嶽神列伝 逆渡り (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933421

作品紹介・あらすじ

あの山桜の下で妻の墓を守りながら最期の時を迎えよう。構ってやれなかった償いとして――。武田・上杉が熾烈な戦いを繰り広げる上信越。-老渡り-月草は殺戮の山野に独り、妻との約束の地へ向かう。待ち受けるのは思いがけない善意と信じ難い我欲。大人気「嶽神」シリーズ中、屈指の感動作。『逆渡り』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 逆渡りとは
    生きるために渡るのに対し、仲間との再会を
    期さず、死に向かって一人で渡ることを、
    山の者は逆渡りと言った
    
    月草は亡き妻の最後の言葉を
    守るため、一人辰の里を目指す。
    
    人間のいいところ、悪いところ
    見た気がします笑

  • 「山の者」を主人公とする嶽神シリーズのうちの1冊。今作は60歳が近くなり、山の者における姥捨てである「逆渡り」となった月草が主人公。

    シリーズ他作とは違い、伝奇要素はほぼ無い。
    若者に知識を分け与える為の最後の戦働きから始まり、山の者の暮らしと人々の善意とエゴを中心に物語は進む。他作の主人公の超人的活躍と恵まれた人間関係を先に読んでいると、今作の月草の苦難の道行き、簡単に変わる人々の心はある意味リアルとは言え厳しく、読んでいて疲れてしまった。

  • 月草が60歳を目の前に亡くなった妻が自分が死んだら桜の木の下に埋めて欲しいと言った20年前に住んでいた里に戻る道中。
    妻の骨を背負って月草も死と直面しながら、そして人の死に様を体験して自分の旅が意味のないものなのかに疑問をもつ。
    そこに解決策はないが解決したとしても日常は変わらないしやらなければならない。

    生きるのに何故?と思うより生きていく手段を考えて行動しないといけない。
    月草と一緒に旅して考えさせられた。

  • 逆渡り、仲間との再会を期さず、死に向かって一人で渡ること。六十を迎えた者を次の渡りに加えず、隠れ里に留め置く。
    決して、ただ死に向かうことではない。自らが、自然の一部となし、真正面から生に向き合うのである。
    生きていくとはどういうことか、考えさせてくれる非常に素晴らしい小説ですね。感動しました。
    逆渡りの年齢となる現代の月草に、是非とも読んでいただきたい。

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  • あの山桜の下で妻の墓を守りながら最期の時を迎えよう。構ってやれなかった償いとして――。武田・上杉が熾烈な戦いを繰り広げる上信越。<老渡り>月草は殺戮の山野に独り、妻との約束の地へ向かう。待ち受けるのは思いがけない善意と信じ難い我欲。大人気「嶽神」シリーズ中、屈指の感動作。『逆渡り』改題。

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著者プロフィール

1949年、小田原市生まれ。80年、群像新人文学賞を受賞。81年「百舌が啼いてから」が芥川賞候補となる。2000年には『血路―南稜七ツ家秘録』で角川春樹小説賞を受賞。本書は、一介の部屋住みの身から将軍に上り詰めた吉宗の裏の顔を描いた歴史時代小説の復刊である。著書に「嶽神伝」(講談社文庫)、「戻り舟同心」、「北町奉行所捕物控」、「高積見廻り同心御用控」(すべて祥伝社文庫)シリーズなど。2020年11月、逝去。

「2023年 『運を引き寄せた男 小説・徳川吉宗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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