- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062935944
作品紹介・あらすじ
不妊治療を始めるか、続けるか、やめるか、突然の妊娠、仕事と出産、育児をどうするか、流産をどう受けとめればいいのか、独身で産むか、病気で産めなくなることにどう向き合えばいいのか……妊娠と出産をめぐる女性のさまざまな戸惑いや迷いを丁寧にすくいあげる注目作。産む、産まない、産めない―ー「産む性」として揺れ動く女性たちの“心の葛藤”とそれぞれの“人生の選択”を描いた八つの物語。人生のヒントがここにある。
感想・レビュー・書評
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「妊娠」と「出産」をテーマに描かれた短編集。
男性の育児休暇取得、産婦人科医の出産、不妊治療、シングルマザーについてのお話などなど、興味深く読ませていただきました。
「彼女たちが勇気を持って決めたことを、応援してあげたい」そんな気持ちになりました。
ラストの2行が個人的にはすごく好きです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どこか自分ではないところで起きている話のようであり、どれも自分に起きても何もおかしくない話ばかり。
女性として生まれた以上、妊娠、出産、このことになんの迷いも躊躇いも戸惑いも持たずに一生を終える人などいないのではないか。
それは自分や夫婦、家族だけの問題ではなく友人関係や仕事や様々なことがそれ以前と同じであることが不可能になることが多い。
早く産んでも遅く産んでも1人産んでも2人産んでも沢山産んでも産まなくても産めなくても必ず挨拶がわりにまるで天気のはなしをするように言われる言葉や、誰かの言う「世間の常識」に苦しむこともある。
本書を読んでいて、爽やかな気持ちになったり苦しい気持ちになったりしたけれど、最後は暖かい気持ちで涙が溢れました。
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ー これは人生の選択の物語なのだ。自分の人生は自分で決めていいのだと、他人や社会が何を言おうとあなたが悩んで考えて自分で決めたことならそれが「正解」なのだ。 ー
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「妊娠したら産めばいいし、機会がなかったとしても後悔する必要もない。ないものばかりを探す毎日はつまらないし、手にしたらきっと他のものが欲しくなる。
あるがままに。」
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「こうするのが普通」とか「こうあるべき」とか。
「この方が幸せ」とか「そんなのは可哀想」とか。
「女もどんどん社会に出ろ、働け」とか「少子化だ、もっと産め」とか。
妊娠や出産について、そんな周囲の声と自分の気持ちの狭間で悩むすべての人に、読んでもらいたい。
度々共感できるところもあって涙腺崩壊したりもした(笑)
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もっと男の育休制度も日本は充実していかないといけないし、
子供ができたからといって会社で批判や迷惑がられるのもおかしいと思うし。
少子化だと言うのなら、もっと不妊治療などにも積極的に助成金を出したり保険適応にしたり、
もっともっと子供にとって、親にとっても住みやすい社会に変わっていけばいいのにな〜と思う日々です。
2019年読了、30冊目 -
四十歳独身での妊娠に戸惑う桜子、不妊治療を続けるが子どもを授からない三十九歳の重美、初めての妊娠に幸せをかみしめる佐和子…。妊娠・出産をめぐる女性の心の葛藤と人生の選択を描いた八つの物語。悩みや迷いに寄り添い、「あなたが決めたことなら、それが正解」と優しく背中を押してくれる短編集。
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女性の数だけ生き方がある。
そう言い切れる時代に私は生きているのだなと実感した。
女性はこうあるべき
だなんて時代遅れなのだ。
でもその生き方を選ぶ自由により、
言葉が持つ軽はずみなナイフが増えたのも事実だ。
私は臨月の今、この作品に出会い、一気に涙をこらえながら読んだが、
その間ずっと脳裏によぎるのは、
妊娠を報告した時に上司に言われた
「これからたくさんの人におめでとうと言われると思うけれど、望んでも授からない人も世の中にたくさんいるということを忘れてはならないよ」という言葉だった。
男女問わず、お勧めできる人生の教科書のような本。 -
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読書する時って、共感要素があると「良い本だ!」って思いがちなのだけど、それで言うと
・ある→産む、産めない
・ない→産まない
というストーリー展開なので、全女性からの共感性は低そうだな。わざとらしい配慮は、それこそわざとらしくなっちゃうけれど”産まない”選択をした話も読んでみたかった。
見通しだけでは何ともならないのが出産。
でもバランス取れないことが、”生”そのものなんだと思う。 -
タイトルがとても気になって読んでみたのだけど、主人公たちが大体自分と同年代の女たち(いわゆるアラフォー)ばかりだったので、妊娠も出産も経験がない私にも刺さってくる内容の短編集だった。
出世のチャンスが目前にやってきたバリバリキャリアウーマンである40歳女性の未婚のままでの思わぬ妊娠や、跡継ぎが必要な家に嫁ぎながら子宝に恵まれず40歳を迎えるところまで来てしまった女性、初めて授かった子どもが胎内で死んでしまい死産を経験した女性など、女性であれば胸を痛ませず読むのは難しい物語たち。
開業している女医を妻に持つサラリーマン男性が、妻の出産を機に育休を取る話だけが多少異色だったけれど、それもまた今の世の中の問題を提示していて考えさせられた。
個人的なことを言えば私は子どもが欲しいと思ったことがないから、今の年齢的にも恐らく出産はしないままでいくのだろうとほとんど理解していて、そのことに対する焦りも今のところはない。確実に無理だということがはっきりした時に後悔するかもしれないけれど、それも今のところ何とも言えない。
だから私はこの短編集を、女性のわりには他人事として読めたけれど、読む人によっては辛かったり逆に勇気づけられたりするのだろうと思う。
子どもがいる・いないでマウントを取り合う難しい年齢の女たちも実際にいるのだろうし、みんな自分のことで精一杯で、他人の状況や心理まで慮れる人はそんなに多くないのかもしれない。同じ女性同士なのに、悲しいけれど。
産む、産まない、産めない。この3つの内容からなる短編集かと思いきや…1つだけ当てはまらない。この内容の物語、無かったよね?という意味でピースが足りてないことも、後書きに書かれている。
出産に幸せを感じる人、キャリアのために迷う人、欲しても叶えられない人…すべてが女性のリアル。女しか子どもを産めないのは仕方のないことなのに、それを責める古くさい男がいまだに多いのも多分リアル。
出産や子育てがすべての人においての幸福の条件とは思わないけれど、それでも色んなリアルを感じられたので、読んで良かったと思う。 -
子どもを産むか産めないかをテーマにした短編集。自分の意思で「産まない」人は出てこなかった。
子どもというより家族の話。目に見える以外にも家族にはいろいろある。 -
「産む」と「産めない」の話はあるが、「産まない」の話はない。
「産む」と「産みたい」に話が終始している。