獅子渡り鼻 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931533

作品紹介・あらすじ

小さな入り江と低い山並みに挟まれた土地に十歳の尊は連れて来られた。言葉が話せず体も動かせない兄と尊を、都会の狭い部屋に残していなくなった母があれほど嫌っていた田舎。豊かな自然と大人たち、霊的なるものに慈しまれ、尊は癒されていく。芥川賞受賞作「九年前の祈り」に連なるの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 映画「誰も知らない」を彷彿とさせる都会の子捨ての話を背景に、だが作家は人と社会の温かさを信じている人だ。
    何があったか、詳細はわからぬまま、厳しい経験を経た10歳の尊はいま、消息の知れない母の故郷、南の小さな漁村にいる。
    いつまでも続くかのような夏休み、掃き清められてしんと静かな神社、老人が毎日参る墓、縁側で食べるスイカ、遠慮なく出入りする近所の人たち。
    都会に暮らし外国でも暮らした作者が故郷を思う時の風景はこういうものなのだろうか。
    そして、母がつぶやいていた「こんなところ、早く出て行きたかった」という言葉もまた作者の言葉か。
    幻を見る尊の目から彼らが消える日はくるのか。
    なまなましい暗さをたたえながらも見えるものは明るい、この作品の続きが読みたい。

  • 小さな入り江と低い山並みに挟まれた土地に十歳の尊(たける)は連れて来られた。言葉が話せず体も動かせない兄と尊を、都会の狭い部屋に残していなくなった母があれほど嫌っていた田舎。豊かな自然と大人たち、霊的なるものに慈しまれ、尊は癒されていく。芥川賞受賞作『九年前の祈り』に連なる〈希望と再生〉の物語。

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著者プロフィール

1970年、大分県生まれ。小説家、仏語文学研究者。現在、立教大学文学部文学科文芸・思想専修教授、放送大学客員准教授。2001年、「水に埋もれる墓」で朝日新人文学賞、2002年、『にぎやかな湾に背負われた船』(朝日新聞出版)で三島由紀夫賞、2015年、『九年前の祈り』(講談社)で芥川龍之介賞受賞。エッセイ集に『浦からマグノリアの庭へ』(白水社)、訳書にV・S・ナイポール『ミゲル・ストリート』(小沢自然との共訳、岩波書店)、ポール・ニザン『アデン・アラビア』(河出書房新社)、アキール・シャルマ『ファミリー・ライフ』(新潮社)ほか多数。

「2018年 『ヨロコビ・ムカエル?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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