンゲン大学卒業。フローニンゲン大学、ライデン大学で教授職を務める。ライデン大学学長。著書に『中世の秋』『ホモ・ルーデンス』『エラスムス』『わが歴史への道』などがある。

「2018年 『ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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