新装版 ひめゆりの塔 (講談社文庫)

  • 講談社 (2015年12月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784062932875

作品紹介・あらすじ

太平洋戦争末期の沖縄戦。女子師範と第一高女の女学生ばかりで結成されたひめゆり部隊の二百人が野戦病院を出発し、砲撃の中を米須の洞窟に向かい、玉砕するまでの九十日を描く。慕われた先生も、かけがえない親友も、妹も、次々に落命していく……。沖縄を盾として、乙女たちに死の行進を強いた軍閥への深い憎しみと怒り、戦場に散った若い生命への愛惜が胸に迫る名著。文字を大きくした新装版。

感想・レビュー・書評

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  • 日本で唯一地上戦が行われた沖縄
    また、日本で初めて子供達が戦場に動員された地上戦でもある。
    沖縄戦は日本本土を守るため、沖縄になるべく米軍を引き留めて時間かせぎのための捨て石にされたのです。
    そのため多くの住民が戦闘に巻き込まれ命を奪われ戦死した兵士の数を大きく上回りました。

     本書は史実をもとに描かれたフィクションです。
    14~19才の女生徒がひめゆり部隊として看護婦と一緒に患者の世話をしながら野戦病院を出発し米須の洞窟へと向かったひめゆり達の90日間の足跡が描かれている。
    患者に肩を貸して医療器具を背負い道なき道の移動はどんなに大変だったか。
    しかも連日の雨に海からは艦砲射撃、空からは爆撃、地上からは迫撃砲と撃ち込まれる砲弾の嵐は鉄の暴風といわれ島の形が変わる程凄まじく仲間達が次々に減っていく。
    そんな中でも思いやりの心を忘れず助け合い、恋をしたり、歌を歌ったりと少女達の明るさに救われます。

    とにかく、婦長や日本軍の理不尽な対応には憤りを感じる。何を守るためにきたのか?
    沖縄を守るためにきたのではないのか?
    住民や赤ちゃんがうるさいと壕から追い出したり、自決の強要、投稿させないように脅したりと多くの命が犠牲になった。
    読めば読む程に不条理さが増していく。
    戦争はここまで心を醜くしてしまうのかと、これが戦争なのかと恐怖を感じる。

    最期のひめゆり達の言葉が頭から離れない。
    投稿に応じないアメリカ軍が壕に爆弾を投げ入れた際に、少女達が「お母さーん!」「お母さーん!」と泣き叫んだ!
    私の娘達と同じ年令なので、とても悲しい気持ちになり涙が止まらない。
    投稿すれば助けられた命なのに。
    間違った情報により助かる命も助からなかった。今ならネットもあるから検索すれば大抵のことは分かるけど戦時下では見聞きしたものが全て。
    大人達が声を上げていればと思うととても残念です。

    私は沖縄の表の顔しか知らなかった。
    もう少し沖縄戦のことを学校で教えた方が良いのではないだろうか。
    知る機会を与えるのも大人の役目だと思う。
    戦争の話は重苦しく悲惨で不条理だ。
    だからこそ二度と悲しい過ちを繰り返してはいけない。
    そのためには学んでいかなければいけないと
    強く思います。

  • 私たちが忘れてはいけない歴史。
    でも、少し日本語が難しく、文体も理解しづらいのが残念。
    淡々としてるから、ある意味読みやすい。

  • 図書館の本棚を眺めていたら、そう言えばちゃんとは知らないなと手に取った。今の日本では考えられない戦争や愛国心、そして沖縄という特別な場所で起こった惨事。女子が竹槍を持って、何の打撃を与えられるのか、それすらも理解し得ない状況だった事も。想像だに、苦しい。

  • タイトルは知っているけれど、小説を読んだことも映画を観たこともなかった作品(大多数の同世代が、同様であろう)を、今さらながら読んでみた。

    小説としては、少々読みにくい。
    (視点人物が前ぶれなく唐突に、次々と変わってゆく……。)

    しかしそこには、(作品自体はフィクションであっても)歴史が物語る歴然とした事実が積み重ねられているため……、身につまされる思いで読み進め“させられ”た。


    沖縄戦についてはここで多くは語れない。何を語ってみても、チープな感想にしかならないから。

    唯一言えること……日本人は、皆これを読むべし。
    語らなくて良い、感想など言葉に表さなくて良いから……皆、「ひめゆりの塔」を一度は読むべし。


    ★4つ、8ポイント。
    2017.02.20.図。

  • もっと悲しくなるストーリーかと思ってました。
    戦時中であっても昭和初期という時代でも、10代の女子なら恋したり、友情関係とか色々あって、悲惨な境遇ながらも青春があって、悲しいだけのストーリーではなくて、でもちょっと文章が読みにくかった。

