七緒のために (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 172
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933544

作品紹介・あらすじ

転校した中学で、クラスメイトとは距離をおく多感な少女・七緒と出会った雪子。両親の離婚危機に不安を抱える雪子は、奔放な七緒の言動に振りまわされつつ、そこに居場所を見つけていた。恋よりも特別で濃密な友情が、人生のすべてを染めていた「あの頃」を描く、清冽な救いの物語。他「水の花火」収録。

感想・レビュー・書評

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  • この感じ読んだことある、なにに似てるんだろうっておもったら桜庭一樹か。
    こういう、女の子同士の唯一無二な関係って憧れる。わたしにはいなかったなあとおもって振り返ってみたら、わたしはいつも三人で行動するパターンが多かった。いつも二人でいる子たちを見ていて、息苦しくないのかなとおもっていたことを覚えている。責任を逃れていたのだなあとおもう。一番同士になっていたら、わたしはたぶん相手に恋人のような気持ちを持って、他の子と仲良くされたら嫉妬とか、めちゃくちゃしていただろうなとおもう。そういうことにならなくて良かったという安堵と、こういうの羨ましいなっておもってしまう気持ちと。大人になった今ですら、こんな女友達がいたらいいのにとおもう。女友達を救おうともがいたり、救われたいと望んだりしてみたかった。
    水の花火が好きすぎて、、読み終えて泣いた。いなくなってもなおこんなにも大切におもう女友達ってすごく良い。でも切ない。そして草野くんとの関係性すごい萌えるんですが。。

  • あぁ、こんな頃があったな…と。

    思春期の女の子同士の友情はとても危うい。“私たち親友だよね”って確認しあって、息が詰まるほど一緒に過ごして。一緒に笑って、泣いて、確かに救われる気持ちもあって大好きなのに、残酷に傷つけあって離れては戻って。お互いに自分の存在そのものを肯定して欲しくて、支えあうどころか寄りかかりあって苦しくて、初めての彼氏みたいな存在が、思春期の親友なのかな。

    仕舞い込んだ懐かしい痛みが疼くよ。ズキズキ、ジクジク。

  • 青春、といっても、甘酸っぱいフレッシュな感じでなくて、思春期特有の「傷付く」感じを島本さんの豊かな感性で描かれている作品。
    確かに自分にも流れていた時間だと思うのに、もうすっかり忘れてしまって共感まではできなかった。
    でも、寄り添いきれないこと、は誰にでもあることで、そのことで自分を責める必要はないんだという、この話の伝えようとしてくれている言葉には、誰しもとても癒されるんじゃないかと思う。

  • 中学生時代に戻ったような感覚になった。
    自分の中の葛藤やら、友達関係やらでモヤモヤしたり、怯えたり、浮足立ったり、とにかくいろんな感情を味わったなぁ。
    寄り添うほどに互いを救えない。この時期の女の子にはとても難しいことだと感じつつ、今の自分でも無理かもと思った。
    あんまり成長してないわ。。
    何がどうなって、という感じではないけど、何となく心にズンとくる1冊。

  • 悩み苦しみが影となりいつまでも後を着いて来るように、優しさや幸せもそうであればいい。いつまでも並んで歩く月を見上げながらそんなことを感じていました。いつもどこか信じきれなくて、許せなくて、でも気付かぬふりをしていた。私達は一人ではいられなくて、いつも半分ずつくらいの不安定さで繋がっていたから、片方を失うことが怖かったのだと思います。現実から離れていたかったから。だけれどそれは若いうちでしか知ってはいけない嘘でした。光と影に挟まれて、時に空を見上げ涙を流し、傷だらけになりながらも大人になった私はちゃんと現実を生きているのです。私に出来ること、彼女もそうであればいいと願うことだけでした。

  • 読後感も悪くなにも残らない小説だった。

  • 第159回直木賞を受賞した島本理生氏の「七緒のために(2010)」と「水の花火(2001)」を収録。いずれの作品も思春期の女の子の友情を描いた作品ですが、どちらも読んでいて痛いです。登場する女の子たちの感受性が強すぎるんですね。胃がキリキリする。読後も痛みの残る「七緒のために」とラストに救いを感じる「水の花火」を比べた時、後者の方が瑞々しく感じるのは作者が作品の登場人物と同じ高校生だった時の作品だからかな。甘い百合作品に疲れた人たちへ、かなりビターな百合作品はいかがでしょうか。

