国を蹴った男 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 140
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931151

感想・レビュー・書評

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  •  6編収録の歴史小説短編集。

     伊東潤さんの作品は”熱い”です! 
    戦国時代の己の生命を懸けた戦いに挑む人々を
    描くからか、伊東さんも作品を書いている時、
    アドレナリンがめちゃくちゃ上がっているの
    ではないかと自分は感じています。
    そのアドレナリンが作品を通して読者である
    自分に伝わってくるように思います。だから
    ”熱い”のです!

    どの短編も読み応え十分の傑作・佳作揃いですが
     いわゆる傭兵的存在である武田軍の牢人衆を
    描いた「牢人大将」は彼らの心意気が非常に
    カッコいい作品です。

    「天に唾して」は時の権力者、豊臣秀吉と最後
    まで戦い抜いた茶人の山上宗二の姿や心理描写が
    凄まじくそして素晴らしいという言葉につきます!

    「毒蛾の舞」は武将という男同士の戦いという面
    だけでなく、女の強さや妖艶さ、計算高さ、そして
    それに翻弄される男の姿を描いた、他の作品とは
    また違った意味で非常に中身の濃い短編になって
    います。

    表題作の「国を蹴った男」は蹴鞠職人の男が主人公。
    身分を越えた絆の強さや、選択を迫られる場面、
    そして時代に翻弄された男の切なさなど、傑作
    揃いの短編集の中で表題作を飾ったのも納得の
    読み応えでした。
     
     各短編に共通するのは歴史上の敗者たちの物語です。
    そのため表舞台でなかなか語られることのない彼らの
    物語に対し、伊東さんは敬意を持って新たに魂を
    吹き込んでいる、そんな風に読んでいて感じました。

     文庫表紙の著者紹介で伊東さんが「高校生直木賞」
    なるものを受賞されていると紹介されていたのですが、
    それもなんとなく分かります。
     
     これは過去一年の直木賞候補作の中から、
    高校生が直木賞を決めるという企画らしいのですが、
    これだけ物語に魂を込められる伊東さんの物語ならば、
    歴史小説というある程度読み手の年齢層が固まって
    しまうジャンルでも、それに関係なく読み手の心に
    届くはずです。

     小説のジャンルの幅が狭くなっている昨今、
    いろんな世代に伊東潤さんの熱い小説が読まれて
    ほしいな、と思います。

    第34回吉川英治文学新人賞

  • いずれも主役になることのなかった人物が主人公の6編.長束や佐久間は名が通っているが,それ以外に本当に聞いたことのない(実在かどうか分からない)人物が主人公の話もあり.
    秀吉の小田原攻めに北条側として立ち会うこととなった茶人が主人公の「天に唾して」が痛快である.ちなみに,6編の主人公達は全員死にます.

  • 表題作、戦は算術に候、天に唾した男が良かった。

著者プロフィール

1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。外資系企業に長らく勤務後、文筆業に転じる。『国を蹴った男』で吉川英治文学新人賞、『黒南風の海‐‐加藤清正「文禄・慶弔の役」異聞』で第1回本屋が選ぶ時代小説大賞、『義烈千秋 天狗党西へ』で歴史時代作家クラブ賞(作品賞)、『巨鯨の海』で山田風太郎賞と第1回高校生直木賞、『峠越え』で第20回中山義秀文学賞を受賞。『城を噛ませた男』『国を蹴った男』『巨鯨の海』『王になろうとした男』『天下人の茶』で5度、直木賞候補に。著書に『武田家滅亡』『天地雷動』など多数。

「2019年 『家康謀殺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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