自分を好きになる方法 (講談社文庫)

  • 講談社 (2016年6月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784062934206

作品紹介・あらすじ

16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。『異類婚姻譚』で2016年度芥川賞を受賞した人気作家による長編。

みんなの感想まとめ

テーマは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける女性、リンデの人生のさまざまな瞬間です。彼女の物語は、16歳から63歳までのエピソードを通じて、孤独や後悔、希望を描き出し、読者の共感を呼び...

感想・レビュー・書評

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  • タイトルで勘違いしてしまいそうですが自己啓発本ではありません。純文学です。

    「お互い心から一緒にいたいと思う」相手を求めつづけるリンデ。
    3才~63才までのある一日を描いた6編の物語。
     
    リンデの思う「お互い心から一緒にいたいと思う相手」って難しいなと思った。
    自分が一緒にいたいだけでなく、相手も自分と一緒にいたいと思うってことでしょ。
    だいたいの人はマイナスの面があってもプラスの面で穴埋めして自分の許容範囲内で妥協して向き合っていくんじゃない?
    相手との関係の深さによって、許容範囲も変わってくるし。
    友達と結婚相手ではまた違ってくると思う。
    リンデのように妥協しないで完璧な相手っているのかな?
    ある意味では自分に正直でポジティブで強い女性だと思うけど、不器用で生きずらいなと思う。
    案の定、追い求めた結果が何ともやるせない。
    それでもリンデは追い求めていくのだろう。

    タイトルの「自分を好きになる方法」というのもいろいろな意味にとれてしまう。
    自分を好きになるには、他者からの承認も必要だと思う。
    物語のなかでもリンデは自分を好きになろうと自己肯定感を高める努力はしていたけど、他者から肯定して貰える場面は少なかったかな。
    自分を好きになるために相手に自分を肯定して貰い、自分を好きになって貰いたい。自身も相手を肯定し好きになりたいという気持ちと、
    自分自身を自己肯定し自信を持ち、自分を大切に生きていきたいのかなっと。

    この本は、読み手にある程度判断を委ねているところがあるので、読み手の現状で左右されてしまいそう。
    まーそれが面白いのだけれどね。

    1番印象に残ったのは、16才の描写かな。
    思春期の息苦しさとか、リンデの気持ち、
    こんな表現できるの!
    ボウリングのシューズとスコアボード、なんの意味もないようで、実はこんな意味だったのかと。
    3歳のサブタイトル「リンデとシューベルト」
    シューベルトの曲に菩提樹というのがあるのだけれど、菩提樹をドイツ語にすると「リンデ」というらしい。
    曲の内容もリンデにピッタリで驚いた。

    正直にいうと難しかった。
    この本を読んで、自分が生きてきて大切にしているものは何なのだろう?と考えさせられたのと、自分は一緒にいたいと思う相手に巡り会えたのが奇跡のように素晴らしく思えた。

  • 1人の女性の各年代のエピソードを描くという形式は面白い。途中で3歳の時のを挟んでいるのが評価を高めている様だが自分にはピンとこなかった。そこまでするならもっとランダムに配置した方が良い気がする。
    名前からして外国人の話かと思いきや全然日本の話というのは意表を突かれた。途中を知ってるだけに63歳の彼女に色々ご意見がある様だが、まだ人生が続くことを思えばまだ話は途中だろう。いっその事103歳のリンデとかあったら読みたい。

  • 「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求めることには興味はないが、「自分を好きになる方法」があるのなら是非知りたい。

    本谷有希子さんの作品は、数年前に何作か読み耽った時期があり、エキセントリックな一面があると思ったのと同時に、人間の良い面も悪い面もすごくリアルに描写される方だなと思っていました。そして本作は、後者に当たると思いました。

    読んでて、34歳の結婚記念日までは笑えたのだが、それ以降は(3歳を除き)、笑えなくなっている自分に苦笑するしかなかった。ドキュメントを観ている感覚ですよね。この、こういう女性いるよねという、リアル感は本当にすごい。

