リバース (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 5696
レビュー : 553
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062935869

作品紹介・あらすじ

深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒーだった。ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。その後何度か店で会ううちに、付き合うようになる。淡々とした日々が急に華やぎはじめ、未来のことも考え始めた矢先、美穂子にある告発文が届く。そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた――。何のことかと詰め寄る美穂子。深瀬には、人には隠していたある”闇”があった。それをついに明かさねばならない時が来てしまったのかと、懊悩する。


『夜行観覧車』、『Nのために』のスタッフが結集し、『リバース』も2017年4月、ドラマ化!


主人公の深瀬和久には藤原竜也さん。
恋人役には戸田恵梨香さん。
深瀬の親友、広沢由樹には小池徹平さん。
深瀬の大学時代のゼミ仲間には市原隼人さん、玉森裕太さん、三浦貴大さん。
そしてドラマだけの登場人物、村井の妹には門脇麦さん。


今をときめく役者陣がおくる、ヒューマンミステリーです。


小説とドラマ。
それぞれ、違った味わいをもった作品となっています!
ぜひ、双方を存分にご堪能下さい。

感想・レビュー・書評

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  • 家で飲むコーヒーはどうしてこんなにまずいのだろう。コーヒーメーカーを買った。でも変わらない。思い切って高いコーヒーポットを買ってみた。でも変わらない。もう、嫌だ、と調べたら、コーヒーはコーヒー豆によって味が全然違うということがわかった。冗談を言ってると思われそうですが、数年前の私の嘘紛うことなき真実の話です。私がまずいと思っていたのは酸っぱいコーヒー。なのに、名前が優しそうという理由で、ずっとモカと書いてあるものばかり買っていたというオチ。以降、コーヒー豆店で買う時には、『酸味が少ないのください』この注文が定番になりました。今、我が家で飲むコーヒーはとても美味しい。

    『人間の質というのは、友人の数で決まるのだと、誰に言われたわけでもないのに思い込んでいた』という深瀬。『小学生の頃から、親友と呼べる友だちは一人もいなかった』という高校時代までを過ごした深瀬は、『自分らしく生きるためには、この田舎町から出なければならない』と決意し故郷を後にします。そして、新天地で初めて親友と呼べる広沢に巡り会えました。大学を卒業して、オフィス用品を取り扱う会社の営業として働き始めた深瀬。従業員18名の中の下っ端として、全員分のコーヒーを毎日入れる日々が始まりました。『冴えない取り柄かもしれないが、そのおかげで自分の居場所が存在する』。特に目立ったところのなかった深瀬が唯一他者から一目を置かれること。それが、深瀬が豆を選び、挽き、入れるコーヒーでした。

    そして、家の近くにできたコーヒー店で『誰かに対して強気な思いを抱くというのは、ぎゅっと両手を握りしめるのと同じ効果があるようだ。無言で立ち上がり、美穂子の横で足を止めると、あの、と腹の底から声が出た』と、人生初の思い切った声かけをきっかけに美穂子との交際が始まりました。順調な彼女との時間、それが彼女の元に届いたという『深瀬和久は人殺しだ』という一通の手紙によって、暗転していきます。

    自身の過去を振り返る深瀬。大学時代を彩った人生初の親友・広沢のことを思い起こします。でも、思い起こせば思い起こすほどに、『自分こそが広沢の親友だと思っていたのに、情けないほどに広沢のことを知らない。犯人探しなど、どうでもいい。ただ、広沢由樹のことを知りたかった。どんな人生を送ってきたのか、遡っていきたい』と大切な親友・広沢のことを、広沢という人間の真実を探す日々が始まります。そして…。

