図書館の魔女 第三巻 (講談社文庫)

著者 : 高田大介
  • 講談社 (2016年5月13日発売)
4.19
  • (62)
  • (63)
  • (25)
  • (4)
  • (0)
  • 本棚登録 :470
  • レビュー :52
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062933872

作品紹介

深刻な麦の不作に苦しむアルデシュは、背後に接するニザマに嗾けられ、今まさに一ノ谷に戦端を開こうとしていた。高い塔のマツリカは、アルデシュの穀倉を回復する奇策を見出し、戦争を回避せんとする。しかし、彼女の誤算は、雄弁に言葉を紡ぐ自身の利き腕、左手を狙った敵の罠を見過ごしていたことにあった。

図書館の魔女 第三巻 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 『これはすべて、もとはといえば書物を読むということの価値が広く知れ渡ったからだというのに、結果はまったく矛盾したものとなる。

    書物が一介の消費財となる上に、複製すべき書物を選ぶのに人が人生を賭すほどの意味が無くなる。その帰結として起こることはもはや自明だ。この世に駄本が満ちあふれて流通することになる。愚書が蔓延る。』

    複製技術の進歩が、書物を書き写すという労力をゼロにしてしまい、価値のない書物まで増え、何が価値があるのか分かりにくくなってしまった。
    まさに同感。たまにそういう本に当たってしまいがっかりする。

    ものすごく惹きつける作品でいよいよ最終巻へ。ニザマ帝国に乗り込む緊張感がたまらない。

  • ニザマの刺客により、マツリカは手話による「言葉」を封印されるも、一ノ谷とニザマ、アルディシュ三国間の緊張を解くべく出立する。

  • 再読。

    今にも戦端が開かれるかと思われた情勢の中、各国の抱える背景や国家間の力関係を巧みに紐解き、回避する手立てを講じていく図書館。そしてマツリカはついに二ザマ帝と相対する。

    声なきマツリカが流麗な表現で言葉を紡ぐための左腕。彼女がその大切な左腕を失った様は胸が詰まった。それでも徐々にこの闘いが決着する兆しが見えてきた。描いた線で帰結できるのか。

    *以下引用*

    もし話したいことがあるのなら、伝えたいことがあるのなら、きっと人はその言葉を手に入れる。語るべきことを持つことは、語る言葉を持つよりずっと初めにあって、それでいてずっと難しいことなのだ。(p46)

    書物は限られた特権階級のものではなくなる。誰の手にもわたる消費財になるだろう。書物の物質的な価値はどんどん下落するだろう。(p76)

    書物の複製にかける犠牲が小さくなるということだ。結果として、命を賭して書き写さねばならない書物を見極める眼力が曇っていく。これを読むなら、これを書き写すなら、こっちは諦める、こっちは捨てる、そういう苦渋の決断がもう要らないんだからね。(p78)

    これはすべて、もとはといえば書物を読むということの価値が広く知れ渡ったからだというのに、結果は全く矛盾したものとなる。書物が一介の消費財となる上に、複製すべき書物を選ぶのに人が人生を賭すほどの意味が無くなる。その帰結として起こることはもはや自明だ。この世に駄本が満ちあふれて流通することになる。愚書が蔓延る。(p78)

    書を著すならば、それは世に問うこと、世に知らせること、おのれの説く正しいところも誤ったところも、すべて人目にさらして審判を問うということだ。(p85)

    みんなてんでに喋っているだろう?こう途方もなく五月蝿いとかえってほっとする。ここでは私の言葉なんか誰も耳に入っていない。こんなに音があって、これだけの言葉が満ちあふれて、どうして言葉同士は混じってしまわないのかな?どうして本来聞いているものの耳にだけちゃんと届くのだろう?(p170)

  • 「図書館の魔女」の「転」に当たるパートです。

    マツリカにお供をしていた兵士達が図書館で働くようになります。
    二巻ではほぼモブ扱いでしたが、何人かはキャラクターが分かるようになっていました。
    彼等とキリヒトは普通に話しているようなので、「キリヒトは居心地の悪い思いをしているんじゃないか」と心配していたのでホッとしました。

