- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062930079
作品紹介・あらすじ
無活用ラテン語で書かれた小説『猫の下で読むに限る』で道化師と名指された実業家のエイブラムス氏。その作者である友幸友幸は、エイブラムス氏の潤沢な資金と人員を投入した追跡をよそに転居を繰り返し、現地の言葉で書かれた原稿を残してゆく。幾重にも織り上げられた言語をめぐる物語。〈芥川賞受賞作〉
感想・レビュー・書評
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なんとも不思議な世界。あまり内容を覚えていないとはいえ、ナボコフの自伝を読んでおいてよかったかな。
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2024.02.16〜2024.02.22
相変わらず、文意は読み取れず。
それでも、読後感は、良い。
なんなんだろう、この感覚って。凄いなぁ。文章として破綻してないし、書かれていることは分かる。???だらけでも、新作が出たら読まずにはいられない、作家です。
小学生の読解問題にしたら、凄い答えが出て来そう。 -
受賞を機に読んでみる。
読んでいて響きが美しいと感じるのに、
驚くほど自分の中に理解を構築していけない。
言葉を楽しむラップを理系感覚で文学に詰め込んだ漢字と言いましょうか?
理解するのでなく、言葉を味わう感覚で読む一冊なのかな?
読書会ならず、鑑賞会を開いてみたいと感じる一冊。 -
多層的な(あるいは円環する)物語。「道化師の蝶」も「松ノ枝の記」も一筋縄ではいかない構造をもっているがどちらも最高に刺激的でした。またこの二篇が一冊にまとめられていることもなんだか感ずるところはあります。かんぺきな一冊だと思います。面白かった。
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文庫化されたので再読。
表題作は氏の作品としてはかなりわかりやすい構成で読みやすいように思う。入れ子がぐるぐる回っているところに、ひらひらと蝶が舞う。やはり三章の手芸や料理に例えられたやわらかい表現が好き。
「松ノ枝の記」は以前読んだ時よりしっくりきたように思えた。あと三回くらい読めばもっと馴染んで理解が進むかも知れない。折を見て再読したい。 -
表題作である「道化師の蝶」は、時間は存在するが時系列やその終始が曖昧で、登場人物の輪郭もおぼろげになる不思議な話だった。
A.A.エイブラムスをはじめとした登場人物の性別や行うことが細かな章の連続で描写されているが、前の章で男性だった人物が女性になったり、"わたし"と書かれているが別人であったりと、章と章の間の繋がりも曖昧な、輪郭のつかめない作りになっている。
けれど共通しているのは、創作の源となるアイデアに関する話なのかな、と考える。
わからないけれど面白い、不思議なお話だった。
次の「松之枝の記」も、誰が松之枝で何が起きているのか、前後もなにもわからなくなる話だった。
まだ表題作よりはわかりやすい話だったが、どちらも連続するものへの考察や、人の営みによる連鎖を考えたのかなと思う。
抽象的だけれど印象的な短編2編だった -
互いの小説を、内容の成否を問わずに好き勝手に翻訳しあうという素っ頓狂な展開からはじまる「松ノ枝の記」。正直、最初は面食らってあまり入り込めなかったんですが、中盤から描かれる、ザゼツキー症候群という切り口から謎を紐解いていく展開に圧倒され、一気に引き込まれました。円城塔さんすごい!めちゃくちゃ面白い!
なぜ翻訳する必要があったのか、なぜ見たことも経験したこともないものの知識があるのかなど、序盤は理解不能だった謎が明かされる過程が気持ちいいですね。2人(3人?)の関係性も素敵でした。物語の展開が全て理解できたとはとても言い切れないんですが、読み返すたびに新たな発見がありそうなので、時間を置いて再読したいと思います。
上記の通り「松ノ枝の記」はどハマりしたんですが、表題作の「道化師の蝶」が本当に理解できなくて、その点が心残りです。中盤までは面白いかもと思えてたんですが、老人が出てきたあたりから何が何やらさっぱりで…。ループしてる?エイブラムス氏は男性と女性がいるけど何が現実?全くわからない…。誰かが解説してくれていると思うので、それを見て理解した気になろうと思います。 -
「言葉をめぐる物語」との紹介でしたが言葉自体というよりも話し手と聞き手、書き手と読み手の相互作用を逆手にとった話という感じか。言葉を使った芸術であり言葉以外で表現しようのない感じはまさに純文学であり芥川賞受賞作なのも納得です。ただ、わかりやすくはない。
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初めましての作家さん
購入したのはいいけれど、手にしたら芥川賞受賞作だった。
そもそも文学賞って、読解力がないから意味不明。
カッコつけて語るつもりも、わかったフリをするつもりもない。
だって、選考委員の先生方ですら、コメント内容が
エライことになっているんだから・・・
いや・・・言ってる事はわかるのよ。
部分的には、なるほどぉ~って思ったりして
ファンタジーじゃないのぉ~とか
これで出版できたりするんだぁ~と感心したり
で、つまるところ、自分なりの落としどころがない。
大きな跳び箱を飛び越えて着地する予定が
バランスを崩して両腕を振り回してる状態?
読み切ったけど、収まり悪すぎでした -
読みながらやはり、オーソドックスな小説を読むときとは違った部位を使いながら読んでいる感じがした。発想が理系的で、演繹的な書き方をしているために新しいと感じる部分があると同時に、いちばんわかりやすい部分でいえば語彙の選び方など、無理に文学文学しようとしてかえって古めかしいと思われる箇所もあった。読みながらずっと、「不思議の国のアリス」を思い浮かべていて、本作を読むのが日によって苦痛なのはなんでだろうと考えていたら思い当たった。笑えないからだ。
著者プロフィール
円城塔の作品