    主人公の「リンデ」の一見、お洒落な名前とは、また対照的に、時に見られるあざとい感じや、要領よくしようとして逆効果になるところや、心から憎たらしいと思える一面もありつつ、人の良すぎるところや、老夫婦を見て感動しているところには、やはりこれが人間なんだという、一種の安心感を得た気分になり、自分を好きになる方法も、一生かけて、気軽に探せばいいんじゃないの、と思えました。

    まあ正直、63歳の一日は哀愁を覚えもしたのだが、色々あっても、翌日のリンデ自身の意識は変わっていないように見えるところには、本当に励まされた。いや、それ以上に前向きにも見えてきた。だって、人生はこれからもまだまだ続くのだから。

  • リンデ、一生懸命生きてるな〜。
    16歳で目覚めて以来、
    色々考えて言動している割に少しずつ空回っていくような。。。 
    28歳、34歳の心理戦は自分の昔を思い出すようで引き込まれてしまいました。48歳でジョに対する諦めは、元妻と重なってしまい未来が見えず冷めた、でいいのかな。
    「オナメント」でキレるくだりはじめ
    48歳からのリンデの自制心崩壊していく様がただただびっくり。
    とことん省エネで生きる私とリンデは多分
    真逆なタイプなのでリンデのようになるのは耐えられらいという思いと、周りを巻き込む言動力のパワーはリンデに学ぶところろもあるなとも思いました。

  • 他人への期待値が高い主人公を、幼少期から老いるまで描いた作品。
    章は16歳→28歳→34歳→47歳→3歳→63歳の順で構成されています。最初に多感な時期、そこから少しずつ落ち着いていく主人公。一度3歳に戻ることでどのように今の性格が芽生えたのかを振り返れたのが面白かったです。

    正直言って主人公にイライラしながら読んだのですが、完全に嫌いになれず、どこか自分と重ねる部分もあったのが心苦しかった...

    女の面倒な部分を濃縮還元1000%したものが見れるので、女性の方が楽しめる作品です。

    特に28歳期の男女のやり取りはむちゃくちゃイライラするけれど、分かんないでもないという複雑な気持ちにさせられます。

    客観的にみると「どうなんそれ!?」という言動が多いですが、主人公は終始自分のことを受け入れて、孤独な状態もある程度気に入っているご様子。これがタイトルにつながっているのかなと考察しています。

    昨今、世の中では素敵な人間になって自分を好きになろうという流れがありますが、自分を好きになるにはそんな大層な人間になる必要はないということではないでしょうか。

    なかなか皮肉の効いたタイトルです。

  • 自分を好きになる…ということは、少なくとも現時点では自分のことを好きではないということだろう。僕は自分が嫌いだし、他の誰かのことだって、手放しで好きだと宣言できるほど好きな人なんて…いない、いなかったと言い切ってしまうのは正確ではないし、何よりそんなことを口にしてしまったら、きっと悲しくなってしまう。好きな人は、いたこともあったけれど、たいていの場合刹那的なもので、うやむやになってしまうか、こっぴどい幕切れとか、後々思い出したりして、良かったな、なんて思い出など数えるほどもない。そもそも思い出になってしまった時点で、僕には芳しくない結果だったと証明しているようなものだ。僕にとって望ましい結末というか、そもそも結末などは必要なくて、つまり現在進行形で好きな人がそこにいてくれたら、と願うばかりなのである。僕は、ややもすると自己嫌悪に終始してしまう。なにより自信がない。自分がいちばん信じられない。
    “自分を好きになる方法”というのは、自分の期待を裏切ることなく、自信を持つということだろう。僕は、いま、ようやくそんなことを思い始めている。
     
    『自分を好きになる方法』
    本谷有希子さんの本としては、正直で優しさに満ちた物語だった。リンデは63歳にして、ようやく“自分を好きになる方法”に気づき始めている。自分のことだからこそ、ままならないことってたくさんあるし、それを実感しない日などないし。リンデの生きづらさ、ままならなさ、もどかしさ、すべて僕自身にも心当たりがある。僕だって、それなりの年齢になるなどすれば、何かしら手がかりを得ることができるのかな、なんて考えた。
     
