あなたは、誰かの大切な人 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2719
レビュー : 227
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936606

作品紹介・あらすじ

勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独のうちに他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは……(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人に気が付いたときの温かい気持ちを描く珠玉の六編。

文庫版刊行に寄せて 原田マハ
「見知らぬ町を歩くとき、心地よい風が吹き、なんともいえない幸福感に包まれることがある。それはきっと、おだやかな日常がそこにあるからだ。その日常は、誰かが誰かを大切に思っているからこそ、そこにあるのだ。
 あなたがもしも、いま、なんということのない日々を生きているとしたら、それはきっと、あなたが誰かの大切な人であることの証しだ。それが言いたくて、私は、この物語たちを書いた。あなたは、きっと、誰かの大切な人。どうか、それを忘れないで。」

最後の伝言 Save the Last Dance for Me―母が亡くなった。だが、告別式に父の姿はない。父は色男な以外はまったくの能無し。典型的な「髪結いの亭主」だった……。

月夜のアボカド A Gift from Ester´s Kitchen―メキシコ系アメリカ人の友人エスター。彼女は60歳で結婚をして、5年後に夫と死別したのだという。その愛の物語とは……!?

無用の人 Birthday Surprise―勤務先の美術館に宅配便が届いた。差出人はひと月前に他界した父。母には疎まれながらも、現代アートを理解してくれて……。

緑陰のマナ Manna in the Green Shadow―イスタンブールを訪れた。トルコを紹介する小説を書くために。そこで聞いたトルコの春巻と、母親の味の話は……。

波打ち際のふたり A Day on the Spring Beach―学時代の同級生ナガラとは年に4回くらい旅をしている。今回、近場の赤穂温泉を選んだのには訳があって……。

皿の上の孤独 Barragan´s Solitude―メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸までやってきた。かつてのビジネスパートナーの「目」になるために……。

感想・レビュー・書評

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  • 原田マハを読むのはこれで11冊目になる。けれど、短編を読むのはこれが初めて。

    収録されたエピソードは6つ。それぞれ、人生の転機を迎えた40代の女性を描く。

    「無用の人」はずば抜けて素晴らしい。なるほど、短編を書くとこのような仕上がりになるのかと、新鮮な気持ちになった。それでいて納得感が有り、そして満足感があった。このエピソードだけなら、文句なしに星5つ。原田マハの美術的なエッセンスと人生描写がキラリと光った名作。

    「月夜のアボカド」と「緑陰のマナ」は星4つ。人生と生き方、そして幸福について、明るく前向きに描く。それを異文化と特別な料理が彩る。これもまた原田マハらしさ。

    「最後の伝言」「波打ち際のふたり」「皿の上の孤独」は星3つかな。ハズレではないけど、良すぎることもない。ちょっとした大衆小説として読めば、まぁ悪くない仕上がり。

    総評としては、さすがの原田マハ。平均点が高い。お得意の美術要素あり、大衆小説的な要素あり。そして異文化、料理、人とのつながりなど。原田マハらしさが凝縮されている。

    「あなたは誰かの大切な人」というタイトルももちろん良い。安心できる優しさがあるのだけど、決して押し付けがましくない。

    原田マハのファンなら読んで損なし。むしろこの短編集から入門するのもいいかも、と思えるような万人向けの短編集だった。

    (ネタバレを含む、各エピソードのメモや感想などは、書評ブログの方から宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%97%85_%E6%96%99%E7%90%86_%E7%95%B0%E6%96%87%E5%8C%96_%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%81%AE%E8%BB%A2%E6%A9%9F%E3%81%A8%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6_%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AF

  • 原田マハ『あなたは、誰かの大切な人』講談社文庫。

    2019年に最初に手にした1冊は原田マハの短編集である。日本だけではなく海外も舞台にした心暖まる6編を収録。いずれの短編も人と人との繋がりを描きいた素晴らしい作品なのだが、『無用の人 Birthday Surprise』が最も心に響いた。

    『最後の伝言 Save the Last Dance for Me』。母親の死に姿を見せぬ父親は生来の色男で典型的な髪結いの亭主だった。数日後に姿を見せた父親の心の底と母親の思い……

