河原町ルヴォワール (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.24
  • (23)
  • (26)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 209
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062932110

作品紹介・あらすじ

最強の女、死す。
どんでん返しに次ぐ、どんでん返し。
1行も見逃せない、法廷ドラマが始まる。

賀茂川と高野川が合流する鴨川デルタ。瓶賀流が目撃したのは、濁流に呑み込まれる友人、龍樹落花の姿だった。下流で発見された落花の遺体。その死を信じることのできない妹の撫子。だが、落花殺しの罪で双龍会に連れ出されたのは、兄の大和だった。同門対決の掟を破った禁断の双龍会が始まる。

愛する者を失った龍師は強くなる。
運命だって、復讐相手にする。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 登録してレビュー書いていたのが電子書籍版であった。実際は文庫本につき再登録、レビューもコピペしました。


    ルヴォワールシリーズのどうやら最終巻、シリーズ完結に相応しい終幕であった。

    以下完全ネタバレにつき、ご注意ください!





















    このシリーズ当初からミステリの、ありとあらゆる騙しの仕掛けに満ち満ちていた、これ以上の仕掛けなんて果たしてあるものか?と思うほどだったのが、またしても仕掛けてきた。文庫本の体裁、構造をも使用したトリックであった。それは174pを境に分岐する構成だった。

    その前にであるが、前作で城坂論語の離脱、撫子と論語の別れ、敵陣営への加担、龍城大和の敵陣営への加担、と不安要素盛りだくさんで終わった後の。今作の序盤で当主龍城落花の死が訪れる!いやいやまさかの叙述トリック、実は生きてる、を疑わざるをえない。しかしながらどうやら本当のことらしい、実は生きていたのだが序盤で疑ったにも関わらず見抜けなかった。読み手として悔しい限りである。

    本筋は落花の死の真相を巡る双竜会での舌戦であるが、龍城撫子がメインとして登壇する。やっとメインヒロイン登場!という展開である、龍師としての技量は他のキャラに見劣りするものの、その普通さが読者には理解し易く、彼女に感情移入することによって今作のトリックに陥る伏線となっていたように思える。

    そして撫子の対戦相手が、城坂論語と龍城大和である。元カレと実兄を相手に戦うのだ。そして撫子は運命の決断を下すことになる。ここが174pの件であった。

    今作は4章からなり、1章は落花死亡にまつわるプロローグ、2章以降は双竜会での闘論である。そして時間軸が、章を構成するパート毎に詳細に記述されている。2章最後の撫子の決断とは、以降の対戦龍師を論語、大和、どちらかを選ぶ、というものだった。それを受けて3章は流れていくはずなのだが…234pで突然混乱、困惑することになるのだ。時間軸が被ってる!?さっきは論語と闘ってたのに?同じ時間に大和と対戦?これって今時のタイムリープとか?ファンタジーになっちゃった?という疑念は、全て作者の仕掛けたトリックの内にキレイに纏まることとなった。大どんでん返しのうちに...

    既読の方々には、感じた混乱、困惑、伏線の回収等々、この気持ちを共有していただけると思う。総じてこれでもか!のトリック満載のシリーズを、ここまで継続しまとめ上げ、その物語に活躍するキャラクターを、脇役も含めて、いちいち魅力的過ぎるほどに創り上げ、読者を唸らせ続けた作者の偉業であると、個人的に断ずる。

    いろんなところで中二病的とも評価されてるようだが、ラストはまさにその評価に相応しく、そして大好きな終わり方だった。

    このシリーズがメディアミックスの流れの中で、アニメ化もドラマ化もされていないの甚だ残念でならない。これアニメになったら絶対見る。

  • シリーズ最終作。劇的な展開からミステリの場面展開が連続するパラレルワールド的展開は、シリーズで1番ハマった。このシリーズは正直乗り切れないところも多かったが、キャラクターの魅力があり楽しめたなぁという切なさもある。

  • ラスト河原町。面白かった。前の3巻は拗さも残って今ひとつに感じたけど、ここに至って読み返しても良いかなと思えました。

  • 記録

  • シリーズ最終巻。実に堂々たる完結で、シリーズ最高と言ってもいい大仕掛けを見せてくれる。シリーズを通しての全ての伏線に決着がついているのかどうかは怪しいものの、大いに満足させてくれる作品だった。

