黒猫邸の晩餐会 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062935180

作品紹介・あらすじ

和服イケメンとほんわか老女が地味リケジョをご招待!? 今宵も謎めく、黒猫の食卓へようこそ。

地味リケジョの律を夕食に迎えたのは、和服イケメンの竜弥とほんわか老女の文絵。謎めいた話を聞き出す竜弥と五十年前から時が止まっている文絵が交わす会話はまるで夫婦!? 見つめるだけで料理をおいしくする不思議な黒猫・フミエも怪しい。

「黒猫邸」シリーズ開幕! おいしさと切なさに溢れるほっこり系ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙から、内容がファンタジーかあやかしかと思ってしまうが、ミステリーの要素がたっぷりで、ほっこりするあたたかさを持ったいい話だった。
    奨学金を出してもらったおかげで、無事大学院を出て、就職することのできた小窪律と、同じく高校までの資金を出してもらったチンピラ風の今村が、奨学金を出してくれた鎌倉の老婦人楢村文絵に自宅まで招かれるが、文絵には20歳台の夫がいて、なんだか奇妙な感じ。奨学金の審査の面接のときに話した、自分と友人のとんでもない中学、高校時代のエピソードを謎として、夫(!?)の竜弥にもう一度話したところ、たちまちに謎を解いてしまう。今村の凄絶な人生の謎仕立ての話も同様に解かれる。どうも、文江は呆けてしまって、21歳の新婚時代に戻ってしまっているようなのだ。いったいこの竜弥というのは何者?
    なかなかユニークな筋立てで面白いし、最後には、おっと驚くこともあって、この小説は掘り出し物だったよ。

  • 社会人一年目のリケジョ、昭和レトロな長屋で暮らす老女とその夫だという若いイケメン、ガラの悪い男といった個性的な面々に、不思議な話のちょっとした謎解きあり。
    老女はなぜ不思議な話を集めているのか、イケメンとの関係は何なのか。
    そんなに深刻なミステリーではないし、ややファンタジーな感じもあり、軽い雰囲気でさくっと楽しめた。

  • 【収録作品】黒猫の魔法料理/黒猫邸のクリスマス/黒猫と花見/黒猫、海を渡る
     律は返還不要の奨学金を受けて大学院まで進み、就職。その奨学金をくれた相手に夕食に招待される。そこにいたのは、20代の「竜弥」と名乗る男性で、律に奨学金をくれた財団の理事である老女・文絵の夫だという。そして、文絵は自分も20代で、二人は新婚だと思いこんでいた。
     謎解きが好きな夫に話してくれと、文絵に促されて、律は中学時代、いじめに仕返しした話と、親友の不思議な行動について話す。
     しばらくして再び招かれ、もう一人の客の話を聞く。彼の恩人がある画家の画集を息子から贈られた。一緒に見た夫は嫌ったが、自分は気に入って飽かず眺めていた。しかし、展覧会に行ったことで一転嫌いになったという。
     それぞれの謎にはもう答えが出ていて、それを竜弥が当てるという趣向なのだが、その先に謎がある。
     なぜ文絵は二人を招いたのか。彼らの話を竜弥に聞かせることで、何を伝えたかったのか。

     主人公の律のキャラがいい。いじめに対するスタンスや仕返しの仕方、そして両親に対する考え方も実に合理的。もうちょっと律の話を読みたいものだ。 

  • 超理系の律ちゃんがなんか好き。謎にまつわるお話も、楽しめた

  • 地味リケジョの律が出会ったのは、和服イケメンの竜弥とほんわか老女の文絵。
    ミステリー部分はたいしたことないけど、文絵さんと竜弥の関係、竜弥の正体って何?というのが最大の謎でした。

  • お屋敷の中に建てられた昭和下町風情の長屋に招待された律。そこに暮らす老女とその夫(風の男性)に自分の経験したある謎について話す。語られる謎は大したものじゃなく、それより長屋で暮らす二人の奇妙さ、なんのためにこんなことを?男性は本当は誰?のほうに引っ張られ、最終章ですべて明らかになる。文絵さん竜弥さん祥吾さんに愛されて幸せな最期を迎えられてよかった。

  • はじめましての作家さん。
    テンポよくて読みやすかった。
    ほっこり読み終えられてよかった。小説は、やっぱりこんな読後感が好き。

  • 地味リケジョの律を夕食に迎えたのは、和服イケメンの竜弥とほんわか老女の文絵。謎めいた話を聞き出す竜弥と、五十年前から時が止まっている文絵が交わす会話はまるで夫婦!?見つめるだけで料理をおいしくする不思議な黒猫・フミエも怪しい。おいしさと切なさに溢れるほっこり系ミステリ。

    嬉野先生はこういうファンタジーなのかミステリなのか迷うような作風なんですね。結局文絵が律と今村を呼び出して会ったのは、彼女自身が竜弥の秘密を知っていて責めているということを本人(というか実際は佐田)に伝えるためだった。本当にショックだったんだろうし言えなかったのも分かるけど、そこまでしても最後には許すのかと思ってしまった。私だったら、多分、無理だな。それが死を迎えるからなのか、本当に愛していたからなのかは分からないけれど。そもそも文絵と竜弥の出会いって偶然じゃなかったんかいwそこまでして愛人を作るって、ほんと分からない。

  • 財団法人楢本奨学会のおかげで修士課程卒業のち大手製薬会社の研究室に就職できた小窪律。就職が決まった時、理事長楢本文絵にお礼の手紙を書いたが直接会うことは断られた。それが半年たった今、彼女から晩餐に誘う手紙がきて、北鎌倉の大きな屋敷に向かうと家政婦が案内した離れではー

    ◆初著者。さらりと読めたけど文絵さんみたいな人っていると思うのに狂ってるって表記にちょっとびっくり。今村の過去も痛々しいけど、チンピラじゃなくて熱くていい奴!幸せになって!もしかしてひっくり返るんじゃないだろうか、て後半ハラハラ読んだけど、みんなの願いが叶えられる着地点がすごくイイ♪続きがあるといいな-♪

  • 初著者。
    面白かったけど、読んでも読まなくてもどっちでもいいなあ。和服イケメンということで、映像化向き。

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著者プロフィール

うれしの・きみ
長崎県出身。魚座・B型。『小説ウィングス』2006年夏号『パートタイム・ナニー』にてデビュー。著書には講談社文庫『妖怪極楽』のほか、『ペテン師一山400円』、『金星特急』シリーズ、『異人街シネマの料理人』シリーズなどがある。世界放浪とお酒が好き。

「2016年 『黒猫邸の晩餐会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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