  • ▼題名は知っているし、中身も大体察しがつく。そして恐らくそれは間違っていない。けど読んでいない。と、いうグループに入る1冊。▼「ひめゆりの塔」初出1949年。講談社文庫。石野径一郎(いしのけいいちろう)という方が書かれた小説。ノンフィクションではありません。▼石野さんは1909-1990だそう。沖縄の人で石野という姓は、元沖縄県民の自分としては「?」と思ったのですが、ペンネームで本名は高江洲(たかえす)さんだとネットで知って納得。▼首里士族の家系で戦前に東京の大学に行き教員になり、並行してブンガク活動をされていたそうなので、戦前の沖縄県民としてはざっくり恵まれている境遇だったのだろうと思います。まあ、本を書く活動をされる方はほぼ皆さんそうでしょう。▼戦後直後の沖縄には色んな意味で簡単には渡航できませんから、石野さんは「現地に行かずに聞き取り取材をもとに書かれた」そうです。戦後に、どうやら雑誌編集などを仕事としながら執筆活動も行ったとのこと。▼「ひめゆりの塔」は1949年から雑誌に連載。経緯は知りませんが、1951年には演劇化。そして1953年には東映制作配給で映画公開。今井正監督、水木洋子脚本、津島恵子、香川京子など出演、音楽は古関裕而。古関さんは「露営の歌」「長崎の鐘」「オリンピックマーチ」など、すごいキャリアですね。朝ドラになる訳です。▼この1953年東映・津島恵子版の「ひめゆりの塔」が超・大ヒット。「東映を破産から救った」とまで言われたそう。実は未見なんですが、ネットで役名をざっと見た感じ、内容は原作からかなり変更されていると思います。まあ小説のまんまだとさすがに一般映画としてはキツイ。酷すぎる。▼その後、1956年(日活)、1968年(日活、吉永小百合、浜田光夫)、1982年(独立プロ、栗原小巻、古手川祐子)、1995年(東宝、沢口靖子)などなどで映画化されています(ただ、全てが、小説「ひめゆりの塔」の映画化ではありません)。▼小説として読んだ感想で言うと、大変に失礼ですが、「予想よりも面白かった」。もっと、悲惨なだけのメロドラマかな、と覚悟して読みました。いや、十分に悲惨なんですが、悲惨な中にも10代主人公たちの「平和な日常の頃の人間関係やキャラクター」が描かれていて、それが「戦場の悲惨な現実」の中に手触りを残すところが、サトウキビ畑に海風が吹いたかのように胸がザワつきます。激動の中の無邪気な少女たちが、無邪気なぶんだけ状況を浮かび上がらせる。この手法は「若草物語」なんかも同様。▼とは言え、一つの小説として考えると主人公たちが観念的だったり、違和感を感じることもあります。何でもそうですが、短所をあら探しすればキリがありません。ただ、長所は凄いですね。無論のこと小説ですから、「事実をベースとして想像した物語」なので、ノンフィクションだと混同してはいかんと思いますが、小説という形式にしなければ得られない、不条理・理不尽へのフルスイングな怒りの情熱は、受け取れます。脱帽です。僕もあなたも、たれであれ、二つと無いヒトの命、尊厳、人生が、政治や忖度やプライドのために、ゴミのように捨てられて行きます。仕方無かった、では済まされない。▼1945年の4月~6月に行われた「沖縄戦」のど真ん中にたたき込まれた、沖縄県立第一高等女学校(校誌が「乙姫」)と、沖縄師範学校女子部(校誌が「白百合」)の生徒たちのお話です。ひめゆり学徒隊、というネーミング(どこまで使われたかはかなり疑問だそうですが)で看護要員として戦場に動員されました。(男子中学生は「鉄血勤皇隊」として動員されました。かつての大田知事がその生き残りです)どうやら史実で言うと職員含め240名のうち、123名が死亡したそうです。▼沖縄戦は、首里陥落以降は特に、戦争というものでもなく。勝ち目も無いのに県民全部巻き添えにして砲火の中を何ヶ月も逃げ惑った挙げ句、軍人(将校)たちが一般人にも「玉砕」を求めました。6月23日に司令部機能が自決するのですが、どう考えても雌雄は決して居た最後の数週間で全体の死者(死者行方不明者併せて30万人くらいか)の6割を数えたという、痛ましい戦争です。▼飢え、病気、集団自決、自殺命令、スパイ疑惑、などなど色んな事がありますが、その中で傷病兵の看護に使われた女学生たちのことは印象に残っていたらしく、多くの同類の慰霊碑がありますが、ひめゆりの塔は特に有名です。1946年7月に建立されたそう。▼長く日本本土で暮らしていた作家だからなのか、全体に「沖縄人=絶対善」「ヤマトンチュ=軍人=絶対悪」というヒステリックな世界観にはなっていません。▼むしろ、「へー」と思ったのは、城野、八木、という名前の登場人物(軍人)を除くと、物語内に名前を持って登場するヤマトンチュの軍人なり兵隊は、大まかに言うと人間味のある、かつかなり理性的知性的な描かれ方。▼ただ、当たり前のことですが、これは聞き書きを元にしたフィクションであって、ノンフィクションではありません。作者も戦場にいたことはない。(ただ、東京なりで空襲体験はあるはずで、短期間だけ兵役体験もあるようです)

