証言拒否 リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)

制作 : 古沢 嘉通 
  • 講談社
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本棚登録 : 83
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933216

作品紹介・あらすじ

犯行を否定し続ける容疑者。不動産差し押さえに絡む莫大な金をめぐり人間の欲が蠢く。息詰まる法廷劇。コナリーらしさが炸裂する傑作

感想・レビュー・書評

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  • いつもより裁判での難解なシーンが多かったような…。ごく一般的な生活を送る私には『合理的な疑い』というのが奥深い概念に感じられるからかな。
    でも相変わらずミッキーはカッコいいし、なおかつ更に成長しようとする姿勢がまたステキ。

  • 結末はえっ?と思ったけど、あらかじめ伏線が合ったのね。気が付かなかった。

  • 「証言拒否」というタイトルは原題よりも優れているかも。

    米国ではもはや刑事裁判はエンターテイメントになっているんでしょうか。裁判前に弁護士ミッキー・ハラーが映画化権や出版権に関する契約を要求するのには驚くばかりです。

  •  素晴らしい。読了直後の感想である。称賛の想いが溜息となって洩れる。いや、読後の感想ではない。この「素晴らしい」は、読書中どのページにおいても通奏低音のようにぼくの心の中に鳴り響いていた気がする。今年のベストミステリー海外部門は、この作品で決定。もし覆るとするならコナリーのもう一つのシリーズ新作"The Drop"が年内に登場した場合だろう。この作家は、自分の作品を次作で凌駕し得る才能とおそらくは努力の塊のような人だから。

     もともとがジャーナリストであったコナリーは、『リンカーン弁護士』で本来は畑違いであるはずのリーガル・サスペンスに初めて挑み、見事な出来栄えで映画化されるほどのヒットを起こす。その後、既知の名シリーズ主人公ハリー・ボッシュの力を借りたり関係を深めるなどの事件を経て、とうとう四作目に至ったわけだが、ここではハリーはほんの瞬間的な登場に抑え、弁護士ミッキー・ハラーの抱える事件には何ら関わらなかった。

     むしろ法廷ドラマとしての、手に汗握る、逆転に継ぐ逆転劇の面白さを、十分に見せつけてくれる確かな筆力によってできあがった本作は、元法関係者の多い、いわば専門分野の人でなければなかなか書くことにできないリーガル・サスペンス専門の作家たちを脅かすほどの存在感を示してくれたように思う。ストーリーのほとんどが法廷で進められ、そこでの検察側と弁護側のチームとしての対決、魅力的ながら個性の突出した被告人の存在感、法廷の外に潜むもう一つの真実をうかがわせる存在となっているマフィアたちの不気味な動きなどなど、読む手が止まらないスリルの醍醐味を、ほぼ全巻に渡って味わえる逸品となっている。

     事件の主たる題材は、不況の影響下、異常なまでに激増している、金融機関による不動産の差し押さえ問題である。返済の見込みのない客にまで貸し付けを進める銀行の悪意ある経営方針、差し押さえを代行するブラック企業の存在などが俎上に乗せられる中、銀行の住宅ローン貸付責任者が殺害される。容疑者は銀行前で単身プラカードを抱え抗議行動をした挙句、最近は接近禁止命令すら出されていたという女性教師。

     警察捜査や検察は、容疑者の任意同行から逮捕に至る性急さや、証拠の提出のタイミングなどに、弁護側の漬け込みどころが多く、マスコミも注目する裁判を前にして、ハラーとしても強い戦闘意欲が掻き立てられる。そんな中で、容赦ない態度の暴漢二人に徹底的に襲撃されるなど、ハラーの道は険しい。

     そして彼を内側から懊悩へと掻き立てるのは、離婚した元妻でありロス検事補でもあるマギーと娘ヘイリー。彼女たちの存在が、常にハラーの仕事を悩み多きものに変えてゆく。戦闘態勢にありながら、自分の立ち位置を、元家族たちのまなざしでチェックさせられるような人間的で弱い部分が、真実はどうであれ勝とうとする法廷でのドライな仕事との間で二律背反を見せそうになる心のうち。そんな繊細な魅力も見せつつ、ハラーは法廷でのプロフェッショナリズムと、自分という男の人生の局面を包む愛情や孤独な境地との狭間で揺れ動く。

     ハードな法廷ドラマと、デリケートな心情とを、物語の中で両立させ、どちらにも経過と解決までのストーリーを与えつつ、どちらをも確実に読ませ、ぐっと胸を突いてくるそんなパンチ力溢れる作品の魅力に、終始、ぼくはつぶやかざるを得なかったのである。ただ、ただ、「素晴らしい!」と。

  • 試し書きは本物か。

  • さすがの法廷劇で安心して、かつワクワクしながら読み進められた。ラストも納得感がある終わり方で満足度も高い。

  • シリーズ四作目は、コナリー最長となる大作。相変わらずストーリーが面白いので、ボリュームを気にすることなくさくさく読めた。

    検察側と弁護側のスリリングな駆け引きを絡ませた息詰まる攻防戦は“ザ・法廷劇”。ハラーは今回リンカーンを降りて事務所を構え、有能な調査員と共にチームで公判に挑む。弁護側の勝利とはすなわち、陪審員に無罪の印象を植え付けること。検察側の主張を踏まえた上で、弁護側のストーリーを上塗りする戦略は卑劣に見えるけれども、司法制度の中では正当なのよね。この辺りの認識のギャップにジリジリさせられながらも、それはそれで読み応えがあった。

    物語は法廷でのシーンが大部分を占める。検察、弁護側双方の主張で局面は二転三転し、その都度優位性が逆転する展開が印象的。リーガル・サスペンスとしての謎解きなので、多少の違和感や物足りなさはあった。ラストは予測可能。それまでの展開から考えるとしょぼい感は否めないが、もうこれはオマケだと思ってしまおう。

  • ☆☆☆☆

  • わたしはやってない!裁判で無実をひたすら訴える容疑者。検察側、弁護側ともに決定的な証拠を欠き、勝敗は五分と五分。住宅差し押さえ代行に絡む莫大な金をめぐり人間たちの欲も蠢く。裁判妨害、血痕、身長差…。刻々と変わる法廷劇の結末は?名手コナリーの技に脱帽。圧巻のリーガル・サスペンス!!

    というわけで、物語を堪能いたしました。このクオリティはなかなかのものです。

    余談。ボー・デレクという女優の話が出てくる。「ボレロ」という映画は未見だが、「テン」の方は観た。確かにラヴェルのボレロが印象に残る使われ方をしていた。懐かしい。

  • シリーズ第4弾。
    シリーズ屈指の出来。

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