Jポップで考える哲学 自分を問い直すための15曲 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062934893

作品紹介・あらすじ

Jポップは、しばしば「自分」や「愛」「人生」をテーマとし、その歌詞は、シンプルであるがゆえに我々の胸に響く。一方、複雑な事象の本質を突き止め、露わにして見せようとするのが哲学ならば、両者は、密かに同じ企みを担っているとは言えまいか。Jポップの名曲を題材に誘う、今旬の哲学入門!<文庫書下ろし>

感想・レビュー・書評

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  • 231117-2-1

  • 現代を生き抜くための武器としての哲学を、西野カナ、ミスチル、いきものがかり等Jポップの歌詞を題材に、気鋭の哲学者が説く。Jポップは、しばしば「自分」や「愛」「人生」をテーマとし、その歌詞は、シンプルであるがゆえに我々の胸に響く。一方、複雑な事象の本質を突き止め、露わにして見せようとするのが哲学ならば、両者は、密かに同じ企みを担っているとは言えまいか。Jポップの名曲を題材に誘う、今旬の哲学入門!<文庫書下ろし>

    第1章 自分
    ・「自分らしさ」とは何か?―Mr.Children「名もなき詩」
    ・「自分ではないもの」から見える「自分」―ゲスの極み乙女。「私以外私じゃないの」
    ・他者によって知られる「自分」―乃木坂46「君の名は希望」

    第2章 恋愛
    ・私と他者の共同性―AI「Story」
    ・失われた共同性―西野カナ「会いたくて会いたくて」
    ・他者の他者性と向き合うこと―宇多田ヒカル「誰かの願いが叶うころ」

    第3章 時間
    ・過去を記憶すること―BUMP OF CHICKEN「天体観測」
    ・未来を待つこと―aiko「キラキラ」
    ・この瞬間を生きること―東京事変「閃光少女」

    第4章 死
    ・絶望による死との直面―RADWIMPS「おしゃかしゃま」
    ・死が照らし出す大切なもの―浜崎あゆみ「Dearest」
    ・他者の死を引き受けること―ONE OK ROCK「A new one for all,All for the new one」

    第5章 人生
    ・日常生活の息苦しさと人生の不確かさ―嵐「Believe」
    ・自分の人生を決断すること―SEKAI NO OWARI「RPG」
    ・孤独に生きることへの祝福―いきものがかり「YELL」

    著者等紹介
    戸谷洋志[トヤヒロシ]
    1988年、東京生まれ。大阪大学大学院博士課程在籍。専門は哲学・倫理学。第11回「涙骨賞」奨励賞、第31回「暁烏敏賞」第一部門(哲学・思想)を受賞。ドイツの現代思想を中心に研究。対話型ワークショップ「西千葉哲学カフェ」を主宰

  • Jポップの歌詞は結構独特で、深い。
    哲学者の解説がつくと、いきものがかりとかずっと聞いてた曲が、そんな解釈があるんかと衝撃。私以外私じゃないの、ってそんな深く考えたことなかった。
    哲学って深い。

  • 益井さん凱旋報告会〜本とソロモンとわたし〜「海外に持っていって読み返したい本」
    チャンプ本
    2018.02.12

  •  有名なJポップ15曲の歌詞を、恋愛や時間、死、人生などのテーマで哲学するという面白そうな試みに惹かれた。しかし、15曲中脳内再生できるのはせいぜい5曲ほどで、今も好きでよく聴くのは「天体観測」と「閃光少女」だけ。他の曲もよく知っているとより楽しめただろうな。「閃光少女」の今現在この瞬間をテーマに据えるって、なかなか難しいと思う。軽い、ありきたりな歌詞と思っていたが、解きほぐすと読み応えがあった。
    それだけ人間はずっと同じことで悩み、普遍的な真理に到達しているということか。
     Jポップは特に、曲の構成や各楽器の美味しいフレーズ、歌い方などを重視して聴くため、歌詞はユニゾンのようにまったく意味がなくても問題ないと思っていたが、これからは歌詞にも注目して聴こう。

  • <目次>
    第1章  自分
    第2章  恋愛
    第3章  時間
    第4章  死
    第5章  人生

    <内容>
    文庫書下ろし。学生による出版コンペティション「出版甲子園」での企画が原案(2015年の第11回)。大阪大助教によるもの。先生と助手の女子大生の会話形式で、目次の5つのテーマを、それぞれ3つのJ-POP(計15曲)の歌詞から読み解いていく。セカオワ・RADからいきものがかり・ミスチル・東京事変・AIKO・宇多田ヒカルまで多彩。軽い感じで読み通せるが、言っていることは深い。ニーチェやパスカル、キルケゴールまで出てくるが、そのあたりの扱いは軽い。高校生から大学生を読者層に想定しているのではないか?高校の「倫理」の授業で使えそう。

