闇に香る嘘 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062934824

作品紹介・あらすじ

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。

27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。
全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。

感想・レビュー・書評

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  • 目が見えない…
    自分がなったことないから、イメージでしかないけど、見える人が簡単にできない不自由さはキツい。
    この主人公は、40歳ぐらいまで、見えてただけに余計にね。

    これ、映像化されたら、全盲の主人公だけ分からんけど、その他大勢は分かるっていう真実が…
     「なに疑ってんねん!」
     「なに怒ってんねん!」
     「ほんまに…」
      ………
    って、その他大勢さんからのかけ声というかコールが連呼されそう〜

    確かに、見えない自分に苛立ち、母、妻、娘に当たり散らしてとか分からなくはない。
    その他、色々に対しても…
    兄がホントの兄なのか?
    ホントの兄はどこか?
    母は殺されたのか?

    疑心暗鬼になる気持ちは分かるけど、やっぱり、闇は、目だけにして、心には光を灯したままにして欲しいな…

    最後に分かる真実!
    途中に、大きな空回りはあったけど、良かったんかな。
    終わりよければ全てよしや〜!

      (*'ω'ノノ゙☆パチパチ

    常闇の中にも家族の温かさをー光を感じた。

    まっ!
    見えてもお先真っ暗な人もおるし(ーー;)

    誰のことやろ?…

    • yukimisakeさん
      そ、そんな…!愛人で良いのに!○| ̄|_
      そ、そんな…!愛人で良いのに!○| ̄|_
      2024/03/10
    • ultraman719さん
      愛人2人ぐらい、囲ってくれたらいいのにね!
      甲斐性がない( *`ω´)
      愛人2人ぐらい、囲ってくれたらいいのにね!
      甲斐性がない( *`ω´)
      2024/03/10
    • 1Q84O1さん
      オッサンの愛人はいらん!
      (ノ`Д´)ノ彡┻━┻
      オッサンの愛人はいらん!
      (ノ`Д´)ノ彡┻━┻
      2024/03/10
  • 下村作品を続けて3冊読み終え、これで著者の作品は計4冊を読了し、読後評価は全て☆4つ。

    外さない、外れない。

    これが現時点での下村作品に対する私の評価。

    本作がデビュー作、積読期間が長かったですが、有栖川有栖先生が絶対評価のAと評した江戸川乱歩賞受賞作は読み応え十分の作品でした。

    本作の主人公は盲目の村上和久、最愛の孫娘は重い腎臓病で透析を受けなければ命を繋ぐことが出来ない。

    孫娘を救うには腎臓移植しかなく、自身の腎臓を提供しようとするも、検査で移植に適さないと判断される。

    最後の頼みの綱は和久の兄の竜彦のみ。

    しかし、竜彦は移植に適合するかの検査すら絶対に受けないと拒絶する。

    そんな時に和久の携帯にかかってきた自らを本当の竜彦だと名乗る男。

    目の前にいるのは本当の兄なのか?

    遡ること27年、中国残留孤児として日本に永住帰国してきた竜彦。

    すでに視力を失っていた和久はその目で帰国した兄の姿を見ていない。

    兄の言動を不審に思い、当時満州で生き別れた兄を
    知る人々を訪ね歩く。

    和久がたどり着いた真実は...

    戦争の悲劇、緻密に仕込まれたプロット、回収された伏線の先に待ち受けていたのは読者の想像を超えた結末。

    大好きなどんでん返しと言えばそうかも知れない...

    ただ、エーッΣ( ̄。 ̄ノ)ノって感じではないんですよね...

