道化師の蝶 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 445
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062930079

作品紹介・あらすじ

飛行機で移動しつつ銀製の捕虫網でアイデアをすくい上げる実業家と、飛行機の上だけで読まれる小説を書く作家の冒険。芥川賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 受賞を機に読んでみる。

    読んでいて響きが美しいと感じるのに、
    驚くほど自分の中に理解を構築していけない。

    言葉を楽しむラップを理系感覚で文学に詰め込んだ漢字と言いましょうか?
    理解するのでなく、言葉を味わう感覚で読む一冊なのかな?

    読書会ならず、鑑賞会を開いてみたいと感じる一冊。

  • 多層的な(あるいは円環する)物語。「道化師の蝶」も「松ノ枝の記」も一筋縄ではいかない構造をもっているがどちらも最高に刺激的でした。またこの二篇が一冊にまとめられていることもなんだか感ずるところはあります。かんぺきな一冊だと思います。面白かった。

  • 文庫化されたので再読。
    表題作は氏の作品としてはかなりわかりやすい構成で読みやすいように思う。入れ子がぐるぐる回っているところに、ひらひらと蝶が舞う。やはり三章の手芸や料理に例えられたやわらかい表現が好き。
    「松ノ枝の記」は以前読んだ時よりしっくりきたように思えた。あと三回くらい読めばもっと馴染んで理解が進むかも知れない。折を見て再読したい。

  • 読みながらやはり、オーソドックスな小説を読むときとは違った部位を使いながら読んでいる感じがした。発想が理系的で、演繹的な書き方をしているために新しいと感じる部分があると同時に、いちばんわかりやすい部分でいえば語彙の選び方など、無理に文学文学しようとしてかえって古めかしいと思われる箇所もあった。読みながらずっと、「不思議の国のアリス」を思い浮かべていて、本作を読むのが日によって苦痛なのはなんでだろうと考えていたら思い当たった。笑えないからだ。

  • 小さなムラを形成していく時代に逆行するのかなぁと考えさせられた。距離ではなく、興味というくくりで。
    何か特定のことをしてる時にだけ分かる本て、特定の興味を持つ人間にしかわからないという風に解釈したからだ。
    それを解釈しようとする行為は、日本語で書かれていても異文化交流のような気持ちだ。

    あと、オブザベースボールを以前読んだけど、円城さんが万人受けしないような書き方をするのがこの本を通じてわかった気がする。

  • 翻訳。
    日本語の文章なのに意味がわからない。
    それでも癖になる言葉選びのセンス。
    自動文章生成機感。

  • 何を言ってるのかよく分からないのに文字を追うのが気持ちいいのは、
    やっぱり言葉の一つ一つを、音の一つ一つを慎重に選び取っているからなのだろう。
    それでいてそういう過程を少しも感じさせず、むしろ
    自らが自動筆記プログラムそのものであるかのように振る舞って見せているあたりが、人間業とは思えない。
    いや、もしかしたら本当に、そういうプログラムなのかも。

    もう、その人が実際に小説を書いているところを見なければ、
    「円城塔」という人間の存在すら僕は信じられない。

  • 私の読書力では完全には読み切れなかった感じがします。186ページしかない文庫としても薄い本なのに、何か特殊な技法で文章が無理矢理詰め込まれてるんじゃないかと思えるくらい、内容が濃いです。
    何気なく読んでいると、物語としては当たり前の「わたし」という人称が心許なくなっていきます。ともすると煙に巻かれている感じすらありますが、うっかりすると現在位置すら見失う、そんな感じがあります。
    この本は、いつかじっくりと再挑戦したいです。

  • 祝文庫化!
    久しぶりに美しくて、知的で、楽しい読書の時間を持てたと思った。

    こちらに納められているものは中編が2つ。『道化師の蝶』と『松ノ枝の記』どちらも書くという行為の意味を問いかける内容だ。特に『松ノ枝の記』はある小説を翻訳してみるという行為から始まる物語の冒頭が秀逸である。

    小説を読む為に語学を学んでいる私にはとても面白い展開であったし、物語が段々と入り組んでいく模様が読んでいてわくわくした。物語は物語をかたり、新たな物語を作り上げる。

    まさに彼はこれからの日本文学を背負う人物になるであろうと私は思う。

    蛇足ではあるが、どうも彼が芥川賞を受賞した時は同時受賞の田中氏の貰ってやる宣言ばかりが取りざたされて、作品そのものへ目が行っていなかったようで(苦笑)
     
    昨今のこうして出版界のイベント化傾向は本を売るための戦略ではあるのだろうが、本を愛する読書家としてはとても不愉快なものだ。

  • *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます
    http://opac2017.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/BB50114773

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著者プロフィール

円城塔(えんじょう とう)
1972年、北海道生まれ。東北大学理学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。複数の大学で研究員を務める。34歳の時、研究を続けることが困難となり、2007年にSEとして一般企業に就職。2008年に退職、専業作家となる。
デビューのきっかけは、研究のさなかに書いていた「Self-Reference ENGINE」。各所で認められデビュー作となった。2007年『オブ・ザ・ベースボール』で第104回文學界新人賞、2010年「烏有此譚」で第32回野間文芸新人賞、2012年『道化師の蝶』で第146回芥川賞、同年『屍者の帝国』(伊藤計劃との共著)で第31回日本SF大賞特別賞、第44回星雲賞日本長編部門をそれぞれ受賞。他にも2012年に咲くやこの花賞(文芸その他部門)、2017年「文字渦」で第43回川端康成文学賞をそれぞれ受賞している。
その他代表作に『これはペンです』『エピローグ』などがある。「新潮」2016年5月掲載号で川端康成文学賞を受賞した短編小説、『文字渦』が2018年7月に発売された。

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