妻が椎茸だったころ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 678
感想 : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062935500

作品紹介・あらすじ

妻との死別の後、泰平は自炊を始めた。残された妻のレシピメモを見ながら格闘する日々、やがて泰平は料理教室に通いはじめるが……。亡くなった妻を思う男の気持ちを少しユーモラスに、切なく綴る表題作「妻が椎茸だったころ」のほか、温泉宿とその土地に纏わる物語、偶然出会った石の収集家との会話の中から浮かび上がるもうひとつの物語「蔵篠猿宿パラサイト」、亡くなった叔母の家に突如現れ家族のように振る舞う男が語った叔母との関係をコミカルに描いた「ハクビシンを飼う」など、日常の片隅に立ち上がる「ちょっと不思議な」五編を物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」(アメリカに語学留学中、一晩世話になった結婚歴五回の老婦人の秘密)、「ラフレシアナ」(食虫植物を育てる無愛想な男に影響される私)、「妻が椎茸だったころ」(亡くなった妻の過去生が椎茸だった話)、「蔵篠猿宿パラサイト」(温泉宿でパラサイト隕石に冒された人々の末裔と遭遇する二人)、「ハクビシンを飼う」(孤独死した叔母の生前を知る青年が、叔母が飼っていたハクビシンと似ていた話)の5篇収録。

    何れも、現実と非現実の境目が曖昧な、幻想的な作品だった。

  •  『妻が椎茸だったころ』 え、どういうこと? まずはタイトルの意味不明さに惹かれて読んでみました。
     五つの短編からなる本書は、現実世界であるけれど、すぐその隣の不思議な異世界へとつながり、時に怪奇もの、或いは理解不能と受け取られるかもしれません。
     ただ、(個人的な好みは別にして)全編に共通して、質の高い幻想世界・浪漫の香り高い世界が広がっていて、そこが魅力な気がします。特に表題作は、妻を亡くして初めて、寄り添う大切さを真に理解するという、深い内容なのではないかと思いました。

  • 2013年、他のWEB本棚に入れてあった本、久しぶりの再読でした。
    これより前の『桐畑家の縁談』や、『さようなら、コタツ』では何気ない日常を描いていたのに、これは一気に非日常へと誘い込む。いや、引き摺り込まれると言った方がいい。妻が椎茸で、料理の先生はジュンサイだったのです、と言われても、「そうなのだ」と思わせてしまう世界観。
    その後の短編集『ゴースト』にもつながる。まとめて読むとさらにすごいよ。
    長編の読み応えから長編作家としての面白さは揺るぎないが、短編も隙がない。
    『かたづの』のような奔放さも憎めない。好きな作家さん。

  • 全部ちょっと不思議で怖い
    ハクビシンの話で急におっぱじめたのはめっちゃびっくりした、、、

  • 「おまえたち、戻ったのか!」

    表題作から。ご主人のかわいさといいタイミングといい、あまりに秀逸で、思わず声が出ました。笑

    完全にタイトル買いで中島京子作品は初めて。
    こわばった心が緩む表題作は私のお気に入りになりました。
    私が椎茸だったころあったかな...あ、中学のときはしめじみたいなヘアスタイルしてたな、とか浅いこと考えられるくらいほっこりした気持ちで読めます。笑

    最初人と人との交流を描くけど、どのお話にも人ではない、動物や植物がキーアイテムとして登場する。最後には思わずゾワッとする展開が、私はちょっと心地よくて、好きでした。

    1編30分足らずで読めます。ぜひに!

  • タイトルだけで本を買うことはたまにあるけれど、この小説はタイトルに惹かれた2016年の1位かもしれない。
    「妻が椎茸だったころ」…これが気にならずいられるものか。

    5編の作品からなる奇妙な短編集。
    すべて温度が低いというか、変なんだけど淡々としているというか。
    表題作は、定年退職直後に突然妻を亡くした男の話で、妻が書き残したレシピ集+雑記のようなノートに「私が椎茸だったころに戻りたいと思う」という一文を見つける。
    だけど男はとくにその言葉に思いを馳せないところが温度が低いと感じる所以で、その後あるきっかけから男は、自分が椎茸だったころのことを思い出せるようになる、というところに着地する。
    …ものすごく、説明するのが難しい。奇妙な物語が好きな人は、読んで確かめて欲しい類。

    ぞっとする奇妙、少し切ない奇妙、インチキ臭い奇妙、ファンタジックな奇妙、と様々な奇妙さが漂う作品群なのだけど、すべてオチがすごく鮮やかなところが印象的だった。
    オチというのはこういうことか、と思わされる。
    「ラフレシアナ」と「ハクビシンを飼う」が私は好きだった。

    干し椎茸を戻す、という作業をしたことがなかった表題作の主人公が、固いままの干し椎茸を無理やり切ろうとして怪我をし、そのまま醤油で煮込んで焦がし、その焦げを取るためにたまたま水を鍋に入れたままにしていたのが功を奏して椎茸が戻る。
    そのときに男が発した「おまえたち、戻ったのか!」という台詞がとても好き。偶然の産物とは、なんて素晴らしい。

  • 非日常な内容だが、それは男と女の恋に纏わる話。

    妻が椎茸だったころの章は、残された者に寄り添っていた頃の事を思うと切なく心温まった。懐かしい記憶を思い出すかの様に。やはり妻と同じ椎茸だった事を。

  • 短編集。ゾッとするお話でスタート。
    タイトルになっているお話は、残された旦那さんが奮闘する姿が目に浮かぶようでした。

    食虫植物、興味が湧いて来ちゃった(笑)

  • ちょっと怖くて愛おしい、「偏愛」短編集。

    表題作「妻が椎茸だったころ」。
    タイトルのインパクトがすごいけど、中身は可愛くて、ほんのり温かくて、少し切ないお話だった。

    あと「ラフレシアナ」もすき。
    食虫植物、なんとも言えない不気味な魅力があるよね。

    現実と夢の境が曖昧になる、不思議な世界に導いてくれる作品でした。

  • 興味深いタイトルに思わず衝動買い。なるほどそういう意味か。僕も自分が椎茸だったころを思い出していた。そして今度、妻が椎茸だったころの話を聞いてみたいと思った。
    あらすじ(背表紙より)
    亡き妻のレシピ帖に「私は椎茸だった」という謎のメモを見つけた泰平は、料理教室へ。不在という存在をユーモラスに綴る表題作のほか、叔母の家に突如あらわれ、家族のように振る舞う男が語る「ハクビシンを飼う」など。日常の片隅に起こる「ちょっと怖くて愛おしい」五つの「偏愛」短編集。泉鏡花賞受賞作。

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著者プロフィール

1964 年、東京都生まれ。東京女子大学文理学部史学科卒。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』で小説家デビュー。2010 年『小さいおうち』で直木賞、2014 年『妻が椎茸だったころ』で泉鏡花文学賞、2015 年『かたづの!』で河合隼雄物語賞、柴田錬三郎賞、歴史時代作家クラブ賞、同年『長いお別れ』で中央公論文芸賞、2016 年日本医療小説大賞、2020 年『夢見る帝国図書館』で紫式部文学賞、2022 年『やさしい猫』で吉川英治文学賞、同年『ムーンライト・イン』『やさしい猫』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。ほかに『イトウの恋』、『平成大家族』、『ゴースト』、『キッドの運命』など著書多数。

「2022年 『ワンダーランドに卒業はない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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