    もっと暗く、重い…

    亡くなった私の母方の祖父母もいわゆる引き揚げ組です。

    戦争の悲劇ってこういう事も含めて向き合わないとダメなんだって思いました。

    ラストの終わり方で救われましたが、すごく考えられる作品でした。


    説明
    内容紹介
    村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。


    村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。

    27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。
    全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。
    内容(「BOOK」データベースより)
    孫への腎臓移植を望むも適さないと診断された村上和久は、兄の竜彦を頼る。しかし、移植どころか検査さえ拒絶する竜彦に疑念を抱く。目の前の男は実の兄なのか。27年前、中国残留孤児の兄が永住帰国した際、失明していた和久はその姿を視認できなかったのだ。驚愕の真相が待ち受ける江戸川乱歩賞受賞作。
    著者について
    下村 敦史
    1981年京都府生まれ。99年に高校を自主退学し、同年、大学入学資格検定合格。2006年より江戸川乱歩賞に毎年応募し、第53回、第54回、第57回、第58回の最終候補に残る。2014年に9回目の応募となる本作で第60回江戸川乱歩賞を受賞。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    下村/敦史
    1981年京都府生まれ。2006年より江戸川乱歩賞に毎年応募し、2014年に本書『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門で2位、「このミステリーがすごい!2015年版」国内編で3位と高い評価を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 中国残留孤児のお話し。真実がどうなるのかドキドキしながら読みました。大人になって歴史を学ぶ機会が減っているので、過去に悲しい出来事があったことを知れて良かった作品でもありました。
    ラストも嫌な終わり方ではなく、スッキリとした終わり方だったので良かったです。

  • 中国から帰って来た残留孤児の兄が偽物かも知れない。
    謎を追う主人公が盲目と言う設定が緊迫感を高めていて最後まで引き込まれた。

  • 見事な設定、巧みなプロット、爽快感を感じる感動の結末。江戸川乱歩賞に相応しい見事なミステリーだった。全編に亘る数々の伏線と、それを全て回収しながら、感動の家族のドラマが進行する。

    腎臓移植が必要な孫のために適合検査をするが、不適合の診断に悲嘆に暮れる盲目の村上和久は中国残留孤児の兄に腎臓移植の依頼をする。何故か、適合検査さえも頑なに拒む兄は本当に実の兄なのか…

    盲目の老人を主人公の探偵役に据え、実の兄の正体を探るミステリーと共に、戦争に端を発した悲劇を見事に描き切った傑作。

  • 江戸川乱歩賞受賞作。
    中国残留日本人孤児の問題をテーマにした推理小説。
    戦後の残留邦人問題、その存在を知る世代はその事自体を忘れはじめ、若い世代は知る機会もほとんどないため、これを題材にしたというのは、とても興味深く意義があることと思う。自分本位過ぎる主人公が、終盤でそれに気づき希望のある終わり方になったのは良かった。
    しかし、主人公が全盲で69歳という設定が、このハードボイルドな内容を考えると、ちょっと無理があるように感じてしまった。廃屋工場に乗り込んだり、川に係留されてる船に人質になっている重度の腎不全の孫を救いに行くなどの冒険活劇は想像しにくく、なかなか読み進まなかった。
    2019.10.19

  • ろう者が主人公の作品を読んだ後、続いて全盲者が主人公のミステリー。
    戦争時の後遺症で目の見えない主人公が、自分の兄が偽者ではないかとの疑いを払しょくできず、真実を求めて彷徨する。そこには、戦争犠牲孤児(山崎豊子女史は、中国残留孤児との言葉を使わない)の問題が重くのしかかる。
    誰が本当のことを言っており、誰が嘘をついているのか。
    誰が本人で、偽者は誰なのか。
    主人公とともに、読者も混迷の渦に巻き込まれる。いわば、小説を読むというのは、文字だけで映像がなく、盲者の行為に類するものだから。
    盲目ゆえの苦悩と障害、さらに戦争の傷跡の過酷さ、そして家族の絆、それらを見事に融合させた傑作。
    良質のミステリーは、芳醇なワインに似ている。読後しばらく、その心地よい余韻に浸ることができた。

