赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 397
レビュー : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062934435

作品紹介・あらすじ

霧の早朝、私と鮭川は声を持たない聡明な赤目姫と三人でボートに乗っていた。目指す屋敷で、チベットで、ナイアガラで。私たちの意識は混線し、視点は時空を行き来し、やがて自分が誰なのかもわからなくなっていく--。これは幻想小説かSFか? 百年シリーズ最終作にして、森ファン熱狂の最高傑作!

感想・レビュー・書評

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  • ミチルとロイディにまた会えるぞ!と意気揚々と読みだしたら、鮭川とか知らない名前がたくさん出てきて、なんだか時代もそこまで未来ではないようだし…あれ?間違えたのかな?としばし途方に暮れながら読み進めました。

    そして、まあ、これはこれで面白いかも…とストーリーに入り込んだあたりで、だんだんと「自分」が混在する内容になり、今度は違う意味で途方に暮れました。
    この「私」は一体、今は誰のことを言っているんだろう。そもそも、これだけの人数は存在しているんだろうか?脳内での会話とかじゃなくて??

    小説って、連鎖的というか、ビビっときたシーンを取り出すことはできても、そこだけではその衝撃は伝えられなくて、そこまでに至るすべての言葉に意味があるような。そういう意味では、まるで音楽のようだと思います。
    理由は説明できないけれど、とにかく背筋がぞくっとする、なぜかは自分でもわからないけれど、ふいに涙が出てくる。本を閉じたくなる。目を閉じて、今自分が感じている、名前をつけられない、手にすることもできない、目で見ることもかなわないなにかを、大事にしたい。一瞬で消えてしまうとわかっていても、その残り香を覚えていられるようにしたい。そういう気持ちになることが、もしかしたら「感動」というのかもしれません。

    ネタバレになるようなことすら書けないくらい初読では難解な内容で、それっぽく理解したり解釈したりすることがもったいなく思えるほど。何度か読んで、ゆっくりと咀嚼して、じっくりと向き合いたくなる本です。

    読んでいる間、何度も、そういえば数年前まで引退するって言ってたっけ。引退することをやめてくれて、私はなんて幸運なのだろう、と思っていました。たとえ理解できなくても、森博嗣という才能と同時期に生きていられて、とても幸福だと感じます。

  • 百年シリーズの三冊目だが、百年シリーズとWシリーズの先にある物語じゃないかと思う。「私たちは生きているのか?」にあったハギリのモノローグ、「人間は、いつか人間に決別することになるだろう。」正に人間に決別した後が本書の世界。
    「私たちは生きているのか?」の仮想空間はあまり魅力を感じなかったが、いつか我々の意識や感覚が電脳空間に移転したら本書のような自分と他者の区別が判らなくなるんじゃないだろうか。
    しばらく間に読んだ哲学入門や森先生の著作から、僕が求めていたビジョンが本書の世界かなと思う。でも、この世界観を思考では納得するんだが、心からこの世界観を希求するかというと、どうだろう。

    途中、自己と他者の区別や夢と現実の間合いが判らなくなる箇所は筒井康隆を連想した。でも、もっとリアルティがあって、もっと判らないことだらけだった。
    人形とか端末とは何だろう。操っている者がいるのか。操れるのか。
    Wシリーズでもトランスファーがウォーカロンを綾っていたし、百年シリーズでも分離した頭脳が肉体を制御していた。一貫した感覚があると思うけど、森先生の作品に慣れていないと、この本は辛いかも知れない。

  • 解説者冬木糸一氏の『何がなんだかわからないが、すげえ』に激しく同意。

    この人のサイト、気になる。。


    前作、前々作のミチルが登場しないのだが、
    人の意識がその個体にある=私たちのような状態 ではなく
    別の意識によって体が動いたり、 他の人の体に自分の意識が入っていたり、、、 というあたり、前作の女王の実験によるものだろうか。。。
    そこでかろうじて同じ世界観、という事は分かるのだが。。

    本作、コミカライズされるそうである。
    という事は咀嚼しきれたのか、作画担当者。。凄い。。

    ミチルの短い単語の羅列も難解だったが、理論詰で説明されても難しい。作者、凄いなぁ。。

    冬木氏曰く、『折にふれて読み返しているうちに、意味が分るとはとても言えないが、その内容が実に馴染むようになってきた。端的に言えば、とても心地よい作品だ。』との事。『凡人の身としては、振り落とされないように必死にしがみついていく』そうで、
    再読する機会があれば、積極的にいこうと思う。。

    Wシリーズも読んでみようか。。。

  • 百年シリーズ最終作にして、森ファン熱狂の最高傑作!

