国を蹴った男 (講談社文庫)

  • 講談社 (2015年5月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784062931151

作品紹介・あらすじ

武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉――天下に手を伸ばした英雄たちの下、負けられない一戦に挑む者たちの生死の際を描く。

みんなの感想まとめ

歴史の舞台で敗者たちの物語を描いた短編集は、戦国時代の緊迫した戦いに挑む人々の生死をテーマにしています。著者の筆致は熱く、登場人物たちの心意気や選択の重さが、読者に強く伝わってきます。特に、武田軍の牢...

感想・レビュー・書評

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  •  6編収録の歴史小説短編集。

     伊東潤さんの作品は”熱い”です! 
    戦国時代の己の生命を懸けた戦いに挑む人々を
    描くからか、伊東さんも作品を書いている時、
    アドレナリンがめちゃくちゃ上がっているの
    ではないかと自分は感じています。
    そのアドレナリンが作品を通して読者である
    自分に伝わってくるように思います。だから
    ”熱い”のです!

    どの短編も読み応え十分の傑作・佳作揃いですが
     いわゆる傭兵的存在である武田軍の牢人衆を
    描いた「牢人大将」は彼らの心意気が非常に
    カッコいい作品です。

    「天に唾して」は時の権力者、豊臣秀吉と最後
    まで戦い抜いた茶人の山上宗二の姿や心理描写が
    凄まじくそして素晴らしいという言葉につきます!

    「毒蛾の舞」は武将という男同士の戦いという面
    だけでなく、女の強さや妖艶さ、計算高さ、そして
    それに翻弄される男の姿を描いた、他の作品とは
    また違った意味で非常に中身の濃い短編になって
    います。

    表題作の「国を蹴った男」は蹴鞠職人の男が主人公。
    身分を越えた絆の強さや、選択を迫られる場面、
    そして時代に翻弄された男の切なさなど、傑作
    揃いの短編集の中で表題作を飾ったのも納得の
    読み応えでした。
     
     各短編に共通するのは歴史上の敗者たちの物語です。
    そのため表舞台でなかなか語られることのない彼らの
    物語に対し、伊東さんは敬意を持って新たに魂を
    吹き込んでいる、そんな風に読んでいて感じました。

     文庫表紙の著者紹介で伊東さんが「高校生直木賞」
    なるものを受賞されていると紹介されていたのですが、
    それもなんとなく分かります。
     
     これは過去一年の直木賞候補作の中から、
    高校生が直木賞を決めるという企画らしいのですが、
    これだけ物語に魂を込められる伊東さんの物語ならば、
    歴史小説というある程度読み手の年齢層が固まって
    しまうジャンルでも、それに関係なく読み手の心に
    届くはずです。

     小説のジャンルの幅が狭くなっている昨今、
    いろんな世代に伊東潤さんの熱い小説が読まれて
    ほしいな、と思います。

    第34回吉川英治文学新人賞

  • 短編集なので、さらっと読むにはちょうどいい
    読み易いし、ストーリーも面白い
    一本一本ちゃんとしてて、考えさせられるところも多い
    戦国武将の評価や人となりというのは
    本当によくわからない
    全てとは言わないが、かなりの部分は後世に面白おかしく作られたはずで、本当のことは誰にもわからない
    江戸後期から維新の時代だってかなり怪しいわけで
    ましてや信長や秀吉がどんな人間だったかなんてわかるはずがない
    そういった意味では歴史物はやはりファンタジーと言うべきか
    たまたま今大河ドラマで秀吉は出てくるが
    あんなにいい人間であるはずもなく、もっと卑しくてずる賢くて、嫌な人間と考えたほうが自然である
    しかしファンタジーである以上、面白ければよい
    ボクは現代物もよく読むし、好きだけど
    上橋菜穂子や司馬遼が大好きなのだと再認識

  • 一つの短編はとても上手く作られていると思います。でも、なんとなく出来すぎていて、司馬さんの域ではないかな?そんなこと言える立場ではありませんが

  • 権謀術数の時代にある戦国時代を背景に、新鮮な切り口で歴史上の人物を描いている

  • よかった。特に「天に唾して」「国を蹴った男」。かたや天下人秀吉に喧嘩を売った宗二、かたや生まれる時代を間違えた氏真を愛した五助。末期は「死」に行き着くが、男の生き様を見た思いで感動した。痛快な短編に出会い嬉しい。

  • そこまで有名ではない武将(茶人や鞠師も)を主役にして、心情の描写がまた素晴らしいのがこの著者の作品。めちゃ面白い。
    名和無理之介、長束正家、北条秀広、佐久間盛政、山上宗二、今川氏真がそれぞれの話の中心。敗者と呼ばれるような人たちだが、彼らの生き方も時代や場所で大きく変わっていたんだろう。とにかくそれぞれの人生を精一杯生き切ることが大切だと思わされる。
    前田利家や直江兼続など、一般受けのいい武将も見方によって全然印象は変わってくる。

  • 例え蔑まれても馬鹿にされても時代についていけない阿呆でも、好きなことを極め、ただ自分のやりたいことのみ没頭して生きられたらどんなにいいだろう。
    でも崇高なのはそんな生き方だけではない。常に身を削って命のやり取りをしたり、騙されても自分の願望に取り憑いてしまったりと、ちょっと醜い、愚かな生き方でもやっぱり人が生きていく姿は心を揺さぶる。

