- 講談社 (2015年5月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784062931144
作品紹介・あらすじ
弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づく――。優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他13編。キュートでブラック、しかもユーモラス。異才を放つ著者初の短編集にして、大江健三郎賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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⚫︎感想
ひとつひとつ、大変興味深い短編が13編。
語り手の年齢、性別を自在に操る感覚に感銘を受けた。日常の設定からわずかに逸脱していく感覚が共通していて、興味深く読めた。また読み返したい。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づく――。優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他13編。キュートでブラック、しかもユーモラス。異才を放つ著者初の短編集にして、大江健三郎賞受賞作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作者初の短編集。大江健三郎賞受賞作品。
緩く壊れている感じで良い。 -
妄想炸裂する奇妙な物語
☆アウトサイド:問題児を改心させるピアノレッスン
名前で:カーテン膨らみ現象
p太郎:露天商襲撃
亡霊病:最幸の時発症
☆ピクニックシート:試着室,粘る客に究極サービス -
13の短編が収録されている。まず2つの作品を続けざまに読んだとき僕は、ずっとこれを求めていたに違いない! と目の覚めるような想いとともに、自分の読書脳と創作脳がほの温かく躍動し始めるのを感じたのでした。わかりそうな人たちに、「ちょっとこれ読んでみ」と前のめりで薦めたい。見つけた!感が泡立つのです。
話を展開をしていくために言葉のバランスを考えたり表現を考えたりしながら書いている部分と、内容や自己に沈潜して書いている部分と、そしてもともとの発想があると思うのだけど、三位一体的でした。そしてぎゅっとして無駄がない。
以下、とくに好きだった3作品についての感想です。
「私は名前で呼んでる」
カーテンのふくらみから妄想と記憶が流れ出す話。こういう、なんともいえない錯覚の渦中にいる感じってあるなあと思う。でも、言葉にできるほど意識の腕が届いていない領域のものでもある。この、書き手の「意識の立ち位置」みたいなものを考えないわけにはいかない。そんなところに立っていたか!と言うような立ち位置から書いている気がした。目を閉じて想像や思考の世界に耽溺しているだけでは書けない。だからといって目をかっと見開き外の世界をつぶさに見つめ続けるだけでも書けない。言うなれば、薄目で外の世界を眺めながら思考や想像ともつながっている意識で書いたような小説、という感じがして、そこを対象化して言葉にしたのがすばらしい。
「マゴッチギャオの夜、いつも通り」
猿山のなかのいっぴきの猿。名前をマゴッチギャオという。その猿山にいっぴきのチンパンジーが入れられることになり、マゴッチギャオはおそるおそる近づいてみる。この作品はもっとも寓意を感じるような話で、印象深い。ラストの締め方に一撃を食らいます、それもやられてしまう一撃ではなく、なんていうか力がわくような一撃です。
「ダウンズ&アップス」
主人公のデザイナーは、自分にこびへつらいお世辞ばかり言われる環境を、とても心地の良いものと肯定している。それも、強固な肯定感で。意見を言う若者を、表向きは物珍しさのために近くに置くようになるのですが、それでも、自己肯定感の恒常性のほうが強かった。意見を言う若者を近づけたのは、ほんとうに、物珍しさのためだけなのか。主人公の心の中にはいっさい迷いがないようではありますが、実は無意識のほうで渇望しているものがあったのだろうなとうっすらと思うのでした。しかし、この主人公の自己肯定感の強さはほんとうにすごくて、読んでいると、主人公が穢れのないくらい潔癖に正しい、と思えてしまうくらい。それほど、この短い話に揺さぶられてしまった。主人公像としては、アンディ・ウォーホルが思い浮かびました。
というようなところです。僕も自分の小説を書くにあたって、真似したいわけではないのだけど、自分の才能をぐいいっと空間の隅々まで伸ばして書くような書き方をしてみたいです。読み手としては興奮するし、書き手としては刺激になりました。よい出合いでした。おすすめです。 -
13篇、どれも読みやすくかつ奇妙だ。コント的でおかしい。読後がフワフワした感覚でした。
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ニヤニヤくすくすしてしまうような短編たち。
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本谷さんらしい語りがすごくよくて読みやすかった。
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ピアノの話が好きだったな
作者の人間性の狂いようがなんとなく香ってくるような作品。全く異なる短編を時間が空いた時に味わいたい人用 -
ほどよい加減の『奇妙な味』の短編小説集。
このくらいが好みだわ~と思った。初本谷有希子氏作品でした。
読後に大江健三郎賞受賞作品だと知り、ということは諸外国に翻訳されて出版されたのかと思うとそれはすごくイイ!と思った。 -
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なんとも珍妙な話ばかりの短編集であるが、よくこんな発想できるよなぁと感嘆しながら読んでいたらあっという間でした。
これだけ入ってると「ふむ…」という話がありそうなのにそれがまたひとつもない不思議。 -
この人の書く文章は心地よすぎて、いっそ毒であるように感じる。「哀しみのウェイトトレーニー」「亡霊病」「Q&A」がとくに好き。
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作者を先に知って、そこからこの本に辿り着いた。作風を知らなかったから読み心地が浮ついていたけど、最後まで読んでようやくこういうジャンルか、と理解した。あとがき?として寄せられていた文章を読んで作品の異質さを知る。
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ずっと、クスクス笑いながら、でもどこか、後ろを振り返りたくなるような怖さもありつつ…短編だからこそ、後をひきづることなく読み終えられました。
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変な話ばかりで面白かった
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シュールなんだけど、全体的にちょっと切ない気持ちになったりして、だからきっとこの小説は人間の本質を鋭く突いた内容なんだ。と私は理解したのだけれど、でもその解釈で合ってる?ねぇ合ってる?って不安になるようなそんな読後感。
「哀しみのウェイトトレーニー」や「彼女たち」は男女の思考や感情の相違を上手く描いてて「私は名前で呼んでる」や「Q&A」は女性の社会での生き難さを表現してるのかなー。って思ってはみるものの自分の読解力のなさと表現力のなさに絶望。
とりあえずシミュラクラ現象はどっかで使ってみたいな。って思いました -
私が毎週観ている番組のレギュラー出演者でもある本谷さんの小説を前々から読んでみたいと思っていた。テレビでお話しされている本谷さんしか知らなかったため、最初は「本谷さんってこういったお話を書かれるのか!」と現実と小説の世界を行き来させながら読んでいたのだが、あっという間に彼女のつくる独特且つ奇妙な世界に引きずり込まれることとなった。
13篇どれを取ってもかなり変わったストーリーだったと言える、しかし一度入り込むと病みつきになりページをめくる手が止まらなくなってしまう。
なんだか催眠術にかかっている気分だった。 -
3.4
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再度
著者プロフィール
本谷有希子の作品
