森の家 (講談社文庫)

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  • 講談社 (2015年12月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784062932523

作品紹介・あらすじ

自由のない家族関係を嫌う美里は、一回り年上の恋人と彼の息子が住む家に転がりこむ。お互いに深く干渉しない気ままな生活を楽しむ美里だったが、突然の恋人の失踪でそれは破られた。崩壊寸前の疑似家族は恢復するのか? 血の繋がりを憎むのに、それを諦めきれない三人。「家族という概念は放浪の旅に似ている。人はまるで終わりのない旅のように、いつまでも本当に安らげる自分の居場所を探していく」――千早茜


名も知らぬ木々で覆われた、森のように静かな家で暮らす、佐藤さんとその息子・大学生のまりも君。そこへ転がり込んできた、佐藤さんの恋人の美里。理解されない孤独をそれぞれに抱える3人は、どこか寄り添うように、「森の家」での奇妙な共同生活を続けるのだが――。

血の繋がりを憎むのに、それを諦めきれない3人。崩壊寸前の疑似家族は恢復するのか? 

小説すばる新人賞・泉鏡花文学賞ダブル受賞の異才が描く、ちょっと普通じゃない、「家族」のカタチ。直木賞候補『男ともだち』著者が放つ傑作!

「家族という概念は放浪の旅に似ている。人はまるで終わりのない旅のように、いつまでも本当に安らげる自分の居場所を探していく」――千早茜

感想・レビュー・書評

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  • 20250505読了
    読了してから感想つけるのに1か月も空いてしまった…。

    ◆あらすじ
    血のつながらない3人の家族(?)の関係性を描いた作品。
    登場人物は3人。
    父親的存在に相当する佐藤聡平さん、佐藤さんと恋仲になり、家に転がり込んできたみりさん、聡平さんの息子(血縁関係は不明)にあたる19歳のまりも君。
    父親役を務めてくれていた聡平さんが、まりも君の成人を目前にして黙って家を出て行ってしまう。
    聡平さん不在の中、みりさんとまりも君というなんの関係性もない二人の共同生活が淡々と過ぎていく中、
    みりさんも佐藤さん探しに家を出て・・・。
     
    ◆感想
    元の生まれた家庭(血のつながった家族)に事情があり、よりどころのない3人。同じところにいるのに、"すごくさみしいところにいる"3人。
    そんな事情を抱えた、定義し難い関係性の自分達に対して、p79のみりさんの考え方が、自然体で、何にも囚われていない感じがすごくいいなと思った。
    "恋人だから、家族だから、こうしなければいけないとかではなくて、一人の人間としての心の揺れや綻びを感じとっていけばいい。繫ぎとめるための言葉なんていらない。さみしさを共有できたら、それでいい。血の絆がない私たちはきっといつまでも不安だろう。でも、だからこそ、本当の姿を見つめていける可能性だってあるはずだ。根も葉も繋がってない別々の木が寄り集まって森を作るように、ばらばらの私たちでも一緒にいればきっといつか自然なかたちになる。"
    本当に大事なのは、血の繋がりではなく、互いを思いやること、その通りだなと思う。

  • さびしい三人の、家族のお話。大学生のまりもくん、佐藤さんの彼女のミリさん、佐藤さん。

    家族観みたいなものがとても近く感じられて、すごく救われた気がした。あとがきのラストの一文で泣き崩れたよ…

  • 森閑とした気味の悪さの物語。

    登場人物それぞれの家族が錘のように、被さってしまう。

    あとがきにあるように、この物語は不健康かもしれない。

    こういったひとたちにとって、家族という存在や、子どもを産むという行為はまるで枷や呪いのようなのだ。

    そして、こういうひとはどんなに楽しそうに仕向けられても、どこか世界や他人が不穏であると感じてしまう。

    P.124『「なんか嘘くさいじゃない。あの夢みたいな場所も、あそこに連れて行けば喜ぶと思っている親も。きらきらしているのは表面だけで、中は空っぽな気がする。」』

    P.128『「従業員も客もみんな笑っていて、何もかも楽しむだけに作られていて、遊び続けなくてはいけないような気分にさせられる場所だと思った。(・・・)心から楽しめる人もいるのだろうけど、私は小さい頃からそうじゃなかったな。怖いし、なんか、すごくさ みしかった。」』

    こうした恐怖心やさみしさは深く、自他を知らず知らず傷つけてしまう。

    他者との距離感をどうしても掴みにくくなってしまうのだろう。

    美里はこれに加えて女性性という枷も加わり、出産した友人の姿を薄気味悪くとってしまう。

    出産直後の原初的没頭の姿も気味が悪いのだろう。

    まりも君も知らず知らず他者を傷つる。

    p.144『嘘をついても本当のことを言っても怒られてしまった。おまけに怒らせただけでなく傷つけてしまった。』

    この物語は家族という呪いの物語であって、その呪いは「家」という家族の器に湖のように溜められ、その湖は深く一度沈むと浮き上がれないように、のしかかる。

    物語後半のあおの湖はこうした家族という繋がり、ひととひとの境界という暴力的な側面の象徴なのかもしれない。

    あおの湖の逸話は大黒柱としての男性によって作られたものであるのも暴力的で気味が悪い。

    しかし、本当に気味が悪いのはまりもの母親(?)である香穂子だ。

    空虚で中身のない、まるで気配だけの存在のようだ。

    P.98『「気配はあるけど、顔は見えない」』

    しかし、その気配は生々しい。

    森閑とした、気味の悪さが漂う物語。

  • どの登場人物もどこか欠落していて、
    どうも共感できず入り込めなかった。

    どの人物を思い出しても、
    うーん、こういう人好きじゃないかも…
    と思ってしまう。
    でも、終わり方は良かったと思う。

  • 人から執着されたり踏み込まれるのを嫌がり愛情に飢えていて感情的で時には暴力も振う不安定なみりさんが全然好きになれなくて、なんでこんなキャラ設定にしたのだろうと思いながら読み進めると聡平さんを連れ戻すためだったのかと腑に落ちた。彼女には爆発的なパワーがある。
    まりも君が幸せになれますように。

