図書館の魔女 第二巻 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.22
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感想 : 138
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933667

作品紹介・あらすじ

図書館のある一ノ谷は、海を挟んで接する大国ニザマの剥き出しの覇権意識により、重大な危機に晒されていた。マツリカ率いる図書館は、軍縮を提案するも、ニザマ側は一ノ谷政界を混乱させるべく、重鎮政治家に刺客を放つ。マツリカはその智慧と機転で暗殺計画を蹉跌に追い込むが、次の凶刃は自身に及ぶ!

感想・レビュー・書評

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  • 上下巻の上巻後半にあたる本巻、少し安心した。蘊蓄話で終始するかと思いきや、巻末で思いっきりエンタメに振ったのである。

    ひとつの「会話」から、鮮やかな「展開」が描かれ、畳み掛けるように「危機」が訪れ、それを思いもかけない方法で「回避」する。当然、世の事象を見事に分析することができるのが「高い塔」スタッフなのだから、前半部分で細かく張り巡らされた伏線は、多くは回収される。

    さて、ここまで読んできても未だ私は、この作品が何を描きたいと思っているのか測りかねている。「いや、普通にわかるでしょ?図書館の魔女が実現する世界の平和しょ」と言われるのを承知で言う。
    もしそうなのだとすれば、今のところ、権謀術数でしか平和は訪れない、となる。
    そもそも、この世界は著者の思うようにつくっているのだから、将棋の棋譜を完璧にすることは容易くはないが可能だろう。
    著者の描きたいのは「世界の平和とは何か」ではない、と今のところ思う。

    後半に期待したい。

    • らむさん
      kuma0504さん、はじめまして。
      私の拙い感想にいいねとフォローありがとうございます!
      kuma0504さんの本棚には丁寧なレビューが溢...
      kuma0504さん、はじめまして。
      私の拙い感想にいいねとフォローありがとうございます!
      kuma0504さんの本棚には丁寧なレビューが溢れていて、また読みたい本が増えました。
      まだ始めたばかりの私ですが、よろしくお願いします。
      2022/02/15
    • kuma0504さん
      らむさん、こんにちは。
      こちらこそよろしくお願いします♪

      私は所々書いていますが、流行小説は追わない、けれども気に入った作家はとことん付き...
      らむさん、こんにちは。
      こちらこそよろしくお願いします♪

      私は所々書いていますが、流行小説は追わない、けれども気に入った作家はとことん付き合いたい性分です。その1人に宮沢賢治がいて、
      らむさんの引用した
      「下流の方は川はば一ぱい銀河が巨きく写ってまるで水のないそのままのそらのように見えました。 ジョバンニはそのカムパネルラはもうあの銀河のはずれにしかいないというような気がしてしかたなかったのです。」に、実はハッとしました。
      賢治がいつも見ている花巻を流れる川に、(カンパネラはとし子に違いないと私は思っていますが)川の中に銀河を見つけ、そこにとし子を観たのだと思います。そこから第4次銀河鉄道の夜の改稿が始まったのかもしれません。
      有名な評論家ならば、こんなことはかなりの根拠がないと書けませんが、素人の私たちは気軽にかけます。そんなこんなを気軽に書けるブクログが気に入っています。
      ごめんなさい、お返事を書くつもりが、らむさんのレビューを見直したらつい発見したことを書いてしまいました。あまり気にしないでください。
      よろしくお願いします(^^;)。
      2022/02/16
    • らむさん
      kuma0504さん、お返事ありがとうございます!
      私も自分の読みを自由に書けるブクログに魅力を感じて始めました(^^)

      『銀河鉄道の夜』...
      kuma0504さん、お返事ありがとうございます!
      私も自分の読みを自由に書けるブクログに魅力を感じて始めました(^^)

      『銀河鉄道の夜』について、
      ジョバンニがカムパネルラと旅をした幻想世界の銀河と、現実世界の川が重なるあの文がとても好きでレビューの最後に引用しました。