  • シリーズ最終作。
    衝撃の冒頭から始まり、何か違和感を含んだ中盤とどんでん返しの連続である後半という変化に富んだ構成でしたが、前作を読んでから時間が空きすぎて上手く世界観についていけなかった。
    もう一度一気読みしてみれば印象が変わるかも。

  • ○ 総合評価  ★★★★☆
    〇 サプライズ ★★★★☆
    〇 熱中度   ★★★☆☆
    〇 インパクト ★★☆☆☆
    〇 キャラクター★★★★★
    〇 読後感   ★★★★☆
     京都を舞台とした円居挽のルヴォワールシリーズの第4弾にして最終作。物語の舞台は,再び双龍会に戻る。物語の冒頭で鴨川デルタで濁流に飲み込まれる龍樹落花の殺害を理由に落花の兄,龍樹大和を御贖(被告人)とした双龍会が開かれる。
     先にネタバレをしてしまうと,この双龍会そのものが黄昏郷に引導を渡すために龍樹落花が仕込んだ罠だった。落花は双鴉の計を用いる。すなわち,臥虎の間と蔵竜の間。二つの間にそれぞれの双龍会を用意し,黄昏郷=城坂慈恩(城坂論語の祖父)を打ち倒す。そのために落花は死んだふりをし,大和と論語は仲間割れをしているふりをしていた。
     1000年生きるという黄昏郷が,同一人物ではなく代々優れた人物が入れ替わってきており,現在の黄昏郷が城坂慈恩だった。城坂慈恩は自らの後継者を作るために,デザイナーチャイルドとして(あるいはクローンとして),城坂論語を作り出した。
     大和も論語も,現在の黄昏郷である城坂慈恩を倒すために龍樹を離れ,青蓮院の龍師となる。
     双鴉の計を成り立たせるには火帝となるもう一人の黄昏郷が必要。もう一人の黄昏郷には,もともと黄昏郷になる予定だったというサントアリオ病院の院長,ノックスマンが務めた。
     サントアリオ病院は,クローンやデザイナーチャイルドの研究のほか,不老や若返りの研究,落龍疫という病気の研究までしていて,物語の核となる存在の一つ。
     双鴉の計を成立させるには,天親家の協力が不可欠だった。天親寅彦はウィッグの存在から落花が生きていることを見抜き,双鴉の計をするのだと考えて2つの会場を押さえていた。
     …というような話。いかにもルヴォワールシリーズらしい筋書き。どうして黄昏郷=城坂慈恩を倒すために,わざわざこんなことをしたのかとか,そういうところは描かれない。ただ,面白い筋書きがあればよい,そういう割り切りがある。
     黒幕だった城坂慈恩があまりに小物だったのが残念。それでも,龍樹落花,龍樹撫子,瓶賀流,御堂龍也などの主要キャラクターは存分に活躍するし,ルヴォワールシリーズの設定や世界観が好きなら十二分に楽しめる。
     ラストは論語と撫子のロマンスで終わる。この読後感も悪くない。
     落花が生きていたことや,黄昏郷が城坂慈恩だったことにはそこまでの意外性はない。ただ,パラレルワールドを描いているかのような展開が,実は双鴉の計だったというところは素直に驚ける。サプライズ感は高い。このシリーズの雰囲気が好きということもあるが★4としたい。

  • 1作目から全部が伏線で最高のどんでん返し。

  •  いやいや、こんなはずないでしょう? 嘘でしょう? 信じられない……から始まるシリーズ最後の双龍会。読んでるうちにだんだんわけがわからなくなるのに、読み終えた後に腑に落ち、もう一度シリーズ第1作から読み返したくなる。
     伏線の張り方がすごい。

  • 2018年7冊目。落花の死という衝撃から始まるシリーズ最終作。今作の主人公と言える撫子が双龍会で見せる執念と成長は見事。仕掛けもバッチリ決まって、最後も綺麗に締まる素晴らしい終わり方でした。

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ミステリ作家。1983年、奈良県生まれ。2009年に『丸太町ルヴォワール』で講談社BOXからデビュー。同作から始まる〈ルヴォワール〉シリーズ(講談社)のほか、著作に『キングレオの冒険』(文藝春秋)、『シャーロック・ノート』(新潮文庫nex)など。

「2022年 『円居挽のミステリ塾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

円居挽の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
伊坂 幸太郎
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×