  • 読み終わり、思わず「お見事!」と喝采した。
    猜疑心の強い盲目の主人公の心に芽生えたひとつの疑念。さらにそれを補強するかのようないくつかの事件たち。中国残留孤児問題を軸に、全編が疑心暗鬼に包まれたまま進行していく。まったく先の読めないストーリー展開と、すべてが明らかになったときの世界観の反転がとにかくお見事だった。点字の暗号のエピソードはちょっと邪魔だったような気もするけれど、十分に満足できた一冊でした。
    中国残留孤児問題は根が深いですね。
    全然毛色は違うけど「世界の果ての子供たち」を読んでいて良かったな、と思った。

  • これ、黒いカバーされて販売されていて、ずーーーーーっと気になっていたんです。タイトルもなんだか意味深だし。
    で、やっと読みました。

    -あらすじ-
    村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。和久は兄の竜彦に移植を頼むが、検査さえも頑なに拒絶する兄の態度に違和感を覚える。中国残留孤児の兄が永住帰国をした際、既に失明していた和久は兄の顔を確認していない。

    27年間、兄だと信じていた男は偽者なのではないか――。
    全盲の和久が、兄の正体に迫るべく真相を追う。


    主人公が全盲のため、見えない。
    色々見えない。兄の心も、母の心も、娘の心も・・・
    親切にしてくれる人は、味方なのかそれとも敵なのか・・・
    だけど、一歩一歩、歩みは遅くとも進んでく。前へ前へ。

    和久の卑屈さに最初はかなりイライラしたけれど、物語が進むにつれて、「見えない」ということは、こんなにも不便で怖いのかと知り、感情移入していく。

    そんな不安と恐怖のなか、探偵のようなことをするというのはどんな勇気か?と思った。

    そしてここでもまた、戦争の爪痕を思い知る。

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    孫への腎臓移植を望むも適さないと診断された村上和久は、兄の竜彦を頼る。しかし、移植どころか検査さえ拒絶する竜彦に疑念を抱く。目の前の男は実の兄なのか。27年前、中国残留孤児の兄が永住帰国した際、失明していた和久はその姿を視認できなかったのだ。驚愕の真相が待ち受ける江戸川乱歩賞受賞作。

    目の見えない主人公が犯人を捜すなんて・・・無理だ!と読み始めたが、思った通り相手の表情が確認出来ないから誰が味方なのか判断できない。読む私までが不安だらけだわ。
    しかも、見えないから自分を守ってくれている人も確認ないのだが、敵だ!と思って居た人が実は1番の味方だったという心温まるラストだった。

  •  村上和久は孫への臓器移植を望むも、検査の結果、自分の臓器は孫に適さないと診断される。
     そこで和久は兄の竜彦を頼るが、兄は移植どころか検査すらも拒否する。その頑なな姿勢に、和久はとある疑念を持つ。戦時下に中国で生き別れた兄は、27年前に帰国した。しかしそのとき和久は失明しており、兄の姿を視認できていなかった。
    「兄は本当に兄なのか?」そして時期を同じくして、和久のもとには点字で書かれた不審な手紙が届くように。和久はかっての兄の姿を知る人たちのもとを、訪ね歩くことにするが……

     最近の江戸川乱歩賞受賞作の中では、かなり評価が高い作品だったので、楽しみにしていたのですが、実際に読んでみて、その評価の高さに納得しました。

     ”中国残留孤児”や”第二次世界大戦”という重く難しいテーマに対し、臆することなく真っ向勝負で描きます。このテーマを選んだということだけで、新人離れした何かを感じさせます。

     そしてそうした知識がまったくない自分にも、当時の人々の辛さ、過酷さが伝える筆力もかなりのもの。それを単なる知識として披露するだけでなく、しっかりストーリーに落とし込む構成力やプロットもすごい!