    数多くの伏線が巧みに張られて、それが結末に向かってきれいに回収されていきます。作品としては、確かに人は亡くなっていて、死に向き合う主人公たちがそれに対峙するという側面はあるのですが、そのこと自体を重く感じるというよりも、ストーリー中盤から後半にかけて、深瀬が自分の親友だった広沢という人間を知ろうとする時間を作り、そこからいろんなことが繋がって、そして彼自身が自身を振り返る過程がとても興味深く感じられました。『広沢由樹は引っ越しのバイトをしていた。広沢由樹は家庭教師のバイトをしていた。広沢由樹はカレーが好きだった』一見子どもじみたことをしているようにも見えますが、案外こうした形で人を冷静に見るということの方が、第三者的にその人のことを見つめ直すことに繋がるのかもしれないと感じました。また、自分が人をどのように見ていたのか、どのような面が見えていたのかと考えることは、自分自身の考え方を知るきっかけにもなります。『人と人とのかかわりは、一直線上にあるわけじゃないってことがわかった』と気づく深瀬。そんな気づきを経た深瀬でしたが、その先には衝撃の結末が待っていました。

    人によって感じるところは違うと思いますが、読み終えた直後に感じたこの作品の結末に、いつもの湊さんの作品にある嫌な読後感は感じませんでした。それよりも、まさかの驚きの結末に、そうきたか!というある意味のスッキリ感が残りました。ミステリーの謎が解けた、よかったじゃないか、という楽天的なスッキリ感。そうです。結局は瞬間的な楽天的感想。その後、こうして感想を書いていたら、この後、深瀬はどうするんだろうと、うぐぐ、といういつもの嫌な感じに包まれ出した自分がいます。やはり、湊さんは、湊さんだった…。

    表紙から始まって、最後の最後まで全編に渡ってコーヒーの芳醇な香りが漂う中で、湊さんには珍しく『アルプス庵の水蕎麦』の食レポ、そして蜂蜜に関する濃厚な記述など、まあそれぞれを印象づけるためといえばそうなんですが、いずれにしても飲食の風景がとても印象に残った作品でした。

    とても読みやすいミステリーとして楽しませていただきました。

  • 湊作品は初見。
    最初の取っ掛かりが入り込みづらかったけど、それからは最後まで一気読み。
    コーヒーと蜂蜜の描写、美味しそうだし(笑)

    本当に最後の最後の、一行。
    それは、頭の上からタライ桶を落とされた様な、水がたくさん入ったバケツを頭からかぶった様な。ズドーン!!!ってくる終わり方。
    そのラスト一行のために、それまでの物語が全部序章に過ぎないのかと思ったら、こりゃすげぇや!って。

  • 結末には驚いた。そういうことね。
    湊かなえって 読後感の悪さが苦手で あんまり好きになれなかったけど この作品が1番好きかも。
    こないだ このドラマ版の1回目見たけど 話がよく分からなくて 先に本読んだ方がいいかもーと思って 読み始めて 正直期待してなかったけど 面白かったわ。

  • 学校に通っていれば必ずと言っていいほど経験するグループ付き合い。目立つ人気者グループ、真面目でおとなしいグループ、オタク系?趣味で気が合うグループなど。それによって自分の立ち位置が決まると錯覚し、人気者と仲良くすれば自分も人気者になったような気がしたり。あるいは、相手は自分なんかと一緒にいないほうが華やかなグループに行けるんじゃないかなどとネガティブに考えてしまったり。

    そういうことに左右されず一匹狼だったりそつなくその場その場で付き合う人間を替えたり出来た人もいるだろうけど、多くの人間はグループに属さなくてはいられない不安感を持っていたと思う。大人になってからはそういうのどうでも良くなるんだけどね。。

    「リバース」は学生の頃をそんなグループ付き合いを思い出す小説。悲しい出来事を機に暴かれて行く人間の心の描写が丁寧で、どんどんページが進む。そして「うわー!そうだったのね。アナタこれからどうするの!」と思う終わり方。主人公はこれからどう気持ちを処理して行くのだろうか。私が彼なら絶対に誰にも自分のした事を言えないし言いたくない。そんな自分自身のずるさにも気付かされる本でした。

