野球の国のアリス (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 149
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933001

作品紹介・あらすじ

春風に誘われたような気まぐれから、アリスは新聞記者の宇佐木さんのあとを追い、時計屋の鏡の中に入ってしまった。その日は夏休みの「全国中学野球大会最終戦」の前日。少年野球のエースだった彼女は、負け進んだチーム同士が戦う奇妙な大会で急遽投げることになる。美しい季節に刻まれた大切な記憶の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 春風に誘われたような気まぐれから、アリスは新聞記者の宇佐木さんのあとを追い、時計屋の鏡の中に入ってしまった。その日は夏休みの「全国中学野球大会最終戦」の前日。少年野球のエースだった彼女は、負け進んだチーム同士が戦う奇妙な大会で急遽投げることになる。美しい季節に刻まれた大切な記憶の物語。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「芸術・感性」で紹介された本。

  • あの名コンビ、仁木とアリスが久しぶりに帰ってきた!…と思ったら、「螺旋階段のアリス」は加納朋子さんのシリーズでした。作風が似ているだけにややこしいです(苦笑)。

    そんな訳で本作は名探偵とは何も関係がなく、むしろ「鏡の国のアリス」を下敷きにしたものと思われます。原典は「不思議の国~」しか読んだ事がなかったので、ついて行けるかどうか不安でしたが、結果的には心配ご無用、大変面白かったです。

    鏡、とは言ってもすべてがあべこべでもなく、かと言って元の世界をそのまま移し取ったわけでもない。そのズレ方のさじ加減が絶妙で、前半の〆なんて、なるほど!と思わず膝を打ちました。

    小学校から中学校に上がる、その微妙な、でも埋めようもない隙間にちょっと差し込んだ、爽やかなきらめき。その眩しさにちょっとクラクラさせられる、小粋な作品でした。

  • おそらく誰でも知っているでしょう、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の続編『鏡の国のアリス』を元ネタにした、なんとも可愛らしいファンタジー。しかも「野球」と言われたら、野球好きの私は素通りすることはできません。

    豪腕投手の少女アリスは、ある日、新聞記者・宇佐木さんがせわしなく歩いているのを見かける。好奇心からこっそりつけると、宇佐木さんはひょいと時計屋の鏡の中へ。アリスも同じように鏡の中へ入ってしまう。そこには何もかもが鏡に映されたような国が広がっていた。折しもその国では全国中学野球大会最終戦がまもなく開催される予定。負け進んだチーム同士が対戦するというヘンテコな試合でアリスは投げることになるのだが……。

    小学校ではエースでも、中学校に進めば男子との体格の差もあきらかになり、野球をずっと続けたいと切に願っていても、アリスが男子にまじって続けることは叶いません。憎たらしい奴だと思っていた野球仲間が、実はそんなアリスの気持ちをわかってくれていたり、元の国では野球をするところなど想像できなかった男子が鏡の国ではチームのキャプテンだったり。『アリス』をさんざん読んだ人であれば、その登場人物を思い出させるキャラクターもいろいろ出てきて、より楽しめると思われます。

  • あまり野球に興味はないけれど面白かった。好きな事に夢中になれる姿がすごくいい。

  • 前向きに強く生きる女性が書かれる北村作品だが,この小説ではなんと中学生の女の子が主人公.でもそこは北村作品でしっかりと困難に立ち向かう前向きな女の子と子供らしい憎めないやり取りが書かれていてとても好感が持てる.「アリス」ということで冗談というか言葉遊びも楽しい.
    平たく読みやすく書かれているので,子供時代にこう言う小説に読みたかった.

  • 青春ファンタジー?
    野球にはサッパリ興味を持てないけれど、それでもつい応援したくなるお話でした。
    こちらもミステリーランドからの文庫化。

  • 中学1年生の女の子の素直な思いが語られる。淡い片思いや、正義感、ライバルへの気持ち。野球はこれで最後。全力で強豪にぶつかっていく。

  • 「野球の国のアリス」北村薫(講談社文庫)
    P34
    「にゃあああ」
    ーーーあいつ、前も笑ったよな。
    嫌なやつと思ったから、アリスは猫に向かって、《べー》と舌を出してやった。ーーー逃げるわけじゃないぞ、相手にしないだけさ。
    高見の見物をしている太り気味の猫に、
    「メタボ」
    といってから、アリスは走り出した。

  • この作者の小説を読むと、映像化したくなることが度々あります。「ベッキーさん」のシリーズは映像で見たい、と自分なりにキャストを考えてもみました。
    この作品も映像化に向いてるように思いました。そして、それを見たら、きっと大泣きしてしまうと思いました。
    いえいえ、映像化するまでもなく、この本自体でもう感動して涙が落ちました。軽い雰囲気でスルスル読み進められるのだけれど、行間に詰め込まれているものがとても多い。さすがだなあ、うまいなあ、読ませるなあ、そんな感じです。
    「最終戦」の設定も、よく分かるんですよね。
    葉桜も桜の花も、きれいですね。
    対戦チームも、なんと、鮮やかに爽やかに描かれているのでしょう。
    とても面白く、読後、心優しくなろうとしている自分に気が付きました。
    最後に、宇佐木さんだけは、どうしても役者が浮かびませんでした。

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プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

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