     さらに語り手に盲目の老人を選ぶあたりも、新人離れしているなあ、と感じます。

     盲目がゆえに相手の表情や周りの状況が見えないというハンデ。それゆえに、だれが本当のことを言ってるのかわからないどころか、例えば目の前に犯人がいたとしても気づかない、という危機すらもあります。誰が信用できるかわからず、疑心暗鬼にとらわれ、追い込まれていく主人公の感情も描かれ、物語はより緊迫感を増します。

     さらに、主人公が盲目のため、娘から日常生活でいろいろ助けてもらったりもしていたのですが、徐々にそれが当たり前のように感じてしまい、娘に強く当たるようになったり、と障害者ならではの心理描写も描かれます。

     そしてなおかつミステリの伏線回収も”見事!”の一言に尽きます。

     自分が思うミステリのいいところの一つに”伏線さえしっかりしていれば、現実ではなかなか起こり得ない大団円を描けること”があるのですが、この小説の大団円は本当にきれいに決まっています!

     中盤にかけては、少し間延びしている感じもあったりはしたのですが、残留孤児や身体障碍者の日常という難しそうなテーマをしっかりと描き切り、ミステリとしての完成度も高く、デビュー作とは思えない、作品だったと思います!

    第60回江戸川乱歩賞
    2015年版このミステリーがすごい!3位

  • 本作品は第60回江戸川乱歩賞受賞作。解説にあったが江戸川乱歩賞は新人賞との事。覚えておこう。
    さて、主人公は盲目。なので描写はなんとなく曖昧でかつ主人公の勘違い、記憶障害も匂わされたりと終始混沌としていた感じ。さらに、中国残留孤児の時代背景を読まされている様でつまらない。江戸川乱歩賞は洗練されていないので、今後は読むのを控えようかな?

  • 『私の兄は、本当の兄なのか?』
    中国残留孤児を巡るミステリー。

    本作の主人公は、69才の村上和久。
    41才で全盲となり、やがて妻とも離婚し、一人娘・由香里とも確執があり、一人暮らしを続ける。

    そして、孫娘・夏帆の腎臓病で移植手術を必要としたが、自分の腎臓は不適合に...
    唯一の望みは、岩手県で老いた母と暮らす、たった1人の兄・竜彦であった。

    竜彦は、幼少期に満州で一度生き別れになり、中国残留孤児として、やっと帰国した時は、既に、和久は盲目となった後であった。

    そして、夏帆の腎臓病の事を兄に相談するも、臓器提供はおろか、適合検査さえ拒否する態度に、疑惑が目覚める。
    『果たして、兄は、本当の兄なのか?』
    『もしかして、兄を騙る偽物ではないか?』

    そこから、本当の兄と名乗る男からの電話があったり、謎の点字の暗号が送られてきたり、などなど

    様々な伏線があり、盲目の主人公の視点から、疑惑が疑惑を生み出す。
    誰が嘘をつき、誰が本当の事を言っているのか?
    真実の裏に隠された本当の真実とは?

    最後の最後に、どんでん返しがありますが、それもこれも、家族の愛情の裏返しなのですね。
    エピローグが、希望に満ちたもので良かったです。

  • 90年代初頭、まだ小学生くらいの頃
    某公共放送でも頻繁に残留孤児の番組を
    放送していたのを思い出す。

    10年でも早く出版されてたら、
    中国から帰還した人達もまだ
    60代前半くらいで、
    この作品に描かれるような大冒険を
    もっとリアルに感じられただろう。
    流石に70前後の人がこれだけ活躍する様は
    少し創作めいていた。
    戦争の記憶を語る人々も今ではもう
    80、90代の超高齢になっている。