  • マイナー人物に焦点を当てる。ストーリー展開は単純化されてるがメジャー人物の捻り具合がいい。この兼続が兜に掲げる「愛」は何愛だろうか。描写はどうあれ、まつは利家を押し上げた戦国屈指の女房。清々しい程の蹴鞠愛好家、氏真は戦国の妖精さん。たぶん地面から少し浮いてる。現代なら日本を代表するフリースタイルフットボーラーになれたはず。牢人衆の心意気「牢人大将」、三成らしく思える「戦は算術に候」、茶人の覚悟「天に唾して」が好み。

  • 第54回アワヒニビブリオバトル「選ぶ」で発表された本です。
    20197.02

  • 五味与三兵衛貞氏、長束正家、毛利秀広、佐久間盛政、山上宗二、今川氏真と、比較的マイナーな人物についての短編。どれもこれもあり得るな、と思わせるストーリー展開で大変面白い。
    佐久間の独断専行が言われる賤ヶ岳についても、まつの話はさておいても、前田への期待を前提とすれば佐久間の意図は近いところなのかな、と思わされる。
    メジャーどころの大名クラスについては大御所が書ききってしまっているので、若手の作家さんはマイナーどころからスタートせざるを得ないのだろうけれど、この手の武将に光が当たって小説になるのはとても嬉しい。

  • 戦国時代を舞台に、それぞれの信念を持って生きた人達の物語。自分は、茶人宗二の話が面白かった。天下人にも恐れず筋を通したところは爽快

  • 国など要らぬ。欲しいのは.......
    欲しいものは、人それぞれ違う。本当に人を突き動かすものは、もっと目に見えないもの、なのかもしれない。

  • 牢人大将(那波無理之輔、五味与惣兵衛門。「長篠合戦」)
    戦は算術に候(石田三成、長束正家。「関ケ原合戦」)
    短慮なり名左衛門(毛利名左衛門、直江兼続)
    毒蛾の舞(佐久間盛政、まつ。「賤ケ岳の戦い」)
    天に唾して(山上宗二。小田原合戦)
    国を蹴った男(今川氏真、五助)

    信玄や信長、秀吉は天下に手を伸ばした名将でありながら、ときに義を忘れ欲から逃れられずに生涯を閉じた。
    一方で、彼らに翻弄されつつも恩を重んじ、自らの信念を貫き通した者たちがいた。明日なき乱世で、誇り高き牢人、茶人、職人らが命を賭して挑む、それぞれの戦い
    。吉川英治文学新人賞受賞作。

  • 全六話からなる短編集。浪人大将、長束正家、蹴鞠職人などあまりスポットライトを浴びない個性ある主人公の物語が面白い。

  •  この方の歴史短編は、誰を題材にしても深みがあって、本当に外れがない……今回も良作揃いでした。
     戦国時代の「敗北者」たちをピックアップした短編集ですが、市井の人の活躍が大好きな私のお気に入りは、数字・経済的側面からの戦を描く「戦は算術に候」と、蹴鞠職人の視点で今川氏真を見守る表題作「国を蹴った男」。他のタイトルにも共通していますが、戦や政治以外の才にたけた人物たちの、だからこその皮肉が光ります。
     そんな中で異彩を放つのが、冒頭作「牢人大将」。政治的思惑に踊らされることなく、己が意志を貫き、己が職務を全うする無理之介の天晴な戦いぶりが清々しいです。
     それにしても、伊東さんが描かれる三英傑のキャラクターの、首尾一貫していることよ……。

  • いずれも主役になることのなかった人物が主人公の6編.長束や佐久間は名が通っているが,それ以外に本当に聞いたことのない(実在かどうか分からない)人物が主人公の話もあり.
    秀吉の小田原攻めに北条側として立ち会うこととなった茶人が主人公の「天に唾して」が痛快である.ちなみに,6編の主人公達は全員死にます.

  • 人を使うこと、人を信じることの難しさが身にしみる。
    相変わらず伊東イズムは漢の牢人衆や武将、高名な茶人、無名の鞠職人に至るまで義を貫く生き方の人選が絶妙。結果その先に死が待っているのだけど、家や子に縛られる女にはできない生き方に惚れ惚れしてしまう。でも、義に死なず汚名や恨みを買ってでも生き延びてほしい妻の本音も分かるなぁ。どちらを選んでもそこが十人十色の人間のおもしろさ、間違いじゃないと思いたい。
    表題作は短編にしておくのがもったいないほどの底光りある逸品。

  • 良かった。

  • どの作もとても面白かった。
    軽快で読みやすく、長さもちょうどいい。

  • 庶民の戦いを書いた本。それぞれの矜持が丁寧に描かれていた。

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著者プロフィール

1960年神奈川県横浜市生まれ。私立浅野中学、浅野高校、早稲田大学卒業。日本IBM(株)入社後、おもに外資系日本企業の事業責任者を歴任。
著書に『戦国関東血風録 北条氏照・修羅往道』(叢文社)、『悲雲山中城 戦国関東血風録外伝』(叢文社)がある。
加入団体に『八王子城とオオタカを守る会』『八王子城の謎を探る会』『ちゃんばら集団剣遊会』『三浦一族研究会』等。
趣味 中世城郭遺構めぐり 全国合戦祭り参加 ボディビル エアーギター アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加(8位) 「湘南百年祭記念選手権」優勝等各種レース入賞多数
*ご意見、ご感想等の連絡は下記のメールアドレスへ
jito54@hotmail.com

「2006年 『虚けの舞 織田信雄と北条氏規』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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