  • 家族として暮らす30代のちや、40代後半の佐藤さん、20代のまりもくん。
    それぞれの視点で描かれた3部構成。
    家族とは何?を作者千早さんが描いた。暗い雰囲気だけど嫌いじゃない、不思議な作品だった。

  • 解釈の仕方がわからず、なんでこうなったのか不思議な気持ちで読み終わりました。

    特に佐藤さん。

    何をわかって欲しかったのー。
    誰かに大事にして欲しかったのかな…。
    3人とも寂しかったんだなぁ。

  • 血の繋がりもあやふやな形の同居で、”普通”の形でないことにさみしさがあったようですが、寄り集まればそれもまた1つの家族の形を見ることができるものでした。


  • 自分とはかけ離れた考え方も、何故か理解できる。
    自分勝手で傲慢な美里にイライラするけど、それはきっと自分と似たところがあるから。

    果穂子の実体が掴めなくて薄気味悪い。
    何を考えているのか、何も考えていないはずなのに考えてしまう。
    果穂子が狂ったのはいつからだったんだろう。初めはただの純粋なこどもだったはずなのに、どこからか大人になりきれてないのに汚らわしいものになってしまっていた。

    あおの湖の話がつくりものだったみたいに、果穂子も佐藤のつくりだしたものだったんじゃないかと錯覚しそうになるのに、まりもが存在することで現実味を帯びて不思議な気分になる。

    個人的にラストはあのまま女の子と沈んでいってほしかった。それとも、佐藤1人だけで。

    果穂子の日記を沈めたところで果穂子がこの世に存在したことに変わりはなくて、まりもを見ると嫌でも存在を忘れることはないと思うから。

    森の中の、露と立ち上る土の匂いがするような本だった。千早茜さんの小説は匂いと色がある気がするなぁ。

  • 寂しい。孤独。
    3人の視点から描かれている。
    意外と合っている3人。

  • 面白かったです。
    どこかに欠落を抱えた3人が、なんだか近しく思えました。
    「家族だから」を押し付けられるのが嫌いで、かといって自分で新たに獲得しようとも思わないのでわたしもずっと独りで生きていくんだろうな…とぼんやり思っているのです。なので、佐藤さんやまりも君の気持ちは少し解ります。
    でも、さびしい、のかな。わたしも心の底ではさびしいのかな?と思います。そこはよくわかりません。
    3人は新しい形を作っていくんだろうなと思います。なんだか、ほっとしました。

  • 登場人物3人、それぞれ種類の違う寂しさを抱えており、寂しさに対して向き合ったり、気づかなかったり、スルーしたりしている姿が印象的。何物にも執着しない生き方は羨ましいけど、その代償として寂しさが付きまとってしまうのかな。寂しいって感情は厄介

  • いつかまた読もう

  • 血は繋がらないが同居する三人。自由だけを求める美里、他人に興味がないまりも、自分勝手な観念を持つ聡平。崩壊寸前の疑似家族の行き先を描く新家族小説。
    千早茜さん初読み。静かな海のような文体ながら、その底は暗くて深い。家族とは何かを問う物語だが、登場する三人各々の考えていることは、私たちの心の奥底に隠している感情に近いものがある。それを剥き出しの刃にせず、羽毛のような感触で痛いところを突いてくる巧さ。これからも追っかけていきたい作家さんです。

  • 家族とは、を問い直す。

  • 2016/1/25
    誰でも寂しさを抱えてるんだな。家族っていろんな形があっていいんだよね。

  • 不健康ないびつな物語だけど、千早さんの文章が綺麗なせいかどこか現実味がなく、幻のような感覚で読める。
    近くに見えるのに遠いみたいな。

    いびつな形で暮らしてきた家族の再生物語と言えば軽いけど、それぞれの抱えてる物は重く暗く、冷静に考えると結構なものだ。
    だけど、各々が自分と向き合い相手を見て求め気持ちにケリをつけていく様はどこかカッコいい。

  • 一種の家族小説。
    あらすじを読んだ限り、もうちょっと穏やかな内容を想像していたが、登場人物がなかなかエキセントリックで、その点では予想を裏切られた。しかしこのエキセントリックさは嫌いじゃない……。

  • 自由のない家族関係を嫌う美里は、一回り年上の恋人と彼の息子が住む家に転がりこむ。お互いに深く干渉しない気ままな生活を楽しむ美里だったが、突然の恋人の失踪でそれは破られた。崩壊寸前の疑似家族は恢復するのか? 血の繋がりを憎むのに、それを諦めきれない三人。次世代を担う女流作家の新家族小説。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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