    それでも、そんな細かいこと抜きに
    抜群に面白かった。

    満州の戦時の描写は、
    苦しくなる程凄惨で挫折しそうだった。

    盲目の主人公が周りの全てに
    疑いを向ける心理がダイレクトに伝わった。

    本筋だけでなく、盲目に陥る前後の
    主人公の葛藤や
    家族の苦悩も響くものがあり、
    家族の絆には涙腺が熱くなった。

    ミステリ、サスペンスとしても傑作だが、
    家族愛を描いた読み物としても
    素晴らしかった。

  • 全盲の主人公の描写が巧みで非常に引き込まれました。資格を頼れない分、杖から伝わる感触や匂い、音などを頼りにしているというのは読んでいて深く刺さるものでした。
    小説の設定もすごく引き込まれます。自分の兄は本当に兄なんかという疑問から謎を解くミステリーですが、殺人というのを大きく扱っている訳では無いので、そこに物足りなさを感じる人はいるかもしれません。

  •  謎が短いペースでやってくるので、続きが気になって、どんどん読み進めました!
     目が見えないハラハラ感がたまらなかった!
     最初は残留孤児がテーマなのかと思うと難しそうで抵抗感が生まれそうだったけど、すごく読みやすいし、実際はどうだったのか、さらに調べてみたくなりました。

    目が見えない人は白杖を持つことが義務とは知らず、驚きました!みんな当たり前に知っているのでしょうか?
    中国語の発音が最初の一回しかふりがながないので、最後まで適当な発音で読んでました。笑

  • 第60回江戸川乱歩賞受賞作。全盲の主人公が兄の正体を探るミステリー。主人公が視覚障害者であるということもあって、心理描写が巧みに描かれており、ハラハラドキドキの展開でした。

  • ミステリー小説は最高です!
    予想が出来なかったし、最後まで読まないと
    真相が分からない内容となってますね!

    主人公の和久は全盲。
    孫の夏帆に腎臓移植が必要となり、自分が不適合な結果となり
    兄の竜彦に検査を依頼するが、それを拒む竜彦。。
    それと同時に起きる、横浜港に運び込まれた
    コンテナ内に密航者の大量死体事件。

    この2つの出来事から物語が始まる!
    読んでいる僕も主人公の身になって、読み進めましたが
    全然、予想ができなくて。。。
    誰が真実を語っているのか、分からないんですよね!
    和久は深く憶測を立てるが、全盲なので
    「見えないから検討がつかん」的な結果になっちゃう
    その辺の状態がリアリティに表現されてて良かった
    また、家族関係もドラマチックに表現されておりました。

    絆は血に勝るんですよ!本当に、家族大事!

  • 私の祖母も満州におり、敗戦後列車の中で椅子の下に隠れ、日本に帰ってきたと聞いたことがあります。

    シベリアや満州など、同じような境遇の方は沢山いたのではないでしょうか。
    同じような悲劇は二度と起こさぬようにしなければならないと感じました。

  • 面白いミステリーだった。主人公が盲目だというところで、ハラハラするところも多々あり。自分が気づいていないところで、人の善意に支えられているんだろうなと、謙虚にならないとなと思った。

  • 中国残留孤児として帰国した兄。孫の腎移植のドナーを無下に拒否されたことから盲目の弟は偽物が兄に成り済ましている疑念を抱き関係者に話を聞いていく。
    盲目ということが読み手の心理を一層不安にかき立てて先を急いで読んでしまう。登場人物の表情や真偽が一切わからず常に疑いを持って読む面白さ。

    無知な私には満洲開拓団や中国残留孤児のリアルな声の一部が知れて良かった。同時にやりきれなさを感じた。

    そして真相にビックリ仰天とはこのことか!と。
    最初から最後まで圧倒されっぱなしでした。
    素晴らしいです!

