物語ること、生きること (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933384

感想・レビュー・書評

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  • 世界は思っているよりずっと広い、最後のメッセージが心に残った。
    大きくなるにつれ、ファンタジー的設定は苦手意識を持っていて上橋さんの小説もあまり読んだことがなかったが、物語に深みがあるのは、研究を通して、一つ一つの文化や伝承等を尊く思いながら見つめる経験からだろう。物語だからこそ伝えられることがある、と言う言葉に他の本も読んでみたいと思った。

  • 学生(らいすた)ミニコメント
    小説が好きで本を書いてみたい、自分の夢を叶えたいと思う人にとって勇気がもらえる作品です。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/654696

  • へー!と思いながら読んだはずなのに、感想を書こうと思ったら何も思い浮かばない。彼女の作品にトライしたけれど、途中で断念したことを思い出す。

  •  今までのインタビューなどをまとめた一冊。
     さすがにバラエティ豊かである。

  • ちいさな時から本の虫。
    でも彼女は同時に作家か漫画家になりたいと強く願っていた。
    どうやってなったらいいのかもわからず、ひたすらお話をつくり絵を描いた。

    作家になるべくしてなった人なんだと思う。
    フィクションである物語にリアリティを持たせるために、文化人類学のフィールドワークはとても役に立ったという。
    そして、作家になれないのであれば学者として生きて行こう、と学者生活に足を踏み出したタイミングで、デビュー作が出版される。

    ここでアルバイトなどして生活費を稼ぎながら作家1本で生きていくこともできたが、彼女は2足の草鞋生活を送る。
    印税を研究費に充て、研究の成果を作品に活かす。

    そんな彼女の半生を、インタビューから普通の文章に書き起こしたものが本書。
    読んでいて、これも一つの物語のようにわくわくする。

    とくにジャンルにこだわらずなんでも読む私だけど、好きなのはやっぱり物語。
    それも日常そのままのお話よりも、全く知らない世界に没入出来たら幸せ。

    巻末に上橋菜穂子が読んだ本というブックリストが載っている。
    学術書を除くと、私の読んだことがある本が4割ほどもあって、こういうリストでは破格に共読が多くて、楽しい。

    特に内田善美の『時への航海誌』を見つけた時は、泣きそうに嬉しかった。
    「だからラブ・フォア・ディスタンス 遠きものへの憧れ」という、マンガの中の一節を机の上に貼っていた、と。

    そうなの。
    歴史が好きとか、宇宙が好きとか、異世界が好きとか、そういう私の性癖は、やっぱり遠きものへの憧れなのだ。
    だから上橋菜穂子が描く作品世界にひたひたと首まで浸かって、存分に満足を味わうことが、私にとってはこのうえない幸せと思う。

  • 大阪・藤井寺にある巣箱まちライブラリーさんからプレゼントされた1冊。上橋さんの本は初めてだが、子どもの頃からお話が好きで、作家になるために考えて来たこと、やって来たことを包み隠さず書かれている。冒険談。心が熱くなった。

  • 上橋さんの今までが描かれてあるエッセイ本。
    読んでみて、ああ まさに この人が、あの守り人や獣の奏者シリーズを生み出した人だ、と納得。
    本当に温かいまなざしで、世界を見て、感じているんだなあ。ギスギスしがちなこの世の中、なかなか難しいことで、でもそういう温かさは自分も忘れたくない。

    また、アボリジニの子どものカンニングにまつわるケア&シェアの話は目から鱗な考え方。でも本当にその通りだ。
    そして、元々人見知りで足拭きマットの上で“もそもそ”しそうになりながらも、“うりゃっ”と、ひたむきに進んできた上橋さんの姿はとても素敵で、勇気をもらえる。

    文化変容、異文化を学ぶ、受け入れる。他者を受け入れる。“違い”を否定から入るのではなく、それぞれの有り様を、受け止める。

    そういう姿勢は上橋さんの物語における、人間や獣、この世のもの全てに対する描き方によく表れている。とても大事にしたいこと。大切なこと。

  • 以前、SWITCHインタビューという対談の番組で、上橋さんのお祖母さんの話を聞いていた。何となく知っていたつもりだったけれど、やっぱり一冊の本の中で語られる上橋さんの物語は濃い。一人の作家さんが、何に心を動かされ、どんなことで挫折し、何を思ってきたのか、知ることができるのは貴重なことだと感じた。
    嘘を書くことができない、自分の経験から得たこと、体感した感覚を物語に描写する。「物語は、私そのものですから」という言葉が、こんなにも響くのは、作品を読んできて、なおかつ上橋さんの辿ってきた道を知ることができたからなのだと思う。

  • 子どもの頃からなりたかった職業
    「作家」「漫画家」

    そのために 書きまくる。読む。
    やってみる。行ってみる。

    小さい時からの興味が
    積み重なって 還元されて 小説の材料になっている。

    そして魅力のある物語が 紡がれる。

    地層のような ちょっとやそっとじゃ揺るがない
    そんな作家さんの思考の断面図をみた気分です。
     
    創作をする者としては
    ぜひともお手本にしたいものです。

  • 2016.12.14(水曜日)読了

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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