蔵盗み 古道具屋 皆塵堂 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062930543

作品紹介・あらすじ

小間物屋の大店の手代だった益治郎は、若旦那を差し置いて跡継ぎにと期待されるほどだった。だが盗みの濡れ衣を着せられ追放され、その恨みにつけこんだ盗人甚左に仲間になることを約束する。甚左は皆塵堂の”開かずの蔵”に目をつけ、益治郎は皆塵堂に入り込む。ところが幽霊やら憑きものばかりの皆塵堂で、呑気な伊平次たちのペースに益治郎は巻き込まれていく。そんな益次郎を心配する娘がいるのだが!? 快調人情怪談騒動記。

感想・レビュー・書評

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  • 「古道具屋 皆塵堂」シリーズ第三弾。
    今回の主人公は、小間物問屋で有能な手代だったが、盗みの濡れ衣を着せられ店を出されてしまった益治郎。
    復讐を誓った益治郎は、どう見誤ったか皆塵堂を狙う伝説の盗人 甚左の誘いに乗り皆塵堂に勤めることになるが......
    第四話「人形の囁き」では、人形に取り憑いた正体が亡くなった娘かと思いきや、実は中年の男だったとか笑ってしまった。
    それにしても太一郎の能力が何やら神憑ってきてます。

  • 来月に4作目の「迎え猫」が文庫化するので、積んでいたこちらを消化。
    あとがきでネタを絞り出すのに苦労された様が書かれてましたが、気が付けば6作目まで出てるのですよねぇ。感心、感心(笑。
    どの怪談もおもしろかったのだけど、人形の幽霊の由来とその後がすごく気になる~!
    するすると糸が繋がって、しっかり納まるところに納まるのは流石。

  • 今回も面白く読みやすかった。
    太一郎がどんどん男前になってくのがまたよし。

  • 幽霊がぞろぞろ出てくるし、当然幽霊になる前の事件もスプラッタな描写もあるねんけど、最悪の事態はなくて。怖いけどそんなに怖くないのんびりした皆塵堂の日常にいつの間にか引き込まれてあっという間に読了ですわ。太一郎が男前になってきて今後が楽しみ。んで、鮪助が癒し。

