お父さんと伊藤さん (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062934336

作品紹介・あらすじ

上野樹里主演、タナダユキ監督で2016年秋映画公開!

34歳のフリーター、彩はバツイチの54歳・伊藤さんと同棲している。ある日、彩のもとに兄から「お父さんを引き取ってくれないか」との依頼が。彩は申し出を拒むが、74歳の父は身の回りの荷物を持って、部屋にやってきてしまった。
伊藤さんの存在を知り、驚く父。それでも「この家に住む」と譲らない。その日から六畳と四畳半のボロアパートでぎこちない共同生活が始まった。ところが父にはある重大な秘密が……。
誰にでも起こりうる家族問題を、笑いと緊張の絶妙なタッチで描く傑作。

第8回小説現代長編新人賞受賞作。
選考委員を満場一致でうならせた「家族小説」。
思わず家とは何かを考えさせられた。角田光代
台詞の上手さは出色。石田衣良
安心して読める文章力。伊集院静
登場人物の体温を感じた。杉本章子
テンポよく読めた。花村萬月

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ面白かった。
    お父さんと、伊藤さんの関係が素晴らしくうまく書かれている。
    本を読みながら、ニヤニヤしてしまった(笑)

  • 面白かったです。
    家族を考えさせますね。
    家族が欲しくなりました。

  • 父親とは不思議な存在だ。
    何となく逆らってはいけないと感じる一方で、心のどこかではうっすら軽蔑している。
    彩のように父が死んだら泣けないだろうと思う人は意外と多いと思う。
    そういえば私も父の話を聞くのはいつも母親からで、本人の口から何を考えているのか聞いたことがいくらもないということに気づいた。
    家族ではあるがよく知らない他人のようだ、そう思ってしまったことに少し申し訳ない気持ちになった。

    それにしても伊藤さん、良い。
    何にも考えてなさそうでいて実は広い視野で物事を見ることのできる余裕のある人。
    重い話に突入すると苦しい気持ちになったけれど、この人の存在が本当に有り難かった。

  • 34歳の主人公(彩)と、54歳の同棲相手(伊藤さん)と、突然一緒に住むことになった彩のお父さん(74歳)。

    映画化されたされた時に、この設定とタイトルの語呂の良さに惹かれて、見たいと思っていたのに結局見られなかった作品。原作を図書館で見つけて、やっと読むことができました。

    設定とタイトルで、年の差カップルの悲喜交々と、交際に反対する父親のラボコメディ&ホームコメディを予想していたら、後半は重い内容でした。

    頑固で短気なお父さんのことを好きになれない彩。その複雑な感情が、巻末の解説(映画化された際の監督さんによる)で分析されていて、自分の父親に対する考え方も同じかも、と思いました。

    映画のポスターを見たのでこの3人の配役は知っていましたが、原作を読んで見てピッタリなキャスティングだと思いました。映画も見てみたいです。

  • タイトルから何の物語?と読み始めると、気持ちがほっこりする家族の物語でした。お気に入りの作家さんがまた一人増えました。

  • ほんわかした話が読みたいと思って、タイトルに惹かれて読み始めた作品。
    最初はほんわかだったけど、話が進むに連れてほんわか路線から外れて、親の老後や家族の関係など、なかなか考えさせられる話に突入。
    50代のおじさんがやるときはやる、といった、男性読者には嬉しい薬味もありながら、後半は重めだったが、一気に読んでしまった。
    望んでいた展開とは違ったけど、面白かった。

  • 映像化されたキャスティングの表紙を見たので、読みながら頭の中で映像が浮かぶ感じでスラスラ読めた。彩のお父さんに対する思いが複雑だけれど共感できた。柿の木や田舎の家が燃えてしまう場面は切なくなった。親子のギスギスした関係に伊藤さんがいい具合に入ってくるのは微笑ましい。20歳差の娘の彼氏というと微妙な想いになるだろうけど人柄は申し分ないのではないか。ラストはお父さんが自分の将来に悲観するでもない決着をつけるけどなんだかやっぱり寂しい。

  • 映画化されると、その役者さんでしか画が浮かばなくなってしまって悔しい。確かにハマっているけど…。
    あえて、違う役者さんだとしたら。誰だろう?浮かぶ人
    います?うーん

  • 34歳、独身で長らくアルバイトで過ごしていた彩は、アルバイトで知り合った20歳年上の伊藤さんと、アパートに同居している。そこへ突然、彩の父親が、小さなダンボール一箱を持って現れた。一緒に住むと言う。

    頑固で気難しい、教員出身の父親、ふらふらとなんとかアルバイトで食いつなぐ娘に、同じくアルバイトで生計を立てながら、能天気に生きる伊藤さん。ドラマの配役としては申し分のないキャラクター付である。実際にドラマか映画になったのだろう。読んだ本は、表紙が俳優の写真だ。

    長年犬猿の仲だった父と娘の間を、ひょうひょうとすり抜けていく伊藤さんが全般に渡って読者を助けていく。しかし登場人物はそれほど助けられないのが面白い。また、彩の仕事先のカンマニワさんは、そこまででもないにしろ、ストーリーの緩和に役立っている。

    一方で、彩の兄、つまりは父の息子に当たる人物、その嫁、叔母さんによって、硬く難しい関係を表現しており、緊張感を維持している部分が、良いコントラストになっていると言える。

    大きな事件は1つか2つ程度に抑えられ、難しいながらの日常が本作品の醍醐味である。

    ところで、文章はかなりブロークンで、主語がなかったり、突然過去のエピソードが入ったり、事後のことが2行ほど挟まるなど、正直褒められたものではない。まあ、そのあたりは「リズム感が良い」「勢いがあってよい」と評されるものかもしれないが。しかし事件の途中で、突然事後の話になっていたりするのはちょっとどうかと思う。その辺をもう少し整理してあればよかっただろう。

    とにかく、本作の一番良いところといえば、タイトルに他ならないわけで、買う際に本棚でつい二度見したもんね。タイトルで買わなきゃと思わせるものがあった。

    で、問題は、表紙でリリー・フランキーを見てしまったことなんだよな。伊藤さんだろ。読んでいる最中にリリー・フランキー以外浮かばないんだもの。こういう表紙は考えものだわ…。

  • 伊藤さんはいざという時に支てくれている。

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著者プロフィール

1969年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務の後、劇作家として活躍。2007年「ミチユキ→キサラギ」で第3回仙台劇のまち戯曲賞大賞、12年「春昼遊戯」で第4回泉鏡花記念金沢戯曲大賞優秀賞を受賞。13年に『お父さんと伊藤さん』で第8回小説現代長編新人賞を受賞し、小説家デビュー。著書に『おまめごとの島』『星球』がある。

「2017年 『PTAグランパ! 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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