      銀河鉄道に乗る前はつらい思いをしていたジョバンニの現実世界にカムパネルラとの幻想の旅の思い出が下りてきて、これからも現実世界で生きていくジョバンニの背中を押してくれているような。
      そんな賢治の優しさも感じます。

      賢治の身近にあった川に、彼が銀河ととし子を見たというkuma0504さんの読みをお聞きして、さらに賢治の寂しさとあたたかさに触れた気がしました。素敵な発見を教えてくださりありがとうございます!
      また賢治作品たちを読み返したいと思いました(^^)
      2022/02/16
  • 一巻から二巻途中まで、評判通りの高評価作品なのかどうか、わからないまま読んでいました。
    キリヒトの真の存在意義が語られ(土瓶さんは、予測していたようですが。実は、私も、キリヒトは強い子だよね、とは思ってはいました。)読むスピードが上がりました。
    これから当然始まる覇権争い。キリヒトの存在の意味にマツリカが揺らぐ。地下水路のこれからの使用方法への期待。ようやくストーリーが動き出して、きっと面白いはず。


    目次のタイトルが、ひらがな表記。本文の1行目と同じ文。マツリカが操る手話の感覚かな。手話は、言葉の塊を使うだろうから、違うかな。
    表音文字は、意味をとりにくい事の確認かな。
    平安時代の仮名文字は、音には濁点があって文字には、なかった。文字と文字を繋ぐ連綿は、言葉の区切りの事が多く、それで濁点がつくかどうか
    考えやすかったみたい。漢字略してまた繋げて、漢字に混ぜて。文字も文章も変化してます。

    • おびのりさん
      舟さんタイプでは、ありません。
      舟さんタイプでは、ありません。
      2023/09/28
    • みんみんさん
      刑事だったらなぁ笑
      主人公になれない交通課です(꒪⌓︎꒪)
      刑事だったらなぁ笑
      主人公になれない交通課です(꒪⌓︎꒪)
      2023/09/28
    • 1Q84O1さん
      セクハランまで進化したらもう更生は無理でしょうねw
      さらに、その先を進むセクハラ師匠ですから…
      セクハランまで進化したらもう更生は無理でしょうねw
      さらに、その先を進むセクハラ師匠ですから…
      2023/09/28
  • まだまだ仕込み途上の第二巻
    されどメインディッシュの仕込みが続く中、前菜がテーブルに運ばれてきたと言ったところでしょうか
    で、その前菜を口にして思ったのは
    「むむ、このシェフやるやないか。この先も期待できそうだぞ」ってことでした

    いや面白いんですけどー

    そもそも政治を舞台にした権謀術数が大好物なので問題ナッシング
    そして明かされるキリヒトの正体と我が身を重ねるマツリカに生まれる強い絆
    改めて心をひとつにした図書館チームに、もう自分もチームの一員になってますもん

    しかも、まだまだいたるところに隠し味が仕込まれていそうな雰囲気
    キリヒトにもさらなる秘密がありそうでワクワクしてきました

    うーん、ゆっくり読もうとかって余裕見せてた自分のバカ!
    早く3,4巻借りてこなきゃ!

    • ひまわりめろんさん
      3,4巻借りてきましたー!って4巻めちゃくちゃ分厚いやないかいっ!(ビターン)
      京極夏彦か!
      確実に続けて読むとか言うてしまったやないか!
      ...
      3,4巻借りてきましたー!って4巻めちゃくちゃ分厚いやないかいっ!(ビターン)
      京極夏彦か!
      確実に続けて読むとか言うてしまったやないか!
      (普段行かない図書館からお取り寄せしてたのでほんとに4巻こんなに篤いの知らんかった)(T_T)
      2022/11/04
    • マリモさん
      そうそう、4巻はめっちゃ分厚かった気がします!
      大丈夫、ひまわりめろんさんなら読めますよ♡
      読めますよね?(圧力)
      そうそう、4巻はめっちゃ分厚かった気がします!
      大丈夫、ひまわりめろんさんなら読めますよ♡
      読めますよね?(圧力)
      2022/11/04
    • 土瓶さん
      うらやましいなーたくさん読めてー(棒読み)
      ほうら返却期限の足音がヒタヒタと(笑)
      うらやましいなーたくさん読めてー(棒読み)
      ほうら返却期限の足音がヒタヒタと(笑)
      2022/11/04
  • 第二巻を読み終えて、いまだに困っている。