  • ミステリーは多少最後の展開がよめる物もあるが、これはよめなかった。でも伏線などがフェアで、なるほどと思う。

    複雑に絡む登場人物や、途中もたつき感のある歴史や残留孤児の話などを、最後ですっきりまとめたのがすごい。
    ラストはもうちょっと感情的に盛り上がってもよさそうなものだけど、意外とさらっと色んな事が収束した感がある。

    主人公が人相のわからない人と何人も対峙しなくてはならない所が、いい意味でストレス。
    良作。

  • かなり好きな感じ
    そこで繋がっててここで繋がるのね、って思うことが多くて、章ごとに場所で区切られてるのが印象的だった。
    主人公が盲目という設定を惜しみなく使ったミステリ、いつも見るような殺人事件とは一味違って最後全ての霧が晴れた時すごくスッキリした
    中国在留孤児、二十歳過ぎの自分にはすごく昔の話に感じるけれど、自分のルーツを考えるとほんとつい最近までの話で、さほど遠くない出来事なのだなと身近に思った
    歴史的事実に基づいた作品は、一見すると自分とは程遠い話に感じるけれど、実はそんなことなくて、過去に限られた事でなくても、今現在に起きている事からも目を背けてはダメだと思わせてくれる

    2023.12.31

  • 目が不自由な主人公が謎を解く小説は初めて読んだので新鮮でした。
    一見単純なトリックでも主人公は視覚以外の情報を頼りに行動するので他者の言葉が全て本当なのか、気配を消した誰かがすぐ近くにいるのではないか等、読み手にも主人公の緊張感が伝わってきて面白かったです。
    視覚から与えられる情報を含まない分、ミステリーが単調化するのではと読み始めたときは思ってましたが、ストーリー自体が(主人公が視覚障害者であるため)ゆったりと進行するため十分だと思います。
    点字を使ったトリックは普段から点字を使用してなければ理解できない分、著者の発想の素晴らしさを非常に感じる作品でした。

  • 面白かったけど、
    この主人公は最後はいい人になったけど、
    70歳目前までホントに嫌な人間だった。
    命をかけて守ってくれた母を切り捨て、
    全盲の夫に尽くしてくれた妻にパワハラ、
    それでも残ってくれた娘の一生を壊し、
    弟のために尽力する兄を疑い、

    あー、周りの人間は素晴らしい人ばかりなのに
    嫌な奴!
    私なら許さないけどね。

    私が子供の頃、中国残留のニュースをよく聞いたが今ではサッパリ。
    今ではかなり高齢だろうけどみんな幸せだといいな。

  • 闇に香る嘘

    190827読了。
    今年82冊目今月12冊目。

    #読了
    #下村敦史
    #闇に香る嘘

    後天的に失明した主人公の一人称で話が進む。

    中国残留孤児に材を取る社会派ミステリ。

    よく調べたなぁというのは参考文献を見るだけで容易に伺える。

    カタルシスよりも読中の不安や焦燥感に移入する没入感がすごい。

    点字を使った暗号などは、まさに江戸川乱歩賞。

  • ミステリー要素を除けば、中途視覚障碍者、中国残留孤児、開拓団の悲劇など、細かく描写されていて圧倒された。

    目が見えないことは、想像する以上に困難な状況だと知った。それが、手に取るように描かれており、それだけでも、読んで良かったと思えた。

  • 最初から最後までドキドキしながら読んだ。
    フェイシズって映画みたいな恐怖を想像していたけど、最後はただの良い話でした。
    生みの親より育ての親。
    濃い霧、嵐の夜が明けて快晴、みたいな小説。

  • 盲目の男性、孫の腎臓移植に向けて兄に相談したら協力できないと言われる、そこから全ての疑惑が始まる、、、この人、本当に私の兄なのか?
    もうあらすじだけで気持ち掴まれてしまいました。
    話しは中国残留日本人孤児をベースに進んで行き、最後は優しい気持ちで終わる話しでした。
    戦争と言えば原爆の話しや日本に居ながらの悲しさややるせなさを感じる話しが数多く聞かれますが、新天地に夢を持ち海を渡った先の満州、中国での日本人もまた苦難を強いられ、今なお消えない傷として持ち戦っている人がいるということ、忘れてはいけないと思いました。

  • ハラハラ感が凄い。
    盲目の主人公の描写が素晴らしく
    どんどん次が気になって一気読みな作品

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

下村敦史の作品

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