  •  ドイツの現代思想が専門の若い哲学の先生と、今年から大学1年生の麻衣さんが対話をしながら、自分らしさとか、現在は何のためにあるのか、人生はどう意味づけられるのか、といったことについてJポップの歌詞を題材にしながら思索していくという本。取り上げられているJポップは14曲で、ミスチルの「名もなき詩」からバンプの「天体観測」という、おれの中高時代?らへんの曲とか、おれがカラオケで歌う嵐の「Believe」とかいきものがかりの「yell」とか、あとは全然知らない乃木坂の曲とか。基本的には2000一桁年代の曲が多い。それぞれのテーマで、過去の西洋の哲学者が引用されている。
      全体的にはなんか簡単なことをコムズカシイ言葉で説明しているだけなんじゃないか、と思ってしまうところもあって、なんとなく物足りないという印象もあったが、もちろん部分的には面白いと思えるところはあった。「愛の告白は存在をかけた冒険」(p.60)というのは先生も麻衣さんに冷やかされているけど、かっこいい言葉だよなあ。サルトルとかヘーゲルとか割と有名な哲学者の引用も多いが、シモーヌ・ヴェーユという人?は有名?「三四歳の若さで断食によって自死した」(p.179)って、これは衝撃。一番分かりやすかったのは「私たちの日常生活において現在は常に目的への手段という性格をもっています。しかし、手段は無ければ無いほどいいものです。そうである以上、現在は無ければ無いほどいいものになります。(略)つまり、そうした現在は無意味だということです。私たちが現在を未来に到達するための手段として捉えている限り、現在は固有の価値をもたなくなり、無意味なものに変容します。」(p.191)という部分。そして、その後の麻衣さん「そうだとしたら、私たちの日常生活はほとんどが無意味になってしまいませんか?」(同)ということと、そこにどう活路を見出すのか、という部分。最近、50代の職場の人が「なんか意味のないことがしたいですよね」と言っていたが、それと結びつくような感じがして、印象的だった。おれまだその境地にいけないんだよなー、なんかウソでも意味があると思うことじゃないとできないんだよなーとか思ってしまう。
     そして、この「麻衣さん」というアシスタントについては、読み始めはてっきり「テツガクなんてぜんぜんわかりませーん」みたいなおバカキャラを先生が説得していくみたいな設定なのかと思ったけど、麻衣さんは非常に頭が良く、物分かりも早いし鋭い。
     (ここから最後の部分の話をするので、ネタバレ?になるかもしれません)「平凡な人生を歩むことと、決断に基づいて平凡な人生を歩むことの間には、どのような違いが見出されるのでしょう?」(p.337)という先生からの問いに、「自分と違う生き方をしている人を、尊敬できるかどうかです。」(同)と答える。すごい。先生に導かれる形であったにせよ、最後は麻衣さんがきれいにまとめていた。同じような先生と女性の学生との対話という設定で『宗教学講義』というちくま新書があったが、話の中身とは別にこの二人に最後にすごいことが起こる、みたいな話だったら面白いなあ、とか期待した。(21/09/04)

  • 104-T
    文庫(文学以外)

  • 哲学に精通した著者がJPOPのヒット曲の歌詞から5つのテーマについて哲学の観点からの考察を対話形式で書いた一冊。

    自分、恋愛、時間、死、人生という5つのテーマについてJPOPの曲から考えるという斬新なものでありながらも内容は深く各楽曲の深い世界観を味わいながらも哲学の概念も学べて勉強になりました。
    相互承認や至高性といった哲学者たちの概念や恋愛における癒合性、星の友情など言葉にできない人間の心理的な描写を哲学で表現することによってより歌詞の意味を感じることができると感じました。

    また、歌詞における主人公の置かれた立場や状況を考察することでより曲の世界観や作詞家の意図なども読み取るきっかけにもなり、音楽の芸術的な見地も深めることができました。

    本書を読んで学んだ考え方をもってそれぞれのテーマに対する他者との関係性や哲学的な視点で自分自身を俯瞰することで新しい視点が生まれ、より深い人生観を感じることのできるきっかけになると感じた一冊でした。

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著者プロフィール

1988 年東京都生まれ。関西外国語大学英語国際学部准教授。法政大学文学部哲学科卒業後、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士( 文学)。ドイツ現代思想研究に起点を置いて、社会におけるテクノロジーをめぐる倫理のあり方を探求する傍ら、「哲学カフェ」の実践などを通じて、社会に開かれた対話の場を提案している。著書に『ハンス・ヨナスの哲学』( 角川ソフィア文庫)、『ハンス・ヨナス 未来への責任』( 慶應義塾大学出版会)、『原子力の哲学』『未来倫理』( 集英社新書)、『スマートな悪 技術と暴力について』( 講談社)、『友情を哲学する 七人の哲学者たちの友情観』( 光文社新書)、『SNS の哲学リアルとオンラインのあいだ』( 創元社)、『親ガチャの哲学』(新潮新書)など。2015 年「原子力をめぐる哲学――ドイツ現代思想を中心に」で第31 回暁烏敏賞受賞。

「2024年 『恋愛の哲学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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