  • 正直に言って「七緒のために」は星4つで、傑作ですが、
    後半の「水の花火」はいかにも習作であって
    前のがあるから読めるという体なので
    本全体としてはやはり星3つにせざるを得ない。

    最高でも星4つなのは
    丁寧すぎて繊細すぎるというあたりで
    手癖と言うほど雑なものではないけれど
    時折これ見よがしなところがある点。

    それをのぞけばかなりの濃度でこの時代を描ききっている。
    特殊な物語とはまったく思わない。
    誠実でないものを用いて誠実であろうとする態度は
    小説家としては当たり前の営みで究極の目的であろう。

    偉大な嘘つきであることを吹聴するのは
    川上弘美で最後になってしまったと思う。
    だから島本はこの話をビルドゥングスロマンとしては描かなかった。
    思春期の主人公を出しておきながら。

    他にもスクールカウンセラーの来栖の関わり方は
    本来ならミステリにおける探偵にもなり得たものを打ち捨てた形になっている。

    こんな読み方は、叙情性も高く
    えぐりに来るようなセリフも多いこの作品の楽しみ方ではないかもしれない。

    しかし、誠実さのために闘われた
    この作品に敬意を表することを、僕は優先させよう。
    作品の面白さは読めばわかるし、読まずにわかるものなら読まなくていい。

  • この頃にここまで辛くなるほどの体験も自我もなくて、共感できたならまだ良かっただろうにただただ重さを引きずってしまった。

  • ふたつの作品がはいってます。
    中学生と高校生。
    元旦によむべきものではなかったかもしれない。

    今よりずっと複雑だった中学生の頃を思い出す。
    それは、嘘をついているんじゃない。
    口から出た言葉がリアルに、現実になる感覚。
    それは他の人からみても、自分からでも、全くの嘘なのだけど、口に出した言葉たちがあたかも本当のようになる気持ちの良さ。

    中学生のころ、わたしもそうだった。
    だから痛いほどわかる。
    友達に対する支配。
    それは、高校になってもおんなじ。
    全部知っていて当たり前だった、彼女のことは。
    共有しているはずだった。
    だから、知らないことがあったらびっくりしたし、初めて彼ができたと言われたときの疎外感はそれは耐えられないものだった。
    女友達の私じゃ、どうすることもできないから。
    私には見せない親友の顔があることに耐えられなかった。

    最近、この小説の彼に近い人に出会ったきがする。
    少しだけ、好きになったひと。
    花火を一緒にしてしまうようなひと。
    全部、喋らない。けど、全部知ってるようで、わたしの心もわかってるみたいでかなわない人。
    多分それは、中学とか高校とかに起きた感覚。
    久しぶりにおきた、感覚なんだ。

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著者プロフィール

島本 理生(しまもと りお)
1983年東京都板橋区生まれ。都立新宿山吹高等学校に在学中の2001年に「シルエット」で、第44回群像新人文学賞の優秀作を受賞し、デビュー。06年立教大学文学部日本文学科中退。小学生のころから小説を書き始め、1998年15歳で「ヨル」が『鳩よ!』掌編小説コンクール第2期10月号に当選、年間MVPを受賞。2003年『リトル・バイ・リトル』で第128回芥川賞候補、第25回野間文芸新人賞受賞(同賞史上最年少受賞)。2004年『生まれる森』が第130回芥川賞候補。2005年『ナラタージュ』が第18回山本周五郎賞候補。同作品は2005年『この恋愛小説がすごい! 2006年版』第1位、「本の雑誌が選ぶ上半期ベスト10」第1位、本屋大賞第6位。2006年『大きな熊が来る前に、おやすみ。』が第135回芥川賞候補。2007年『Birthday』第33回川端康成文学賞候補。2011年『アンダスタンド・メイビー』第145回直木賞候補。2015年『Red』で第21回島清恋愛文学賞受賞、『夏の裁断』で第153回芥川賞候補。『ファーストラヴ』で2回目の直木賞ノミネート、受賞に至る。

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