    本谷さんの文章で僕が好きなのは、彼女の比喩表現です。それが、いちばんの本谷さんらしさと思うのです。この物語でも、存分に。

  • この著者の作品に触れるのは初めて。1人の女性の人生をこんな手法で描くのかと驚いた。
    文章の柔らかさや、それぞれのシーンで目に映るものを丁寧に描きつつ、距離感や心情を表しているのが好み。
    最初の章から、思春期の人間関係の息苦しさや居心地の悪さが伝わってきて、これを自分が思春期や20代の頃に読んでいたらもっと胸が痛くなっただろうなと思う。
    リンデが婚約直前の恋人と海外で喧嘩をするところは「いやいや、その人とは合わないからやめておきなよ!」と思ったし、その次の章では「結婚してるけどやっぱり噛みあってないんじゃないか!」と一人心でツッコミながら、次にリンデはどうなっているのだろうと心配しながらページを繰った。
    読後は、胸の奥がすうすうするような、孤独感と切なさを感じた。
    私は幸いにも周囲に恵まれていて、彼女ほどの孤独を感じることはない。だがもっと年齢を重ねたら、リンデの姿がより身につまされるようになるのか、それとも彼女の抱える気持ちが却って私の慰めとなるのか、どちらだろうなと考えてしまう。

    先に書いたように、文章の運びや柔らさが好みだった。これをきっかけに同著者の別の本も手に取ってみたい。

  • 今後何度も自分の人生の中で読み返したいと思った小説。
    25歳の私にはまだ早いのかもしれない。きっともう少し経ってから読み返したら違う受け取り方が出来るんだろう。
    物や情景の描き方が丁寧で、一つ一つの景色にリンデの心が映し出されている。読んでいて、リンデの心に寄り添う想像力が掻き立てられる。

    その繊細さについて共感し合える人と話がしてみたかった。できれば心の豊かさや機微というものについても。
    「こんなふうに知らない小道を発見して、幸せだと
    思れば、他に何もいらないのかもしれないわね。」

  • 「自分が心から一緒にいたいと思うピタリと合う相手」なんているのかな?
    多分誰もがどこかでプラマイを補いながら少し妥協したりしてるのではないかと。
    はたまたそれを追い求める事も間違いではない。
    けど、結果待っていたのはどうしようもない孤独だ。
    相手を追い求めたが故の孤独である。
    じゃあ、「寂しさを紛らわす為に特にどうでもない相手と一緒にいる」のが正解なのか否なのかもそれはまた個人の問題で正確な答えはない。
    まあどちらにせよそこに待っているのは圧倒的な「やるせなさ」だろう。

    女性であれば、自分の主観ではあるが「ああ、わかる」というシーンが少しはあるのでないかと思う。

    「なんとなく諦めてしまっている」感覚は多少なりともわかるような気はするかなぁ。
    なんとなく、なんとなく、同じだから。

  • リンデが求めるのは、心から一緒にいたいと願う人だが、タイトルが「自分を好きになる方法」と自分の内側に向いているのが良い。
    自分を好きになることは、一生をかけて見つけていかなければならないものなのだなと感じた。