    イケメン兵士・アキームは化け物との戦いで顔に醜い傷が残ってしまいますが、イラムのお陰で卑屈にならなくなったようです。
    イラムに惚れたらしく、耳の聞こえない彼女と意思の疎通を図る為、手話を必死に覚えています。
    彼の気持ちは周りにダダ漏れです(笑)

    アルデシュという国がニザマに従う形で、一ノ谷に戦を仕掛けようとしています。
    当初、マツリカは「一ノ谷に版図縮小をさせるには、戦で多少の犠牲が生じてもやむを得ない」と考えていました。
    しかし、キリンに泣き付かれ(?)て、戦を回避する為にあちこちへ働き掛けます。

    「アルデシュは殼倉が回復すれば、ニザマに従う義理はない」と読んだマツリカは、深刻な不作を解決させようとします。
    塩害になりやすい土地にずっと水を汲み続ける装置を作り、アルデシュに装置を提案する役目は一ノ谷ではなくて、ニザマにして貰おうと考えます。
    装置作りは進み、心臓病を患っているニザマ帝に薬剤の三角貿易を都合する算段を立てます。

    計画は順調に進んでいましたが、マツリカが呪いによって、左腕の自由が奪われてしまいます。
    口が利けないマツリカにとって、左手は言葉を表現する大事なパーツです。
    器用に手話が出来なくなり、不格好な文字しか書けなくなって、マツリカの心は乱れてしまいます。

    しかし、左手程ではないけど右手も使えることやキリヒトとは指話が出来ることに気付きます。
    それからは、二人で一緒にいることが必然になっていきます。
    ここで、指話が最大限に発揮されていますね。

    シビアな展開になってきましたが、ところどころで和むシーンが挿入されています。
    どんな時でも、キリヒトに意地悪を言うマツリカにホッコリしていました。
    キリヒトも前に比べれば返しが上手くなっています。

    ニザマには良くない印象を持っていましたが、ヒールは宰相のミツクビであって、ニザマ帝は悪いトップではなさそうです。
    議論でマツリカを追い込む程の賢さもあります。

    祭の中、マツリカにピンポイントで呪いを掛けるには、塔サイドにミツクビの協力者を紛れ込ませる必要があると思うんですが。

  • 請求記号:913.6||Ta 28||3
    資料ID:C0038287

  • 一気に物語が加速。実は外交交渉ファンタジーだったとは。蘊蓄が盛りだくさんで、これまではリズムがつかみにくかったが、ここに来て、リーダビリティも逸品。
    マツリカは高い塔から動かない安楽椅子探偵タイプかと思っていたら、三国交渉に直に敵国ニザマまで赴く、なかなかのアクティブぶり。
    キリンの能力全開、真骨頂だし、近衛の面々もそれぞれの個性が立って魅力的になってきたし、穏和かつしたたかなニザマ帝もお茶目でステキ。
    長い蘊蓄にも慣れてきて、随所に挟まれるマツリカとキリヒトの会話にくすりとさせられ、ほのぼのとする。
    三国交渉を成功させ、次巻は、いよいよマツリカを狙った刺客「双子座」との対決。楽しみです。

  • 前巻の後半がかなり心情的な内容だったのだけれど、この巻はきっちり政治的な内容。最終巻でどうまとめてくるのか、期待したい。

  • マツリカの危機と側に寄り添うキリヒト、このふたりの関係性が読んでいてとても心地良いのだけど、シリーズということは今後それも移り変わっていくのだろうか。とりあえず今は、第四巻(分冊完結巻)が分厚いことが嬉しい。

  • クライマックスへの期待が膨らんで止まない。

  • きっと必要な部分ではあるのだろうけど、ついつい流し読みしちゃう部分がありつつも、マツリカとキリヒトが動くと面白くなる。最後に向けてどうなるのか楽しみ。

全52件中 1 - 10件を表示

図書館の魔女 第三巻 (講談社文庫)のその他の作品

高田大介の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ピエール ルメー...
恩田 陸
有効な右矢印 無効な右矢印

図書館の魔女 第三巻 (講談社文庫)に関連するまとめ

図書館の魔女 第三巻 (講談社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする