刑事の約束 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 347
レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062934442

作品紹介・あらすじ

抜き差しならない状況に追い込まれた人たちの心を見つめ真実にたどり着く異色の刑事・夏目信人。『刑事のまなざし』に次ぐ第二短編集

感想・レビュー・書評

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  • 人間の心奥を鮮やかに描き出す、夏目刑事シリーズ第3弾、短編の5編それぞれに重いテーマが。
    結果は同じでも、「ミルフィーユ」のような重なりがある加
    害者の心理を、丁寧に解きほぐす夏目刑事の捜査手法は、本作でもいかんなく発揮されている。
    夏目の同類とも目される志藤検事がまた登場するが、彼の背景はいろいろありそう。次回作あたりに、期待したい。
    表題作では、夏目一家に大転機が訪れ、こちらの行方も注目される。

    • azu-azumyさん
      hongoh-遊民さん、こんにちは。
      私の本棚を紹介してくださいり、ありがとうございました。
      hongoh-遊民さん、こんにちは。
      私の本棚を紹介してくださいり、ありがとうございました。
      2016/09/14
    • hongoh-遊民さん
      lalamama1さんも海外在住ということなので、情報交換他、話が合うと思い、紹介してみました。よろしく。
      lalamama1さんも海外在住ということなので、情報交換他、話が合うと思い、紹介してみました。よろしく。
      2016/09/14
  • 夏目刑事シリーズの第3弾。珠玉の短編5編を収録。第2弾は長編であったせいか物語の凝縮度が低いように感じたが、本作では第1弾と同様に非常に濃い人間ドラマを堪能した。

    異色の刑事・夏目が見つめる様々な人びとが背負う罪、感情、夢、希望、絶望…今回、夏目の眼は人びとを見つめるだけでなく、自分自身にも注がれているように感じた。殺伐とした現代に起こり得る事件をテーマに描く、様々な人間の姿と救い。これだけ高い水準の作品を書き続ける薬丸岳は並みの作家ではない。

    表題作の『刑事の約束』の他、『無縁』『不惑』『被疑者死亡』『終の住処』を収録。

    ライター・湯水ゆかりの解説が的確に薬丸岳と作品の本質を捉え、表現しており、非常に好感が持てた。

  • 万引き事件を起こした少年は、得体の知れない女とひっそり暮らす無戸籍児童だった。憐れむべき存在かと思えた少年はしかし、刑事・夏目の捜査で予想外の相貌を見せる(「無縁」)。割りきれない事情が、時にやりきれない犯罪を生む現代。絶望がしのび寄る乾いた世の中に、わずかな希望のありかを探る傑作短編集。

  • 面白かった
    「刑事のまなざし」「その鏡は嘘をつく」に続く夏目シリーズ第三段
    5編からなる短編集です。
    今までの物語同様、単純な謎解きではなく、人の心の複雑さをあぶりだす人間ドラマとなっています。この手の作品は大好き。
    しかし、第一作、第二作に関連している人物が出てきているようですが、ほぼほぼ前作の内容を覚えておらず、その辺は楽しみ半減でした。残念。

    ■無縁
    DVD販売店で万引きをした少年の物語。
    少年は得体のしれない女性と暮らす戸籍のない子供。
    黙秘を貫く子供の正体は?
    なぜ戸籍がないのか?
    家族とは?深い...

    ■不惑
    ホテルで結婚式のビデオ制作する男の物語。
    同じ場所で開かれた高校の同窓会に出席した夏目はその男の企みを感じます。
    自殺未遂で13年間眠り続けた婚約者の原因を作ったのがその結婚式の新郎。
    新郎を殺害するのか?
    その真相は奥深いものでした。

    ■被疑者死亡
    殺人容疑で逮捕状をとって、踏み込んだアパートから逃げた男はトラックではねられて死亡。
    被疑者死亡で書類を検察に送れば終わると思われた事件を掘り下げます。
    そこにあったのは、ろくでもない男なりに守りたかったもの。哀しい物語でした

    ■終の住処
    老婆がケアマネージャを階段から突き落とす事件。
    老婆が持っていた桐のタンス。そのタンスを巡る秘密。

    ■刑事の約束
    植物人間だった夏目の娘に反応が..どうなる?
    って思いがらも、本編では重い話が..
    空き地に停まっていた車から発見された刺殺された女性の死体。その自宅を訪ねると、拒食症の娘が。
    女性は覚せい剤で最近まで刑務所で暮らしていた。
    そして、数日後、娘が自首。
    なぜ、娘が母親を殺したのか?
    そこには、「刑事のまなざし」で登場した人物との接点が..
    これは、深い。
    「刑事のまなざし」のオムライスを読み直さなければ..

    ということで、いずれも良い作品でした。

    とてもお勧め。
    順番通り読み進めましょう。
    そして、どうせなら一気に3作を読みましょう(笑)

  • 評価は3.

    内容(BOOKデーターベース)
    万引き事件を起こした少年は、得体の知れない女とひっそり暮らす無戸籍児童だった。憐れむべき存在かと思えた少年はしかし、刑事・夏目の捜査で予想外の相貌をみせる(「無縁」)。割り切れない事情が、時にやりきれない犯罪を生む現代。絶望がしのび寄る乾いた世の中に、わずかな希望のありかを探る傑作短編集。

    最後に特に何もつながらない短編集であった。夏目刑事中心でその仲間達との話なんだが、その夏目にめり込めない間に読了してしまった。

  • 前回読んだシリーズ第1作と比べて、今回は格段に良かった。どの話も深層には悲しい事実が隠されており、特に表題作は救いようのない絶望感が最後まで解消されなかった。一旦犯した罪は犯人が死んでも償われることはないと思うが、そうだとしてもせめて悔い改めてもらいたい。そうでない悪人がでかい顔をしてのさばっているのがこの国の現実だとしても。

  • 夏目信人シリーズ3作目。「無縁」「不惑」「被疑者死亡」「終の住処」「刑事の約束」全5話を収録。
    1作目で娘を襲った犯人を捕まえた夏目。
    今作冒頭では、殺人事件で捜査本部が設置され、あらゆる部署から捜査員が駆り出されているという状況の中、窓際でぼうっと外を見つめ、定時が過ぎるのをただ待っている男、という登場であるから驚く。しかし、ある事件をきっかけに立ち直る。そこにはやはり子どもが関係している。
    機微に聡いこの男によって、救われる者が多くいる。「寄り添う」刑事である。今作の最後には、1作目の「オムライス」で母親に殺されかけた少年が罪を犯し、夏目自身も衝撃を受け、揺れ動く。植物状態であった娘にも変化があり…次作も必読。
    図書館蔵書

  • 夏目信人シリーズの第三弾。5つの短編連作。様々な社会問題を織り交ぜながら、事件の解決だけでなく、人の裏側・内面を鋭く浮彫にする夏目の深い洞察...。本作も圧巻の展開。他編にさりげなく置かれたプロット。ああそういうことね、と最終編で納得。
    「終の住処」は調査不足の感が否めない。残念。この編だけ細かな点が気になり、感情移入できなかった。

  • 夏目刑事シリーズ。
    久しぶりにこのシリーズを読んだので 
    なんで娘は昏睡状態になったんだっけ?など
    忘れているところが多々あった。
    短編なのでもうちょっと長めに
    読みたいなぁというのが正直なところ。

  • 犯罪被害者家族でありながら、被害者にも加害者にも寄り添い、真実を見極めようとする夏目刑事のシリーズ。
    ワイドショーなんかでは虐待のニュースとか、身内同士の殺人とか、ただセンセーショナルに報じて騒いだり、背景に何があったのか勝手な、そして薄っぺらな憶測をしたりするけど、被害者にも、不幸にも加害者になってしまった人にもそれぞれの人生がある、ということを気づかせてくれる。家族の愛情に包まれ、犯罪被害にも合わず、また自分が加害者や被害者になる可能性を考えもせずに生きてきた人には、とうてい理解できない犯罪動機が潜んでいたりする。
    親からひどい虐待を受けて育った少年が、猛省した母から「あなたの幸せを見届けたい」と言われて考えた母への復習の話「刑事の約束」が重たかった。
    親から認めてもらえないという後遺症は重い。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年に『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年に『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を、2017年に短編「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞〈短編部門〉を受賞。『友罪』『Aではない君と』『悪党』『死命』など作品が次々と映像化され、韓国で『誓約』が20万部を超えるヒットを飛ばす。他の著作に『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』『刑事の怒り』と続く「刑事・夏目信人」シリーズ、『神の子』『ガーディアン』『蒼色の大地』などがある。

「2020年 『告解』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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