    『月夜のアボカド A Gift from Ester´s Kitchen』。60歳で再婚し、僅か4年の結婚生活で夫と死別したメキシコ系アメリカ人、エスターの半生……

    『無用の人 Birthday Surprise』。勤務先の美術館に熟年離婚の果てに一月前に他界した父親からの宅配便が届く。無用の人と周囲から疎まれた父親の真の姿は……最も心に響いたのは、ラストの描写で目の前に鮮やかな絵を見せてくれたからだろう。

    『緑陰のマナ Manna in the Green Shadow』。トルコを紹介する小説を書くために訪れたイスタンブールで聞いたトルコの春巻と日本の母親の味……

    『波打ち際のふたり A Day on the Spring Beach』。毎年、旅を共にする大学時代の同級生ナガラと今回訪れたのは近場の赤穂温泉……

    『皿の上の孤独 Barragan´s Solitude』。メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸を訪れたのは、かつてのビジネスパートナーの目となるためだった……

  • 両親を大切にしようと思った。
    父の日がもうすぐだ、その日は実家に帰ろう。

  • 「最後の伝言」
    「月夜のアボガド」
    「無用の人」
    「緑陰のマナ」
    「波打ち際のふたり」
    「皿の上の孤独」の六篇の短篇集。
    タイトル通り、テーマはすべて「大切な人」。
    その中で、最初の二篇が特に心に残りました。

    「最後の伝言」
    色男で髪結いの亭主、そのままだった栄美の父。
    母の葬儀にやってきません。
    母が父に遺した最後の手紙。
    そして葬儀社の人に託した母から父への最後の伝言。
    色男だった父に夢中だった母。
    そして浮気ばかりしているかにみえた父もまた…。
    夫婦の本当の事情は当人同士にしかわからないものですね。
    父にとっても、母にとっても同じようにお互いが、大切な人だったのですね。
    最後の演出は、グッときます。

    「月夜のアボガド」
    マナミの年上の女友だちでメキシコ料理の達人のエスター・シモンズは四十歳の時に出会ったアンディと六十歳の時に二度目の結婚をし、アンディが亡くなるまでわずか四年間の結婚生活を送ります。
    「たった四年間の結婚生活だったけれど、あの四年間のために、彼も、私も、この人生を授かったような気がするの。いちばんの幸福は自分が好きな人と一緒に過ごすってことじゃないかしら。大好きな人と、食事で向かいあっておいしい食事をともにする。笑ってしまうほど単純で、かけがいのない、ささやかなこと。それこそがほんとうは、何にも勝る幸福だって思わない?」このエスターの言葉から本当に大切な人を思う気持ちが伝わってきて心に染みました。

  • 心が疲れた時にちょいちょい読み返している。
    みんな色々あるよね…みたいな感じに癒される。

  • 独身女性6人を主人公にした短編集。なのだが、男性目線で読んでしまった。「最後の伝言」「無用の人」「皿の上の孤独」あたりが好み。家族という幸福追求の最小集団を様々な角度から捉え、「こんな生き方もありだよね」と包み込んでくれる感じかな。あと、メキシコ料理が食べたくなった!

  • 6人の女性を主人公にした短編集。

    年齢も職業も背負っているものもちがう彼女たちに共通なこと。
    ”一生懸命に生きている”ということ。
    困難な状況になったとき、見えてくる”大切なこと”、”大切な人”

    解説の中にあったことば。
    <自分は、自分の大切な人>
    納得!!!

    6編のうち、一番好きなのは『波打ち際の二人』
    ハグとナガラの物語。
    【星がひとつほしいとの祈り】【さいはての彼女】にも登場するあの二人です。

  • タイトルから、ハートウォーミングな話の集まりかと思っていた。
    が、読み始めたら主人公がそれぞれ、仕事を持ち自立した女性ばかり。
    彼女達は結婚に対して全く夢や願望を抱いていない。そしてそれぞれ、色々な経験をしていている。
    50代になったらここまで達観というか、冷静というか、向き合うことができるものなのだろうか。まだわからない。
    誰でも、何歳でも、誰かの大切な人であるというメッセージを感じた。
    ただ、よっしゃ!幸せ!ハッハッハー!ってキャピ感がなくて、何だか静かな読了感だった。

  • 素敵な短編集でした。
    読み終わった時、切なくなるような、なんとも言えない温かい気持ちになりました。
    メキシコのルイス・バラガン邸に行きたくなる!!

