私がいないクリスマス (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062932660

作品紹介・あらすじ

家族だから、嘘をつく。
突如として宣告された進行癌。三十歳で独身、中島育子はクリスマス・イヴに手術室にいた。終始ツキのなかったこれまでの人生。朦朧とした意識の中、毎年クリスマスには家を空けていた父親のことを思い出す。嘘ばかりついていた父はあのとき何をしていたのだろう。現代版「クリスマス・キャロル」がここに。
泣ける、笑える、面白い!すべてを堪能できる作家、それが加藤元。
こんなに面白い小説、読まないなんてもったいない!

感想・レビュー・書評

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  • 癌の宣告をされ、クリスマスイヴに手術をすることになった30代の女性。朦朧とする中で思い出したのは父親のことだった。
    ちょっと時期は過ぎてしまったけど、現代版のクリスマスキャロルと銘打ってあり、いそいそと読んでしまった。一人で寒い時期だしクリスマスだしで、本当に悲しくなる想いをした人ならば共感できる。
    読後感が素敵。

  • 進行がんを宣告され、クリスマスイブに手術を受けることになった中島育子・30歳。術後の病床、朦朧とした意識の下、夢うつつで見る光景。手を繋いで歩けなかった父、クリスマスの夜は決して家にいなかった父、亡き父への思いが交錯する。
    どこかユーモラスなカトゲン節で描かれるちょっぴりファンタジックなクリスマスの夢物語。

    父の重大な罪によって家族は崩壊‥‥といって想像したのは父の浮気だったけど、その陳腐な想像を遥かに超えた事実に胸を突かれた。

    ーー誰が悪いとも、悪くないともいえない罪を、分かち合うこともできぬまま、それぞれに苦しんだのです。
    育子の父のとった行動、かずえちゃんの母が言わなかったこと、育子の母が選んだ道、誰も責められないけど、子供の育子にとってはそれが取り戻せない時間であるからこそ辛いものだと思う。
    それでも最後に、父を理解し、気持ちにおりあいをつけられたことが本当に良かった。

    カトゲン作品は、相変わらず読後感がいい。
    まだまだ読み続けます。

  • 最後はあったかい気持ちになる小説でした

  • もうすぐクリスマスなので読んでみました。
    病床での夢で過去の出来事やいろんな人の想いをみる。嘘がキーワードの作品でした。

  • 三十歳独身の中島育子は突如癌宣告を受け、クリスマスイヴに手術を受ける。朦朧とした意識のなか、思い出す父親のこと。嘘ばかりついていた父親の本当の姿とは。
    クリスマスとは奇跡が起こりそうなである。独特な雰囲気のなかで、愛がある人もそうでない人も何かが起こることを期待してしまう。当時は理解できなかった父親を病床のなかで想うこと。奇跡が起きる時は、深い思いが神様に通じたときなのかもしれない。

  • 「嘘」が「方便」に変わる。それは周りの環境によってもたらされるひとつの奇跡。その先に見えてくる自分の場所。帰る場所がある、それだけで元気になるもんだよな。年末にいい本読んだ。

  • 突如として宣告された進行癌。
    三十歳で独身、中島育子はクリスマス・イヴに手術室にいた。

    終始ツキのなかったこれまでの人生。
    朦朧とした意識の中、毎年クリスマスには家を空けていた
    父親のことを思い出す。

    嘘ばかりついていた父はあのとき何をしていたのだろう。
    現代版「クリスマス・キャロル」がここに。

    **************************************

    大人になってから読むのと、中学や高校の時に読むのと、悲しみ・苦しみの感想が変わってくるのかな。

    毎年、父親とクリスマスを一緒に過ごせないでいる理由。
    父親は確かに嘘をついていたけど、その嘘が悲しすぎる。

    読んでる時は何とも思わんかったけど、読み終わった後にくる、父親の優しさ、真面目さ。

    家族はバラバラになってたけど、もっと娘に早くこの状況が知らされていたら、何もかも変わってた気がする。

    そう思ったら、よかれと思ってついてた嘘も、よくなかったんかな、なんて思ってしまった。

  • クリスマスのお話だけど恋愛ものではない。
    優しい嘘と、あたたかい人たちのお話。

  • 突如として宣告された進行癌。三十歳で独身、中島育子はクリスマス・イヴに手術室にいた。終始ツキのなかったこれまでの人生。朦朧とした意識の中、毎年クリスマスには家を空けていた父親のことを思い出す。嘘ばかりついていた父はあのとき何をしていたのだろう。現代版「クリスマス・キャロル」がここに。

  • 突如として宣告された進行癌。三十歳で独身、中島育子はクリスマス・イヴに手術室にいた。終始ツキのなかったこれまでの人生。朦朧とした意識の中、毎年クリスマスには家を空けていた父親のことを思い出す。嘘ばかりついていた父はあのとき何をしていたのだろう。現代版「クリスマス・キャロル」がここに。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京育ち。日本大学芸術学部文芸学科中退。日本推理作家協会会員。2009年、『山姫抄』(講談社)で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『泣きながら、呼んだ人』(小学館)が盛岡のさわや書店が主催する「さわベス」1位を獲得。2011年に刊行した『嫁の遺言』(講談社)が多くの書店員の熱い支持を受けベストセラーに。その他に『蛇の道行』(講談社)、『四月一日亭ものがたり』(ポプラ社)、『ひかげ旅館へいらっしゃい』(早川書房)、『ごめん。』(集英社)など。昨年刊行した『カスタード』(実業之日本社)は奇跡と癒しの物語として多くの読者を勇気づけ、本作はその続編にあたる。不器用だけど温かな人情あふれる物語には、幅広い世代にファンが多い。

「2022年 『ロータス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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