  • 橘屋という大店の手代だった益次郎は,主人にも可愛がられゆくゆくは娘の婿にして家を継がせ用途考えられていたが,ある時見に覚えのない,店の金を盗んだという濡れ衣を着せられ追い出されてしまった。店を恨み,強盗に入るか,火付けでもしてやろうかと考えていたところ,名を知られた盗賊・甚左に声をかけられ,押し込みの手引をしてくれたら代わりに橘屋に復讐してやると誘われ乗ってしまう。甚左は畜生働きはしない盗賊として有名だったので,人死にが出ないならと思ったのであった。しかし手引のために潜入する店は大店でもなんでもなく薄汚い古道具屋・皆塵堂であった。店の奥の立派な蔵の中になにか金目のものが入っていそうなのでそれを調べろというのである。首尾よく皆塵堂に雇われた益次郎だったが店の中はガラクタで足の踏み場もなく,文字通り蔵にはたどり着けない状態。そこで根気よく店の片付けから始めるのであった。
    「水底の腕」
    益次郎は伊平次に誘われ釣りに出る。そして伊平次は幽霊の話をしかける。昼間から幽霊の話をされてもと思っていると,伊平次が益次郎に渡した釣り竿が正に曰く品で,益次郎は釣り糸を垂らしていると水の中から現れた女に水の中に引きずり込まれてしまう。そこが材木商鳴海屋の木場だったので,鳴海屋の若い衆などに助け出され事なきを得た。
    皆塵堂に来て早々怖い目にあってしまった益次郎だが秘めた思惑のために逃げ出すわけにもいかない。
    「おいらの机だ」
    益次郎が店番をしていると,甚左の連絡係と思しき浪人がやってきて店先で騒ぎを起こす。手荒なことはしないという甚左の噂にそぐわないと少々疑問に思うのだが。
    宮越礼蔵(以前,呪いの刀と辻斬りの事件で登場)がやってきて手習い所を始めたものの,必要な道具類が足りないので手に入れたいという。そのすぐ後,益次郎は店の中で子供の幽霊を見てしまう。その幽霊の視線の先に,手習い所で使うようなできのよい天神机があった。入手経緯から曰く有りげの品であったが,手習い所で使うなら昼間だから大丈夫だろうと,宮越の手習い所に持っていく。するとそこに来ていたこの一人が,この机は自分のものだと泣いて駄々をこねだす。
    「幽霊屋敷 出るか出ないか」
    猫を飼いたい巳之助は,そのために猫好きの女房をもらう必要があると考え,神頼みをして回っていた。その途中で,風体の悪い男に絡まれていた女を助ける。その男は近所で評判の遊び人茂蔵だった。何故か助けた女には見向きもされないのに,やっつけた茂蔵の方に男惚れされ懐かれてしまう。
    皆塵堂に宗右衛門という男が現れ,手持ちのとある家の中にある道具類を一切合財引き取って欲しいという。そこで伊平次は益次郎に巳之助を連れて引き取ってくるように言いつける。巳之助は依頼主が振る舞うという酒に釣られたのだったが。胡散臭い話と訝る益次郎に,伊平次は太一郎が大丈夫だといったからと安心している。しかし,泊りがけで引き取りに行った二人は夜中に幽霊を見てしまう。
    「人形の囁き」
    主人のために根付を見繕いに来た庄三郎の帰り道に同行した益次郎は庄三郎の顔見知りの伊勢屋の主人・久兵衛から見てほしいものがあると言われて伊勢屋に向かう。久兵衛が見せたのは立派な人形だった。伊勢屋には幼くしてなくなった娘がいた。人形は娘のために作らせたもので,娘の部屋に置かれていた。ある朝女中のおまさが掃除をしていると部屋からなにか声が聞こえたのでこっそり除いてみると人形が動いて近づいてきたという。その後何度か同じようなことがあって,おまさは店を辞めてしまった。
    久兵衛は人形に娘の霊が憑いているかもしれないと考え,皆塵堂に見てほしいというのだ。
    益次郎は人形を連れて帰ると,夜中に気付くと,箱に入れてあったはずの人形が横に寝ていて,立ち上がって,「帰りたい」と囁くのを見てしまう。
    「蔵の中」
    益次郎の前に不意に甚左が現れてかねてからの計画を実行するという。益次郎はまだ蔵の中身を確かめられていなかったが別に構わないという。鍵を開けておくように言われるが,そもそも皆塵堂はちゃんと戸締まりなどしていない。しかし,実は...。

  • 店先がスッキリした気がするだけ
    良いかな?

  •  2015-05-23

  • 慣れてきたのかな、どんどん読みやすく面白くなった~
    なかなかまずい奴との関わりになってしまったけど、紙一重で踏みとどまれるのが天下分け目よね
    自分ばっかり辛い、から抜け出して、自分の幸福のことだけを考えられると先に進めるようになるね

  • シリーズ3冊目。毎回主人公が変わるので、登場人物が増えてきて楽しい。勧善懲悪というかんじで、安心して楽しめる。
    2018/5/6

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著者プロフィール

1972年、東京都生まれ。明治大学卒業。2008年に『掘割で笑う女 浪人左門あやかし指南』で第38回メフィスト賞を受賞し、デビュー。怪談と絡めた時代ミステリーを独特のユーモアを交えて描く。『古道具屋 皆塵堂』シリーズに続いて『溝猫長屋 祠之怪』シリーズも人気に。他の著書に『ばけたま長屋』『悪霊じいちゃん風雲録』などがある。

「2023年 『攫い鬼 怪談飯屋古狸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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