存在しない小説 (講談社文庫)

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本棚登録 : 84
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062932813

作品紹介・あらすじ

アメリカ、ペルー、マレーシア、日本、香港、クロアチア……。世界のさまざまな場所から『存在しない小説』というウェブサイトに届いた小説は、それぞれ見知らぬ土地の風土が匂い立つような文体で、そこに生きる人々のドラマを鮮やかに描き出していく。「存在しない作家」たちによる、魅力あふれる世界文学。

感想・レビュー・書評

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  • 架空の作家の作品を架空の翻訳者が紹介するテイで書かれた連作短編集。1作1作はとても面白く読めて満足なのだけど、本来の作者のたくらみであるところの、1作ごとに解説として挟み込んでくる「存在しない小説」についての考察、その構成の作りこみは逆に面倒くさい。しれっと、さも実在の作家を翻訳したアンソロジーのふりをして出したほうが気が利いていた気がする。解説者がタブッキやペソアの名前を出されていたので、なんとなくやりたかったことはわかるのだけれど。

    各作品の、いかにも翻訳っぽい文体や、その国っぽい設定やキャラクターはよくできていて面白かったです。小学生の女の子が主人公の「あたし」が意外とお気に入り。ラストの「オン・ザ・ビーチ」もバラバラの時間がひとつに収束していく感じが好きでした。

    「背中から来て遠ざかる/アントニオ・バルデス/訳:仮蜜柑三吉」(アメリカ)
    「リマから八時間/ファナルド・スアレス/訳:仮蜜柑三吉」(ペルー)
    「あたし/ラーマト・ラマナン/訳:仮蜜柑三吉」(マレーシア)
    「能楽堂まで/いとうせいこう/訳:仮蜜柑三吉」(日本)
    「ゴールド/王健業/訳:キーフ・リー」(香港)
    「オン・ザ・ビーチ/ラルフ・アウスレンダー/訳:いとうせいこう」(クロアチア)

  • アメリカ、ペルー、マレーシア、日本、香港、クロアチア……。世界のさまざまな場所から『存在しない小説』というウェブサイトに届いた小説は、それぞれ見知らぬ土地の風土が匂い立つような文体で、そこに生きる人々のドラマを鮮やかに描き出していく。「存在しない作家」たちによる、魅力あふれる世界文学。

  • いとうせいこう多才すぎる

  • この著者の小説を読んだのは始めてでしたが、こうゆう小説を書くのですね~と意外でした。存在しない小説なのだから小説ではないのかな?いやでもこうやって読めるわけだし...といささか頭の中をとっ散らかしながら読みました。短いお話(でも内容はけっこう濃ゆいと思った)の合間に挟まれる(わたしにとっては難解な)解説によって考えをあちこちに飛ばされるかんじで、あれ何を読んでたんだっけ?となりましたが、概ね面白かったです。

  • 解説を読んで、フェルナンド・ペソアについて少し辿ってみた。「異名」を沢山持つ詩人。
    違った作者として、作品を作り上げることと、違った作者が翻訳家によって存在しない作品を読者の目の前に提示することにはやや隔たりがある。

    けれど、物語を持つだけで書けなかった作者から、物語を吸収し文字として生み出した翻訳家と、それを解読する私がいれば、世界中のどんな物語も「存在し得る」可能性があるのだろう。

    『想像ラジオ』では、存在しないはずの声を、存在しないDJが取り上げて、私に伝えようとする変わった作品だった。

    その流れを受けているのだろう。
    今度は世界からの声が届き始めたということか。

    お気に入りは「あたし」。
    猛烈なスコールで家に帰れないマレー人の「あたし」が、家族にも話せないような中国人との触れ合いを描いている。

  • 6篇の翻訳小説風の短編、ってことでいいのかな。「存在しない」っていう仕掛けはいまいちピンと来なかったんだけど、短編それぞれがパスティーシュとしてレベル高い。どれもホンマものの翻訳短編言われても信じる。アメリカ、南米のメスチーソっぽいの、マレーシアのムスリム、日本のちょっと春樹っぽいの、東欧マジックリアリズム、香港ノワール、全部が全部それっぽいってなかなかよね。

  • いやぁ、面白かった。
    なんというか、著者の狙い的にはメタフィクション的な問題提起ってことなんだろうけど、短編一つ一つが普通に面白い。
    つまるところ、これを本当に海外の書き手による作品の翻訳ものとして楽しんでもいいし、そう思わせるように書いてしまう著者ってスゴイ!って思ってもいいし、さらに著者の狙いをメタ的な視点から考えるもいいし。
    正直言って、いとうせいこうさんの狙いがなんだったのか、僕はイマイチわからなかったけど、面白かったからまぁいいか、って感じ(笑)

  • 著者の意図が理解できない。

  • タイトルと作者、内容が一致しない

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著者プロフィール

いとう せいこう
1961年、東京都生まれ。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。『ノーライフキング』でデビュー。『ボタニカル・ライフ ―植物生活―』で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』が三島賞、芥川賞候補となり、第35回野間文芸新人賞を受賞。他の著書に『ノーライフキング』『鼻に挟み撃ち』『我々の恋愛』『どんぶらこ』『「国境なき医師団」を見に行く』『小説禁止令に賛同する』など。

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