    たしかに第一巻よりは物語性が出てきたように思う。
    アクションもあった。
    しかし……なんとも大人しいというか、静かなファンタジーだ。

    キリヒトの正体については、なんとなく予想がついていたし、そうでなくては物語にならないだろう。
    図書館の魔女たるマツリカの異能にも、あまり驚きが無い。

    ああ、そうか。
    ファンタジーのわりに、ドキドキもワクワクも感じられないのだ。
    政治闘争みたいな話が多いし。
    登場人物のほとんどが冷静で感情を表に出さない。
    だから本来は主要登場人物になり得ないはずの家政婦役のイラムの感情丸出し発言に、最も惹き込まれて好感が持ててしまう。彼女が登場するとホッとする。
     
    そして、あいかわらず難読語句のオンパレード。
    蒲柳の質。
    一入。
    無聊を託つ。
    借問。
    掉尾。
    これらが登場人物のセリフや思考であるなら、まだ意味は分かる。世界観のためだろうと。
    しかし、地の文でこれが出る。なぜ。誰のため。
    無聊を託つ、なんて「退屈」でいいじゃん!
    次のページでは「退屈した~」と、使ってるんだからさ!
     
    ……さあ、第三巻。買うべきか。もう、なげてしまおうか。
    困ったな……。

    • 松子さん
      どんちゃん、こんばんは(^^)
      続きを読むかどうするかを1巻から悩んでいる様子が、なんとも微笑ましくて、にこにこしながら感想読んでます。(←...
      どんちゃん、こんばんは(^^)
      続きを読むかどうするかを1巻から悩んでいる様子が、なんとも微笑ましくて、にこにこしながら感想読んでます。(←ごめんなさい!)

      どんちゃんが続きを読むのかどうか、もし読んだらそこに感動はあるのか…がとってま気になっているので決めたらぜひ教えて下さい!笑!
      2022/03/05
    • 土瓶さん
      まっちゃん、こんばんは~。
      買うべきか。買わざるべきか……。
      今、図書館や古本屋に遠くて行けないんですよ ><
      お金も時間も有限ですし...
      まっちゃん、こんばんは~。
      買うべきか。買わざるべきか……。
      今、図書館や古本屋に遠くて行けないんですよ ><
      お金も時間も有限ですしね。
      あ~、どうしよ。
      と、と、とりあえず、他の本読んでから考えよっと♪
      2022/03/06
    • 松子さん
      図書館も古本屋さんも遠いんですか??
      どんちゃん、いまどこにいるんですか⁉︎
      日本?
      買うしかないとなると…悩みますねぇ…
      うん!他の本読ん...
      図書館も古本屋さんも遠いんですか??
      どんちゃん、いまどこにいるんですか⁉︎
      日本?
      買うしかないとなると…悩みますねぇ…
      うん!他の本読んで考えましょ(^^)
      2022/03/06
  • 文庫版2/4巻。

    キリヒトとマツリカ。抗えない運命を互いに憂う。

    伏線回収がいくつか有った。ハルカゼやキリンの立場や家系についての話や、政治における図書館の役割。先代のタイキについては、まだまだ謎が多いが、図書館の威厳そのもののような存在。
    キリヒトの常人離れした身体能力。その理由を知っていた者。なかなか粋な伏線回収がある。

    以下、ネタバレ有り。(備忘録)

