正妻 慶喜と美賀子(上) (講談社文庫)

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  • 講談社 (2017年10月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784062934619

作品紹介・あらすじ

幕府と朝廷の関係にも動乱の機運が高まる十五代家慶の治世。一条家の美しき姫美賀子は、英邁の噂轟く一橋慶喜に嫁いだ。「わしはどんなことがあっても将軍になどならぬ」信念を曲げない夫の奇矯な振る舞いに翻弄される美賀子は、ある哀しい決意を抱く。幕末の新たな一面を描ききる、傑作大河小説を文庫化!


英邁の将か、暗君か――。
妻だけが知り得た、「最後の将軍」の真実。

幕府と朝廷の関係にも動乱の機運が高まる十二代家慶の治世。
一条家の美しき姫美賀子は、
英邁の噂轟く一橋慶喜に嫁いだ。
「わしはどんなことがあっても将軍になどならぬ」
信念を曲げない夫の奇矯な振る舞いに翻弄される美賀子は、
ある哀しい決意を抱く。
幕末の新たな一面を描ききる、
傑作大河小説を文庫化!

2018年大河ドラマ『西郷どん!』の原作者が描く、
もうひとつの幕末ドラマ

みんなの感想まとめ

幕末の動乱を背景に、正妻美賀子の視点から描かれる歴史小説は、夫である将軍慶喜の内面や彼との複雑な関係を通じて、当時の公家や武家の生活、文化を鮮やかに浮かび上がらせます。美賀子は、慶喜の強い信念に翻弄さ...

感想・レビュー・書評

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  • 将軍徳川慶喜の正妻である美賀子の視点で描かれた幕府崩壊にいたるまでの歴史小説です。大河ドラマの渋沢栄一をみているとき、このお姫様についてとても気になり、この本をみつけて読んでみました。

    慶喜との表面的なことだけでなく、内面について描かれているため興味深かったです。上巻を読みきったとき、すぐに下巻が気になりました。特に縛崩壊については日本史として学生の頃学びますが、当時の公家、武家の生活、文化なども知れるので、より面白く、勉強になる部分もありました。

  • おもしろい。慶喜と美賀子の内面と、歴史的舞台での特異な二人の世界の生生しい息吹を感じた。小説の力を改めて感じる。林真理子の力量に恐れ入った。実賀子が公家の世界で生きてきた様子、婚儀の決まった様子、実賀子からみた慶喜の様子、だんだん慶喜の人となりを納得してゆく様子を一気に読んでしまった。

    特に婚義の儀式の最中に、慶喜が美賀に声をかけ「美賀・・」「美賀はどうだ、少しは江戸に慣れたか」「今度の地震は肝も震えたことであろうな」と声をかける場面が、なんともよかった。今「青天を衝く」で慶喜は草薙剛なので、やっぱり読んでいてもその顔が浮かんでしまうのだが、これがイメージぴったりだと思うのだ。

    美賀は慶喜については「変わった考えをする人」と、好ましく思い、それゆえ自身ではつらい結果になっても、「慶喜だから」と、達観?してゆく。晩年の乳がんの手術にも立ち会い、それが美賀子が心配なのもあるがそれ以上に外科手術をこの目で見たい、という理由に「己が一番かわいい人なのだ」としめくくる。

    手術を渋る美賀は、何故大阪から逃げたのか教えてくれたら手術をすると慶喜に言うと慶喜は話しだす。「最初はフランスの助けを借りて戦い倒幕派に勝っていっきに薩長をやっつけるつもりだった。そのためには交換条件で薩摩などフランスにくれてやってもいい、と思った。だがイギリスは薩摩に援助をしていて、その代わり兵庫港をくれと言っている、とそのフランス公使ロッシュが陣を張っていた大阪城にやってきて言う。それを聞いて、将軍だった自分は領土を他国に渡そうとした、自分は売国奴と呼ばれることになる、それでおじけづいた。戦いが長引けば薩摩がイギリスと取引をすることは目に見えている、あの夜自分にできることは逃げることだけであった」と、美賀子に話すのである。

    誰にも言っていない大阪逃亡の心中を美賀子に語ったことで、この「正妻~慶喜と美賀子」は、いくら側室に子を産ませようと、美賀子は正妻なのだ、という林の主張があると感じた。

    この慶喜の「売国奴になってしまう」というのはいろいろ資料を読み込んだ林の見解かと思う。

    このところ慶喜関係の歴史的な本を何冊か読んで、正妻、美賀子との関係はどうだったのか?と疑問が湧いていたのだが、それに林真理子の世界観で答えてくれた。つい先日のNHKBSの歴史番組で慶喜をやっていて、林真理子がゲストで出ていた。林は慶喜は好きだ、と言っている。それが小説にも表れていて、慶喜には、静岡時代、そこに大奥を再現して、子孫ずくりに励んだ、と女好きにはやれやれ、といった描き方だが、基本は慶喜に対する肯定感が貫かれている。また歴史的事象は、美賀子やその回りの人々が漏れ聞いた形で、さらりとだがきっちり描かれている。