  • 湊かなえ作品は初読み。

    告白とか結構読了後がキツイと聞いていたので、
    身構えていたが、思ったより読みやすい文体だった。

    で、読んでみて、死因が判明したときのやりきれなさに、「これが湊かなえか!」とビックリした。

    なんか、今の現代社会で普通に起こりうる話なのも相まって、身につまされる。
    相手に気持ちを伝える努力を怠ること、
    相手の考えを聞く労力を惜しむこと、
    嫌なのにとりあえず流される、とか

    目の前の相手や家族、人に対して「面倒がる」ことで起こる不幸な結末をゆったり見せつけられた気分だ。

    この主人公の記述を読んで、前に池上彰さんの著書で、女性が極端に少ない理工学部の男性が女性と関わるスキルを磨けないことは問題だとおっしゃっていたことを思い出した。
    (女性視点でモノを考えられない(または女性との関わりを面倒がる)➡️モテない➡️優秀なのに結婚できない➡️優秀な遺伝子が残せないという見解)

    ミステリーのトリック解明より、もっと相手を知るためにエネルギーを費やそうかなと考えさせられた。

  • なんとなく気になって買った一冊。

    最後の最後でビックリ!

    この後は想像にまかせます。みたいな最後で自分はあまり好きでない締め方だが、そんなのが吹き飛ぶくらいの衝撃でした。

    最後まで読みいろんな細かい事まで全て繋がりこのラストもスッキリしてよかった。

    本当にラストが衝撃の小説でした。



  • ドラマはまだ見ていない状態で読了。
    久しぶりにイッキ読みしてしまった。

    大学のゼミ仲間で旅行に行った時、そのうちの一人が事故で死んでしまう。
    そんな中、生き残った者達に「おまえは人殺しだ」と脅迫状めいた物が届く。
    はたして事故だったのか、それとも。。

    犯人探しだけでなく、紐解いていかれるそれぞれの人物像でも楽しめました。
    ラストを読み終えても、その後どうなったのかがとても気になる作品。

  • ありきたりでストーリーの先が何となくわかってしまうような読み物だと思ったのだが、読みやすさと広沢くんの人格が自分好みだった為スイスイと読み進められてしまった。

    若干どうだろう?と思ったのが、男の子たちは友達を作るとき、派手組や地味組とかで固まるものなの??ということ。
    女の子には有りがちだが、男の子はそんなことに拘るのか些かの疑問が残った。
    主人公の卑屈感も、女性っぽいのかな?と。

    サクサク読んで、まぁ有りがちな結末で、、、と思ったところに最後の一行(笑)

    湊先生だわ(*^^*)
    やめられないわぁ!

  • ドラマからハマって、一瞬で読めた。

    やっぱり!
    そんなコトかと思ったわ…っていう流れやったけど、
    最後の衝撃まずい!!!!えぐい!!!!
    さすが、湊かなえ…

    これこそ、イヤミスの極み。

  • 2017年34冊目。

    中盤から終盤にかけ、序盤に予想していたよりもだいぶ地味な展開に拍子抜けしていたところに、最後の最後の大どんでん返し。
    やられた!という感じ。
    そこらじゅうに張り巡らされていた何気ない小粒の出来事や設定が、たった一言で、一気につながる快感は鳥肌モノ。
    ミステリー初心者なのだが、ミステリーってこんなに面白いの?!と驚いてしまった。
    ドラマの展開がもどかしい人はぜひ本書を読んで、ドラマで伏線の復習を楽しむのも良いだろう。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年に「聖職者」で小説推理新人賞を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビュー。2009年の本屋大賞を受賞。映画化を経て累計300万部のベストセラーに。2012年「望郷、海の星」(『望郷』収録)で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。その他の著書に『少女』『贖罪』『花の鎖』『境遇』『サファイア』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『絶唱』『リバース』『ユートピア』『ポイズン・ドーター、ホーリー・マザー』などがある。

「2018年 『ブロードキャスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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