  • カーヴァーとかサリンジャーとか、自分が学生の頃親しんだ短編を思い起こさせて、あー、これは賞取るやつだなと思った。

  • 比喩がうますぎ
    時間の切り取り方のセンスのよさ

  • 自己啓発風タイトルの小説。

    怖い。

    孤独というか、運命の人を諦められない人を間近で見ている気分。滑稽だが、私にも確実に同じ面がある。たまからより怖く感じる。

    歳を重ねて、経験を重ねたから何でもハッピーエンドにはならないのかなと最近思う。

    しかし、この小説が、あくまで滑稽で怖い瞬間を切り取って見せているからそう思うのであって、私たちも楽しい日と苦しい日を交互交互に過ごしている。

  • すぐ読めたから、良かったのかもと思いつつ、リンデに対して好意的な感情はあまりないので、星1つにしました。
    タイトルの自分を好きになる方法、この本を読んでそう思えるようになれる本なのかなとなんとなく思ったりしましたが、私の読み取りではいまいち上手くいきませんでした。
    どこからどう見ても合っていない夫との性格。
    合わない人と時間、生涯を共にするなんて絶対に嫌です。
    私はこの人と一緒になれて良かったと、新婚の時も熟年になっても年老いても思える人と一緒になりたいと思いました。
    そんな人が見つかる事を願って。

  • 確かBRUTUSの読書特集で知ってに取った本。久しぶりの、もしかしたら10年ぶりくらいに読む本谷有希子かもしれない。若い頃は、第1章16歳のリンデのモヤモヤのような、本当の友達は...みたいな女同士の面倒くさい感情の描写にすごく惹かれた。でも私も作者も年をとったのか、もっと年配の女性の描写に主眼が移り、そこに映し出される「お一人様」の姿が痛々しかった。

  • 「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続けるリンデ。3歳から63歳までの六つの年齢で感じた孤独と後悔を描く長編小説。
    リンデを女性の代表としてみれるかどうかが評価の分かれ目か。実際の心情は具体的に表現はされていないので、読み手の現在の状況に左右されそう。

  •  リンデという女性の、16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳。それぞれのたった1日を切り取っただけで、リンデがどのような思考の持ち主か、どうやって生きてきた(いく)のかが浮かび上がってくる。

     クラスでお弁当を食べるグループを天秤にかける。海外旅行先で渡すチップごときに、うだうだ言う。第三者の目からみて絶対に合わない相手と結婚する。クリスマスパーティのために買った15mの電飾ごときでその場の空気を悪くする。宅急便の配達員にくだらない見栄を張る。ほんとにしょーーーーもないことばっかりなんやけど、このリンデにイライラしてしまうのは自分にも似た部分があるからなのかもしれない。
     「自分を好きになる方法」というタイトルに勝手に期待して、勝手に期待外れだと言う人は多そう。自分を好きになるどころか、自分の器の小ささを思い知ることになると思う。

  • リンデに対して持つ嫌な感情は自分にも似たところがあるからなのかも。
    読む人が歩んできた人生や現状によって、読んだ後の感想が違う作品だと思いました。

  • 面白かった。個人的な感想になるが、昔友人が書いた戯曲はこんなことを書きたかったのだろうかと感じた。

    16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない1日。主人公リンデの計6日間を切り取り、「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続けるリンデの密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を描く。

    3歳の時には無条件に自分のことを思ってくれる人がいた筈だった。なのに16歳の時に友人、28歳の時に恋人、34歳の時に旦那にそれを求めて挫折し、47歳で諦観が漂い、63歳の時にはもう望むべくもない。大まかに言って、そんな内容だったように思う。

    著者の本はいくつか読んだことがあるが、奇抜な発想も分かりやすいカタルシスもなく、静かに始まり、静かに落ち着いていく小説だった。さらりと読めて、さらりと人生について振り返ってみたくなった。

    特に書き留めておきたい章としては、16歳のランチ。世の女性はみんなこんな風に思ってるのかなと思った。

  • 機微の描写力が凄い。
    原田ひ香さんの「#台所のあるところ」に漂う孤独が好きな人にはうってつけの本。
    読む年齢によって、感想は異なると思う。
    だから、久しぶりに何年かおきに読みたいと思う。
    以前は『蛇にピアス』を年齢で感想が流動的になる作品として、定期的に再読したいと位置付けていた作品だけど、あちらはアラフォー前に卒業。「人生はいたいよね」というのが私自身わかった節があるから。
    本作の47歳以降のリンデには共感できるところがなかったんだけど、たぶん10年後、味わい深い読後感を得ていることだろう。
    本谷さんの表現も好き。

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著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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