    ####################

    以下、備忘録。

    ▼主人公はひめゆり部隊の
    ・伊差川カナ
    ・伊差川ミト
    の姉妹と、
    ・荻堂雅子(うたこ)
    であると言える。

    ▼南部での彷徨から始まり、摩文仁でのカナの生き残り、恐らくは投降、という場面で終わる。

    ▼女性の石川先生=冒頭の章で、足を滑らせて急流?に落ちて死亡。自殺なのか。

    ▼長嶺真也=カナの親戚。途中で巡り会い、別れる。一応士官。雅子が慕情を寄せる。カナとの恋愛を疑う。

    ▼細川三之介=冒頭の章にだけ出てくる、金沢出身の兵隊。

    ▼吾妻先生、という男性教諭が居て、ミトが純に恋をしている。

    ▼城野、という軍医と、宮村という婦長、そしてほぼ出てこないが校長。軍医の八木。このあたりが、ザックリ言うと悪い役。

    ▼波平暁子という女生徒が、一見、軍国主義派の少女のように出てくるが、実は主人公たちと同じく理不尽への怒りを持っている。最終的に城野の殺して自分も死んだように描かれる。

    ▼福田と清見というヤマトンチュの兵隊ふたりのエピソードが印象に残る。

    (以上)

  •  一言、残念。主題が素晴らしいのと対照的に、戦争の悲惨さと少女たちのひたむきさ、そこに感じるべき悲哀をうまく表現できていない。

  •  
    …… 石野 径一郎・原作《ひめゆりの塔 1949‥‥ 令女界(宝文館)連載/1950 山雅房 旺文社文庫 講談社文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4062932873
     Ishino, Keiichirou 作家 19090328 沖縄 19900803 /旧姓=高江洲 朝和
    ── 今井 正・監督《ひめゆりの塔 19530109 東映》津島 恵子&香川 京子/水木 洋子・脚本(第1回菊池寛賞)
     
    ── 小森 白・監督《太平洋戦争と姫ゆり部隊 1962‥‥ 大蔵》・主演
    ── 舛田 利雄・監督《あゝひめゆりの塔 1968‥‥ 日活》・主演
    ── 今井 正・監督《ひめゆりの塔 1982‥‥ 芸苑社/東宝》水木 洋子・脚本/1953 リメイク版
     
    …… 仲宗根 政善・原作《ひめゆりの塔をめぐる人々の手記 (1974‥‥ 東邦書房》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000J9GMD6
    ── 神山 征二郎・監督《ひめゆりの塔 1995‥‥ 東宝》水木 洋子・脚本(1953・1982)/
     
    ── 柴田 昌平・監督《ひめゆり 2007‥‥ TV》
    …… 生存者の証言映像ドキュメンタリー/プロダクション・エイシア
     
    (20171008)
     

  • 太平洋戦争末期の沖縄戦。女子師範と第一高女の女学生ばかりで、ひめゆり部隊が結成された。野戦病院を出発し、砲撃の中を米須(こめす)の洞窟へと向かった彼女たちの九十日。慕われた先生も、かけがえのない親友も、妹も……。死の行進を強いられ、戦場に散った青春への愛惜が胸に迫る名作。文字を大きくした新装版。

  • 小説としての出来はたいしたことない
    ただその功績は大きい

  • 兵隊ではないが。
    絶対に助けが来て自分たちの居場所を守ってくれると信じていたからこそ、ここまで逃げて生きたのだろうな。
    こんな状況で狂うことなく、立派と言われた死を迎えるには難しすぎるだろうな。

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