    キリヒトが図書館に置かれた本当の理由。
    個人的には、ここまでキリヒトの主観で描きながら、暗殺者としての正体を伏せ続けた構成には違和感を感じる。敢えて伏せていたにせよ、急にイメージを上書きされた感が否めない。ここまでのキリヒトの主観と辻褄が合わないのでちょっと白けた…かな。

    マツリカの抱くキリヒトへの感情は、哀愁にも似た未だ説明出来ないものになった。彼女は混乱している。

    更に大きく物語が動き始めた二巻。
    続いて三巻へ。

  • 面白かった‼ 政治的な駆け引きも面白い。そして、キリヒトの正体が明らかになり、それが切ない。
    今後、キリヒトとマツリカが、キリヒトの役割(刺客としての)をどのように受け入れていくのか、が肝となるだろう。

  • 2人だけが通じる言語、しかも手話ではなく、相手に接触させた指の動きで会話をする親密なコミュニケーションをする少年と少女。
    彼らのあいだに強い信頼関係が結ばれつつある最中、敵国・ニザマから放たれた図書館の魔女を狙った刺客に襲われます。
    窮地を脱したことと引き換えに明らかになるキリヒトの秘密…

    マツリカとキリヒトの絶妙な距離感から目が離せない第2巻でした。
    それに、高い塔を囲む精鋭たちにも魅了されました。
    マツリカのあふれ出る知識や思考に、打てば響くように返す優秀な2人の司書は、それぞれ諜報と兵法という武器を駆使して図書館の魔女を支えています。
    …か、かっこいい。
    海を挟んだ国々のあいだで緊張が高まる中、これから高い塔の面々がどんな活躍を見せるのか、高まる期待とともに3巻へ。

  • レビューは4巻にて。

  • マツリカは、まるで安楽椅子探偵のように、馬方二人の些細な会話からコリブリ(元議員)の暗殺計画を見抜き、まんまと敵を出し抜く。川遊びに興じていたマツリカを襲った巨人は、キリヒトが一人で撃退し、実はキリヒトが殺人剣を身につけた凄腕の護衛者だったことが発覚。キリヒト=切人=つるぎもて切る者は、一子相伝の殺人技能者。護衛者として畏怖されることに哀しさ、寂しさを感じるキリヒトに、マツリカの心が共鳴していく。

    マツリカに対してヒヨコが感じた違和感、すなわち「ふつうの人の持っている感情の豊かさがかけているように見え」、「人の命を救うという重大事ですらが、まるで複雑な知的遊戯のようになされている」危うさ。キリヒトとの交流を通じてマツリカが人間らしさ、人の心の温かさを取り戻していく、というのが、本作のテーマなのかな(もしかして、二人の間に恋愛関係が芽生えたりして)。それとも、安楽椅子探偵の推理が冴え渡る?

    段々と面白くなってきた。

  • 一ノ谷を含む世界が動き始めてきた。その動きを安楽椅子探偵さながらに見極める図書館の魔女たち。さらには身内に潜む謎も明らかに。騙されてた!って苛むばかりだけど、助けてくれてありがとう、は無いのかな…。
    しかし、書き方が非常に論理的で、指話構築や方言の体系などに関する記述がやたらと深いなあと思っていたら、著者は言語学者なのね。どうりで。一言一句、言葉を大切にする気持ちは伝わってくるけれども、しかしちょいちょい挟まれると物語を読むスピードも落ちかねない。いや、おそらく読む方のこちらも真摯に向き合わなくてはいけなくて、TV観ながらとかそんな状況で読んでるから進まないんだろうなー、と少し反省する次第。

    …次巻はもうちょっとスピードアップできるかな?

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著者プロフィール

2013年『図書館の魔女』(第一巻~第四巻)でデビュー。デビュー作が和製ファンタジーの傑作として話題となり、「図書館の魔女シリーズ」は累計32万部を記録。著書に『図書館の魔女 鳥の伝言』(上下)がある。『まほり』は著者初の民俗学ミステリ。

「2022年 『まほり 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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