こぼれ落ちて季節は (講談社文庫)

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  • 講談社 (2017年2月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784062935975

作品紹介・あらすじ

田舎から上京した愛は、大学のフリーペーパーサークルの先輩・新野に恋をしている。キスもしたしセックスもした。でも彼は愛を好きなのだろうか。一方、那美香も同級生の新野のことが気になっている。二人の思いがたどり着く先は……。アルバイト先の後輩・あさひに思いを寄せる長谷岡と彼に片思いをしている小埜。ろくでもない男との運命を占うあさひと彼女のことを疎んでいる妹のゆき。繊細に揺れ動く感情を描いた連作短編集。

みんなの感想まとめ

繊細な感情の揺れ動きを描いた連作短編集は、登場人物たちの複雑な関係性や恋模様を通じて、読者に共感と懐かしさを呼び起こします。ページをめくるごとに、彼らの思いが交錯し、「この時本当はこう思ってたんだ」と...

感想・レビュー・書評

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  • 読み進めていくうちにそれぞれの登場人物の関係性がわかってきて、ページを捲る手が止められなくなる。
    「この時本当はこう思ってたんだ」が答え合わせのようで楽しい。
    登場人物みんなに共感できるポイントがあって、首がもげそう笑
    何もかも輝いて見え希望に満ちていた時間、不確かな未来への不安、そして「過去に思い描いていた夢や希望が、必ずしも叶うわけじゃない。」の切なさ。この絶妙な甘苦のコントラストが、「ハニー ビター ハニー」や「さよならの余熱」、「ハッピー⭐︎アイスクリーム」を思い出させて、これぞ加藤千恵さんの作風だなと感じました。
    登場人物みんな幸せになってくれ〜。

  • カトチエさんの本を久しぶりに手にとった。
    学生の恋模様を描いた一冊だけど、すっかり大人になった自分が読むと懐かしい気持ちに。
    そんな今の自分も、好きな人に対して感じる「愛おしい」感覚を大切にしようと思いました。
    そして痒いところに手が届くような絶妙な表現は、さすがです。

  • 涙は縛れるもの、そう表現した彼女の密やかな苦しみに胸がさざめき痛みました。見るのも拒み、離れてしまえばいい。それが出来ないのが恋であり、繋がれない者同士が出会ってしまった悪魔の悪戯なのでしょう。誰もが誰かを想っている。想い人や友人に身内。誰かを羨み、他人の不幸を願っているうちは、絶対に自分に幸せは微笑みません。歩みは己の感情で動かすものであり、そこには脈打つ温度があるのです。無機質なタロットが救いに来てくれるわけではない。自分が花か草かだなんて誰にも決められたくないよ。私は草も蝶も土も愛する花になる。そう決まっているの。

  • 楽しい連作短編集。3.5くらいにしたいところ。
    いろんな視点から書かれているのがなんとも楽しい。
    最後の章は、たぶん真貴ちゃんの一人語りだと思うけど、こういうカタチにしたのはなんでだろう。これがマトメというわけではないと思うけど、真貴ちゃんで終わるのはなんかなぁ。他の人がよかったな。

  • 涙は縛れるもの

  • この著者の本は初めて手に取りましたが冒頭から惹きつけられて6編をあっと言う間に読み終わりました。

    各短編は二人の主人公をそれぞれの立場から描く構成になっておりとても新鮮で各主人公の気持ちに感情移入しやすかったです。

    そしてその短編が他の短編ともシンクロされていて凝った構成になっています。

    何より登場する女性たちの繊細な心理描写が丁寧で女性ならば一度は感じた事があるであろう気持ちが随所に散りばめられていて共感出来ます。

    読後感も爽やかで他の作品も読んでみたくなりました。

  • こぼれ落ちて季節は、読了。2つの視点から語られるのが斬新で、場面の転換がなされてエキサイティングだった、やっぱりどこまでも客観と主観を描くのが巧い。客観があるからこそいろんな視点が描けるし、それを主観のように感情に寄り添った表現ができるのがすごい。
    ---
    "友だちのふり" また両サイドから語られるえげつない感じなんやー。"彼の欠点を見つけるたびに、むしろ行為のポイント的なものが貯まるように感じられた。欠点の発見が、距離の近づきに思えたのだ" 悪い話だ…

    "続けるうちに、わたしはどこまでが演技なのか、本心なのかを、自分でもわからなくした。ふりはもうふりじゃなくなって、わたしたちは友だちに戻った。"

    "涙は縛れるものなんだなと思った。こらえるとかとどめるとかでななく、縛る、が一番しっくりくる。けれどこんな感覚を、知らずに済むなら知らないままでいたかった" こんな感情あるかよ…

    "たぶん初恋" 絶対これ小埜ちゃんなんかあるやん絶対これ!