    霧の早朝、私と鮭川は声を持たない聡明な赤目姫と三人でボートに乗っていた。目指す屋敷で、チベットで、ナイアガラで。これは幻想小説かSFか? 百年シリーズ最終作にして、森ファン熱狂の最高傑作!

  • 二年前に読んで以来の再読。
    常に曖昧模糊とした認識の中で話が進行するため、ふんわりとした印象のみを持っていたところで、再読の結果もまだ同じ感想に。感性が進化/変化していないらしい自身が少し嘆かわしい…
    また、些事に目が行きがちのため、色味が気になって仕方がない。

  • ミステリーともサスペンスとも違う、
    ジャンルを何か選べというならSFですね。
    まるで夢から夢に移るような、夢から覚めたと思ったらまだ夢の中だったみたいな話でした。
    だからとても心地よくて、それでいてハッとすることが多かったです。

  • 「 女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN 」
    「 迷宮百年の睡魔」
    に続く、百年シリーズの最終作。

    なのだが、読み始めて「?」となり、本当にこれはシリーズ最終作なのか?三冊目なのか?実は1作目なのではないのか?・・・と不安になり、何度も調べてしまった(;'∀')

    ミチルもロイディも登場しないのだ。この二人の関係が好きでその後が気になっていたのに。

    確かに二人の行く先なのかもしれないけれど、飛びすぎ。間にあと3冊くらいは必要だよー

    または二人の原点。なのかもしれない?

    そして人類の行く先なのかもしれない・・・?。

    更に世界が広くなりすぎて、ついていけず、2度読みしました(笑)

    やっぱり、この世界観、好きだわ~!(^^)!

    次は「Wシリーズ」かな♪

  • 百年シリーズの3作目で完結  らしい・・・
    確かに百年シリーズと言われればそうなんだけど、これで完結?
    ミチルもロイディも出てないとかそんなレベルじゃなく、百年シリーズに入れてよいのかどうか
    むしろWシリーズじゃないのか?

    とりあえず、これまでのを読んでるから現象の理由もわかるけど
    その前提条件があってもよくわからん(笑)

    自称引退後の森博嗣はわかりやすさという優しさ成分がなくなったからなぁ

  • 森博嗣百年シリーズ第3作

    ぼくの感想も一言で、解説の冬木さんが最初に書かれている「何がなんだかわからないが、すげえ」、これに尽きる。

    百年シリーズの最終作ということで、またミチルとロイディのコンビが女王様に会いに行くようなものを想像していたのだが、この話は全然関係ないようだ。冬木さんも解説されているが、世界観が同じというところから、なんとなくその百年シリーズの雰囲気になっているのだろう。
    百年シリーズは、舞台の設定が現代ではないことを感じさせるためか、他のミステリー小説と異なり、SFの雰囲気を醸し出している。この小説もSF小説と言ったほうが良い、というかミステリーの要素というのがどこにあるのだろうかと思ってしまった。
    篠柴くんと鮭川が赤目姫を伴って魔多井という人物のところへ、早朝からボートを漕いで行くという話から始まるのだが、その後の展開は、テレビ番組にある「世にも奇妙な物語」のような感想を持った。うーむ、探偵小説にあるような殺人事件がおこるなどとはまた違った雰囲気を持つ、これもやはりミステリーなのか。

    物語自体はなんというか、読んだ直後は「へっ?」という感じなのだが、後からじわじわと面白さが蘇ってくる(?)作品だった。この辺がなんだかよくわからん面白さなのかもしれない。ミステリーという観点からなら、この作品が百年シリーズの最終作になっていること自体がミステリーなのではなかろうかと思ってしまった。

  • SFなのか・・・とにかく難解.神秘的でもある.

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著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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