  • 疲れた心を癒す為に原田マハ作品を手にしました。

    本作は6編の短編集。

    境遇も年代も家族構成も違う女性が主人公となり、主人公とその身近な存在との間で語られるどこかホッコリする物語。

    女性の心の中を文字にするのは本当に上手いなぁと思いながら読み終えました。

    私には一生かけてもわかりそうにありません(^^;

    「波打ち際のふたり」で自分が生まれ育った町が出て来ました。

    私に少し幸せを足してくれた♪


    説明
    内容紹介
    勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独のうちに他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは……(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人に気が付いたときの温かい気持ちを描く珠玉の六編。

    文庫版刊行に寄せて 原田マハ
    「見知らぬ町を歩くとき、心地よい風が吹き、なんともいえない幸福感に包まれることがある。それはきっと、おだやかな日常がそこにあるからだ。その日常は、誰かが誰かを大切に思っているからこそ、そこにあるのだ。
    あなたがもしも、いま、なんということのない日々を生きているとしたら、それはきっと、あなたが誰かの大切な人であることの証しだ。それが言いたくて、私は、この物語たちを書いた。あなたは、きっと、誰かの大切な人。どうか、それを忘れないで。」

    最後の伝言 Save the Last Dance for Me―母が亡くなった。だが、告別式に父の姿はない。父は色男な以外はまったくの能無し。典型的な「髪結いの亭主」だった……。

    月夜のアボカド A Gift from Ester´s Kitchen―メキシコ系アメリカ人の友人エスター。彼女は60歳で結婚をして、5年後に夫と死別したのだという。その愛の物語とは……!?

    無用の人 Birthday Surprise―勤務先の美術館に宅配便が届いた。差出人はひと月前に他界した父。母には疎まれながらも、現代アートを理解してくれて……。

    緑陰のマナ Manna in the Green Shadow―イスタンブールを訪れた。トルコを紹介する小説を書くために。そこで聞いたトルコの春巻と、母親の味の話は……。

    波打ち際のふたり A Day on the Spring Beach―学時代の同級生ナガラとは年に4回くらい旅をしている。今回、近場の赤穂温泉を選んだのには訳があって……。

    皿の上の孤独 Barragan´s Solitude―メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸までやってきた。かつてのビジネスパートナーの「目」になるために……。
    内容(「BOOK」データベースより)
    勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独の内に他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは…(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人の存在に気が付いた時の温かい気持ちを描く珠玉の六編。
    著者について
    原田 マハ
    (はらだ・まは)1962年、東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。伊藤忠商事、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館に勤務後、2002年にフリーのキュレーターとして独立。’03年にカルチャーライターとして執筆活動を開始し、’05年に『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。’12年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞を受賞。芸術に関する描写力と情熱、ミステリーとしての魅力が高く評価された。著書に『夏を喪くす』『風のマジム』『太陽の棘』『本日は、お日柄もよく』『暗幕のゲルニカ』『サロメ』などがある。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    原田/マハ
    1962年、東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史科卒業。伊藤忠商事、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館に勤務後、2002年にフリーのキュレーターとして独立。’03年にカルチャーライターとして執筆活動を開始し、’05年に『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。’12年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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著者プロフィール

原田マハ(はらだ まは)
1962年東京都生まれ。小6から高校卒業まで岡山で育つ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事株式会社、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館での勤務を経て、2002年よりフリーのキュレーターとなる。2005年小説化デビュー作の『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、『キネマの神様』で第8回酒飲み書店員大賞をそれぞれ受賞。2013年には『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補、2016年『暗幕のゲルニカ』で第155回直木賞候補となる。2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞受賞。2019年『美しき愚かものたちのタブロー』で第161回直木賞候補に。

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