欺きの家(上) (講談社文庫)

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931540

作品紹介・あらすじ

退職目前、古参社員ケラウェイが命じられたのは社史編纂のための記録探し。買収合併を繰り返して世界的大企業にのしあがった会社の記録の一部が紛失していたのだ。ケラウェイは四〇年あまり前の記憶からたどり始める。それは今も彼の心に重くのしかかる、一人の少年の死の真相をつきとめる旅でもあった。

感想・レビュー・書評

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  •  定年退職を控えていたジョナサンは、社史編集のための記録探しを命じられる。

     その会社の創業一族には不審な死者が多い。
     記録探しは、ジョナサンの回想につながり、それは事件の真相へつながっていく。
     とはいえ、派手な推理なんかはありません。
     丁寧に、一族の出会いとつながりと何があったのかが語られるだけ。なのに、この重さ。ジョナサンが、感傷的じゃないからこそ、過去の輝きがまぶしい。そして、過去が輝いているからこそ、今の零落が切ない。
     老いたジョナサンに現状を変える力はない。

     切ない。
     何もかもが切ない話だった。

  • ゴダード作品の登場人物は、作中でほぼ例外なく過去と向き合うことになる。かつて「過去という部屋は、背後で扉が閉まる音を耳にしてはじめて、その存在に気づかされるものだ」と語られたとおり、今回も「とうに忘れたつもりだった謎に肩を叩かれ」る。前作の『隠し絵の囚人』が一本の奇妙な電話からだったように、今作もリタイア間近の主人公に舞い込む、欠落した社史編纂資料の探索依頼によって物語の幕が開く。記憶の積み重なりによって消し去られた幸せも、痛切な思い出とともに蘇り、謎の始まりだけでなく、自身の原点をも見出すことになる。

    「思い出とは、ただの記憶に残った経験のことではない。思い出とは、わたしたちに時空を飛び越えさせるものだ。歳を重ねたわたしたちは、若かりしおのれが見たりかかわったりした出来事を思い起こし、あのころの自分といまの自分はほんとうに同じ人間なのかとしばしば心に問う。思い出とは、かつて知っていた人々の幻影だ。そして、困ったことに、わたしたち自身もそのうちのひとりなのだ」

  • リーダビリティはよし。40年間をうまく埋められるのかだ。

  • 感想は下巻で。

  • レビューは下巻にて。

  • ロバート・ゴダードの最新作。
    講談社のゴダードは割とサスペンス色が強めで、スピーディな展開のものが多いというイメージがあったのだが、今作はじっくりと過去に向き合っている。文春文庫や創元推理文庫でゴダードを読み始めた読者には懐かしい雰囲気だった。
    逆に主人公の造形は落ち着いていて、否応なしに事件の渦中にあったこれまでの主人公とは一線を画している印象。『巻き込まれる』には違いないが、『社命』というのは、これまでの主人公が置かれた立場からするとかなり優しく思えるw

  • 退職目前、古参社員ケラウェイが命じられたのは社史編纂のための記録探し。買収合併を繰り返して世界的大企業にのしあがった会社の記録の一部が紛失していたのだ。ケラウェイは四〇年あまり前の記憶からたどり始める。それは今も彼の心に重くのしかかる、一人の少年の死の真相をつきとめる旅でもあった。

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著者プロフィール

1954年英国ハンプシャー生まれ。ケンブリッジ大学で歴史を学ぶ。公務員生活を経て、’86年のデビュー作『千尋の闇』が絶賛され、以後、作品を次々と世に問うベストセラー作家に。『隠し絵の囚人』(講談社文庫)でMWA賞ペーパーバック部門最優秀賞を受賞。他の著作に、『還らざる日々』『血の裁き』『欺きの家』(すべて講談社文庫)など。

「2017年 『宿命の地(下) 1919年三部作 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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