阿蘭陀西鶴 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 258
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062935234

作品紹介・あらすじ

江戸前期を代表する作家・井原西鶴。彼の娘おあいは、盲目の身ながら、亡き母に代わり料理も裁縫もこなす。一方、西鶴は、手前勝手でええ格好しぃで自慢たれ。傍迷惑な父親と思っていたおあいだったが、『好色一代男』の朗読を聞いて、父への想いが変わり始める。小説を読む歓びに満ちた、織田作之助賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 井原西鶴と盲目の娘おあいの物語。
    あー、こういう親父いるわ、と思いながら、嫌でたまらなくても、その親の面倒を見るのはおあい。
    俳人でありながら、俳句ではなく草子ものが当たってしまい、その間に天才芭蕉が西鶴の先をいってしまう。
    巻き込まれる娘はたまらないよなぁと思いながら、それでも私もあおいと同じ事をするのだろうと思う。
    切なくて、あったかくて、最後に泣かされなんて、もう朝井まかてさんはずるい(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

  • 井原西鶴については、名前と好色一代男くらいしか知らず、その一代記ってことで、時代背景とかも楽しめました。松尾芭蕉、菱川師宣、近松門左衛門っていう、お馴染みどころも多く登場して、”なるほど、こういう繋がりがあったのか”っていう発見もちらほら。西鶴って、俳諧にその基礎が置かれていて、あまりパッとしなかったから草子へって流れがあったんですね。今我々が小説文化を享受出来ている大本がここにあると思うと、よくぞやってくれました!って快哉を叫びたい感じです。娘さんとの交流も、不器用ながら温かくて、父子ものとしても良く出来た作品でした。自身、初まかて体験でしたが、とても好印象でした。

  • 乳飲み子の弟を残して病死した母。父・井原西鶴は2人の弟を養子に出し、まだ九つのおあいとの二人暮らしを始める。お調子者でエネルギッシュでいつも騒々しく外出の多い西鶴、盲目ながら母に仕込まれた料理や家事の能力で家を維持する真面目でやや陰気なその娘おあいです。
    おあいの視点で描かれます。何かと言えば知人の前に引き出しおあいを褒める父と、そこに反発する根暗なおあいです。
    しかし、やがて父の心情が判るようになるにつれ。。。
    絶品とまでは行きませんが、しっかりした歴史小説です。
    当時の世相も良く出てますし、人物像もしっかりしています。
    朝井さん、安定してますね。

  • 登場人物のリアルな心情にひきつけられて、ドラマや映画を見ているようだった。
    泣いた…。

  • 詳細は、こちらをご覧ください
    あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート
    「阿蘭陀西鶴」 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1294.html

  • 切ない。何がせつないってそりゃもう、父娘の実は…的な。
    やっぱり、言葉に言わないけど空気を読めって親子でも絶対分かり合えない。
    いっぱいスキンシップをしていっぱいコミュニケーションをとってほしい。ハグしたらいっぱいアドレナリンとオキシトシンが出るからそれが脳にも心にもとっても重要。今大好きな人を横目にみて、これを書き終わったらキスして大好きと言おうと思えた。

  • 井原西鶴を盲目の娘の立場から描いたもの。
    ラストは感動的。

  • 井原西鶴が生きた時代は、文化が花開くころだったことを知りました。
    https://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-12385788138.html

  • 西鶴も今では浮世草子の創始者と認識されてるけど、元は俳諧師だったらしいです。松尾桃青(芭蕉)を意識しているのに素直になれず、ムキになる西鶴は憎めないw。
    気になったのは、西鶴の敬愛する西山宗因が全く出てこないこと。まあ、盲目の娘・おあい視点の物語なので、おあいと接点がなければ仕方ないか。
    そう、目の見えない話者の特性上、視覚描写が全然なく、音や匂い、触覚による情報が豊かなのが独特な世界を作っている。絶世の美形らしい上村辰彌も、容姿の描写に頼れないので、その素行や周囲の扱いといったエピソードによって造形されているのが見事。

    あと、駆け出しの近松門左衛門もチラッと出てきます。
    「げろり」とか「げろげろ」といった擬態語が、個人的にはウザかった。

  • 朝井まかてさんの小説を読むのは初めて。本書は江戸初期の俳諧および草紙業界で大活躍した、井原西鶴の歴史小説である。
    解説によると、井原西鶴に関する資料はあまり残っていないようだが、著者はかなり調べたらしい。本小説は、井原西鶴の盲目の娘の視点で書かれていて、西鶴に実際にそのような娘がいたというのは史実だそうだ。
    西鶴は大阪に拠点を構え、派手な生活をしながら、俳句を次々と詠み、それがまず評価されていった。娘は家事、主に料理をして父やそれを取り巻く人々との交流を支える。西鶴がたまたま書いた、好色一代男が大ヒットし、西鶴は売れっ子小説家となる。
    江戸時代の町人を描いた歴史小説や時代小説はいくつか読んだが、大阪が舞台となった本書はなかなか興味深かった。盲目の女性の視点で書いているので、音や匂いや気配を中心に物語が展開されるが、想像力を掻き立てられて興味深い。お手伝いさんのお玉とその夫も人間臭くて面白かった。若くして妻を亡くし、息子たちは手放して娘だけを手元に置き、自由奔放に見える西鶴だが、ほのかな優しさが見え、疎ましく思っていた娘も心を開き始める。ほのぼのと温かい小説だった。
    宇江佐真理さんあたりの小説を好きな人には、とても楽しめると思う。

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著者プロフィール

朝井 まかて(あさい まかて)
1959年生まれ。甲南女子大学文学部国文学科卒業後、コピーライターとして広告制作会社に勤務。独立。2006年から大阪文学学校で学び、2008年第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。受賞作は『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』と改題され、講談社文庫に収録されている。
2013年、幕末から明治を生きた歌人・中島歌子の半生を描いた『恋歌』で第3回本屋が選ぶ時代小説大賞、2014年第150回直木賞を受賞。ほか、2014年『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞、2016年『眩』で第22回中山義秀文学賞、2017年『福袋』で第11回舟橋聖一文学賞、2018年『雲上雲下』で中央公論文芸賞、『悪玉伝』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。
他の著書に『ちゃんちゃら』『すかたん』『先生のお庭番』『ぬけまいる』がある。『眩』は2017年に宮崎あおい主演でドラマ化された。

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