    "そんなの、わたしのほうがよっぽど思っていることだよ、と言いたかった。好きな人の好きな人の話なんて聞きたくないに決まってるじゃん、と。言葉がつっかえたようになって、出てこないだけで、思っていることならたくさんあった。" 泣いた…

    "ふふふ、とわたしは笑った。どこか泣きたいような気持ちで。わてしはハセが好きなんだよと言ったら、きっと驚いて、それから真剣な顔をして、ごめんな、と言うだろう。そのくらいは知っている。ずっと好きでいるのだから。" 小埜ちゃん幸せになってほしい

    "逆さのハーミット" 相反する姉妹だけど、ゆきの最後の毒と闇がヤバい。人間関係に、外の世界に絶望して、閉ざされた世界で生きて、外の世界で明るく生きる姉の不幸をタロットと通じて祈り続けて、ずっと今が続けばいいと祈るの、闇(病み)以外のなんでもない。よくここまでおぞましく人間描けるな。

    "向こう側で彼女は笑う" の終わり方が突然過ぎて。佳奈美またあとで出てくるんかなぁ。

    "この人かもしれない" "「自分が聞き役になることで、どこか優位に立っているつもりでいたし、そうじゃなきゃいけないって思い込んでた。周りからずっと、梓はしっかりしてるよねって言われてたし。お母さんが子どもに弱みを見せないようにするのと一緒。わたしは、誰のお母さんでもないのにね」

    弱みを見せられるのは、他者に甘えられることは、何よりもの強さなんだよなあ。

    "いいですよ、と答えた理由は、なんとなくとしか言えない。しいていえば興味だった。彼女自身に対する興味。もう少し話をしてみたいなと思ったし、忘れかけている顔を思い出したいような気持ちもあった。" わかり

    "「本当は買い物に付き合ってほしいんじゃなくて、会いたかったんです。山崎さんに」" ストレート!ストライク!アウト!

    "引き返すタイミングは、いくらだってあったはずなのに。それは別に、今だって構わないはずなのに。そう思いつづけて、時間だけが流れていく。" 一度動き出した流れに抗うのは難しいさね…

    "波の中で" "「わたしは結婚するつもりではありませんでした」ええええええーー!?!?

    "すべり落ちる時間" "振り向きざまにキスをされる。あたしは目を閉じた。また別のことを考えてしまいそうになるので、キスに意識を集中させる。あたしはただ、このままでいたい。" これ、今が続けばいいのにとは違うんだよなぁ。未来や老いへの、若者の恐怖というのが描かれてる気がする。

    miwa との対談で加藤さんが"高校を卒業するのが怖かった"っていうのが作品の随所に現れてるなぁ。本人が高校生でデビューしたからこそ。

  • すごい何重もの関係。点と点がつながる。このA-sideとB-sideが好きだなあ。ずっと読み返していたい。人と関係がつながって、最後時を経て出てくるの、いいなあと思った。人生もこんな奇跡が連なっていますように。

    と、時が経って何年後かに読み返すと何も響かなくて、人生こんなもんだよって思っちゃって、それが悲しいなあ

  • 視点を変えながら展開される物語。
    人間のずるさと恐ろしさを垣間見る。

  • この人かもしれない可能性って辛いだけだよね。まわりはけっこう気づいているし、他のことを考えている

  • 色んな登場人物の視点で書かれた短編集。
    登場人物も交錯。
    帯に相関図が書いてあったが、それだけでは足りない。
    どの人がどの人か、整理した上で、もう一度読もうと思う。

    人間関係って、こんなんだよな。

  • 光と影に満ちた心模様を女子力で繊細に紡ぐ恋愛小説集 付き合っていることを周囲にうまく隠せても、その二人のどちらかに想いを寄せる者の目だけは騙せない!? 恋愛の機微を歌人カトチエがすくいあげる短編集。シンガーソングライターmiwaとの対談も特別収録。

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著者プロフィール

1983年、北海道生まれ。歌人・小説家。立教大学文学部日本文学科卒業。2001年、短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビュー。2009年、『ハニー ビター ハニー』で小説家としてデビュー。その他、詩やエッセイなど様々な分野で活躍。著書に『あかねさす――新古今恋物語』『真夜中の果物』『こぼれ落ちて季節は』『この街でわたしたちは』『消えていく日に』『そして旅にいる』『マッチング!』などがある。

「2023年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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