    2011.12.13-2013.12.9 釧路新聞、函館新聞、室蘭民報、東奥日報、新潟日報、茨城新聞、信濃毎日新聞、千葉日報、静岡新聞、山梨日日新聞、島根日日新聞、山陽新聞、中国新聞、佐賀新聞に連載。

    2018.8.2第1刷 図書館

  • 今年の大河「晴天を衝け」は、主役の渋沢栄一以上に、慶喜と美賀が面白い。林真理子著の時代小説は初めて読んだがとても面白かった。幕府と朝廷の関係、公家の生活なども興味深く描かれていて、京言葉が心地よい。幕末の騒乱に翻弄された美賀の結婚生活はドラマチックにスタートしたが、辛い体験を重ね精神的にタフに、大人の女性として成長していく。続きが気になり連日寝不足になった。

  • 最後の将軍徳川慶喜の正妻、美賀子の立場から描かれた徳川幕府崩壊にいたるまでの歴史小説。大河、晴天を衝けに関連して読んでみた。
    副題には「慶喜と美賀子」とあるけれど、二人の物語というよりは、正妻と側室の立場を通して、なんとも理解しがたい慶喜の魅力が描かれている。男にとっても女にとっても、自分の意思とは無関係に政治的な思惑により結婚生活が始まる。そんな中でも、譲れない部分や許すところ、自分の気の持ち方や決意ひとつで、夫婦の関係性や立場が定まっていく。周りに決められ流されているようでいて、しっかり自分の選んだ道を生き抜いているんだなと思う。

  • 清華家の一つ、今出川家に生まれた延(のちの美賀子)は、思わぬめぐり合わせから名門一条家の姫の身代わりとなって徳川慶喜のもとへ嫁ぐことになる。
    武家のしきたりへの戸惑いや、同居する若い祖母への妬心に悩みながらもうまくいくと思われた夫婦仲だったが…。
    幕末の動乱とともに頻繁に描かれる慶喜だが、そのキャラクターは実に多様で定まらない。本書は正妻である美賀子の視点で描かれたことで、より内面的な部分にスポットが当たっている。美華子やお芳の目を通して、公の部分の慶喜の行動の一つ一つの動機や心理が解き明かされていくなかで、新たな発見などもあり、改めて題材としての幕末の面白さを感じた。

  • 我慢の人、割り切りの人、みたいなのが強くて、それはそれで大事だし、悪いことではないんだが、なんせ我慢のできない人間には我慢の人が焦ったい笑

    下巻はいいかなぁ。。。

    2025.2.14
    34

  • 少しの違いでこの時代の人は写真が残っていて身近に感じながら読み進めました。まだ上なので判断するには早いが慶喜は要領も良くて現代の御曹司であれば人生を満喫するタイプの人なんだろうなと。偏見か?

  • 公家から将軍家(武士)へ嫁いだ公家の姫、一条美智子が主人公です。彼女を通して政治的な圧力や生活の違い、徳川慶喜の人柄などが語られつつ話が進みます。

    途中から江戸育ちのお芳が登場することで、物語の雰囲気が一新します。
    難しい歴史小説を、林真理子ならではの女性目線で書かれていて読み手を飽きさせません。

  • 20241220

  • 徳川慶喜と聞いて今の人たちはどう捉えるのだろう。私はただ、「変わり者・江戸幕府最後の将軍・大政奉還した人」くらいしかイメージがなかった。せいぜい教科書から得た最低限の知識だけ。
    「正妻」という一見、慶喜の正妻=一条美賀子のみ焦点が当たった内容かと思ったが、読み進めると美賀子を通しての慶喜はもちろん、愛妾・お芳からの描写もあり、多様な側面から慶喜や美賀子、幕末の動乱が書かれている。やはり「変わり者」という印象は間違っていないように思われるが、朝敵の汚名を着させられながらも、最後まで日本国を護ること考えた慶喜はやはり「天下一の男」の名に相応しいのではないだろうか。徳川慶喜という人物について改めて考えるきっかけになると思う。

  • とても面白いです。幕末の女性たちが今そこに生きているかのような臨場感があって、グイグイ引き込まれました。


  • 2021.6読了
    大河ドラマに影響を受けて読んだ本。
    今まで慶喜さんについては最後の将軍、くらいの認識しかありませんでした。
    ここのところ色々な情報が入り、つよぽんの慶喜さんとのギャップに驚きです。
    幕末は人も多く事件も政治背景も複雑だけど、なんとなくスッキリしました。
    大河ドラマも楽しみー

  • 正妻の立場から慶喜を描くのがとても面白い
    日本史も世界史も全く勉強不足だから、
    これから先もっともっと楽しいことが待ってるんだな
    楽しみだぁ

  • 女好きの正妻になるのもしんどいものでしょうね。

  • 妻だけが知り得た、「最後の将軍」の真実
    幕府と朝廷の関係に動乱の機運が高まる中、公家から一橋慶喜に嫁いだ美賀子。英邁と称えられる夫の振る舞いに翻弄される美賀子は、ある哀しい決意を抱く。幕末の新たな一面を描ききる、傑作大河小説を文庫化!

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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