あなたは、誰かの大切な人 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 132
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936606

作品紹介・あらすじ

勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独のうちに他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは……(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人に気が付いたときの温かい気持ちを描く珠玉の六編。

文庫版刊行に寄せて 原田マハ
「見知らぬ町を歩くとき、心地よい風が吹き、なんともいえない幸福感に包まれることがある。それはきっと、おだやかな日常がそこにあるからだ。その日常は、誰かが誰かを大切に思っているからこそ、そこにあるのだ。
 あなたがもしも、いま、なんということのない日々を生きているとしたら、それはきっと、あなたが誰かの大切な人であることの証しだ。それが言いたくて、私は、この物語たちを書いた。あなたは、きっと、誰かの大切な人。どうか、それを忘れないで。」

最後の伝言 Save the Last Dance for Me―母が亡くなった。だが、告別式に父の姿はない。父は色男な以外はまったくの能無し。典型的な「髪結いの亭主」だった……。

月夜のアボカド A Gift from Ester´s Kitchen―メキシコ系アメリカ人の友人エスター。彼女は60歳で結婚をして、5年後に夫と死別したのだという。その愛の物語とは……!?

無用の人 Birthday Surprise―勤務先の美術館に宅配便が届いた。差出人はひと月前に他界した父。母には疎まれながらも、現代アートを理解してくれて……。

緑陰のマナ Manna in the Green Shadow―イスタンブールを訪れた。トルコを紹介する小説を書くために。そこで聞いたトルコの春巻と、母親の味の話は……。

波打ち際のふたり A Day on the Spring Beach―学時代の同級生ナガラとは年に4回くらい旅をしている。今回、近場の赤穂温泉を選んだのには訳があって……。

皿の上の孤独 Barragan´s Solitude―メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸までやってきた。かつてのビジネスパートナーの「目」になるために……。

感想・レビュー・書評

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  • 原田マハ『あなたは、誰かの大切な人』講談社文庫。

    2019年に最初に手にした1冊は原田マハの短編集である。日本だけではなく海外も舞台にした心暖まる6編を収録。いずれの短編も人と人との繋がりを描きいた素晴らしい作品なのだが、『無用の人 Birthday Surprise』が最も心に響いた。

    『最後の伝言 Save the Last Dance for Me』。母親の死に姿を見せぬ父親は生来の色男で典型的な髪結いの亭主だった。数日後に姿を見せた父親の心の底と母親の思い……

    『月夜のアボカド A Gift from Ester´s Kitchen』。60歳で再婚し、僅か4年の結婚生活で夫と死別したメキシコ系アメリカ人、エスターの半生……

    『無用の人 Birthday Surprise』。勤務先の美術館に熟年離婚の果てに一月前に他界した父親からの宅配便が届く。無用の人と周囲から疎まれた父親の真の姿は……最も心に響いたのは、ラストの描写で目の前に鮮やかな絵を見せてくれたからだろう。

    『緑陰のマナ Manna in the Green Shadow』。トルコを紹介する小説を書くために訪れたイスタンブールで聞いたトルコの春巻と日本の母親の味……

    『波打ち際のふたり A Day on the Spring Beach』。毎年、旅を共にする大学時代の同級生ナガラと今回訪れたのは近場の赤穂温泉……

    『皿の上の孤独 Barragan´s Solitude』。メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸を訪れたのは、かつてのビジネスパートナーの目となるためだった……

  • 6人の女性を主人公にした短編集。

    年齢も職業も背負っているものもちがう彼女たちに共通なこと。
    ”一生懸命に生きている”ということ。
    困難な状況になったとき、見えてくる”大切なこと”、”大切な人”

    解説の中にあったことば。
    <自分は、自分の大切な人>
    納得!!!

    6編のうち、一番好きなのは『波打ち際の二人』
    ハグとナガラの物語。
    【星がひとつほしいとの祈り】【さいはての彼女】にも登場するあの二人です。

  • 勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独の内に他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは…(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人の存在に気が付いた時の温かい気持ちを描く珠玉の六編。

  • 原田マハさんの作品を読んだ後は、いつも清々しく心温かい気持ちになる。
    女性主人公の短編集だったけど、一編一編が前向きで読んでて嬉しい。
    なぜ、こんなに心にスッと入ってくる作品ばかりなのだろう…
    芸術の背景も知的好奇心がうずき、
    独身女性の新しい価値観と生き方を尊敬して
    彼女たち一人一人に人生と関わっている人々が
    丁寧に繋がっている。
    私が誰に影響をあたえ、誰から影響をうけているか。人間関係は面倒くさいというけれど、接している一人一人と思い合っているのは素敵なこと。
    目の前にいる人と丁寧に関わっていきたいものだ。

    お風呂場で日没の太陽を見た描写で、偶然集まったいろんな関係の人びとの不思議を描いていた。
    とても心に残っている場面。

  • ほのぼのした読後感。どのストーリーも、心地よい余韻に浸る。

  • "いちばんの幸福は、家族でも、恋人でも、友だちでも、自分が好きな人と一緒に過ごす、ってことじゃないかしら。大好きな人と、食卓で向かい合って、おいしい食事をともにする。笑ってしまうほど単純で、かけがえのない、ささやかなこと。"

  • 【未婚化】
    1990年 35-39歳の男性は20%、女性は10%以内で、2015年だと男性は35%、女性は23.9%だそうです。因みに25-29歳の男性は72.7%、女性は61.3%。(内閣府『未婚化』参考)

    短編集の主役達は現在独身(離婚経験も含めて)の女性で、仕事に人生にやりがいと誇りを持っています。
    私は20代の頃、結婚はしなくてはいけないものというか、しないと幸せに見られないと思っている節があって、今考えると結婚をアクセサリーと勘違いしてたんだと思います。過去の自分に反吐が出ます(笑)

    登場人物はそんな過去の自分と対比して自分の生き方を、貫いていてとっても素敵。彼女達のライフスタイルが丁寧に描写されているのでストーリーにしっかりと入り込めます。

    女性が主役の本は、自分と重ねられるから過去を振り返ったり未来を思案できていろんなことを考えさせられます。

  • 独身女性がそれぞれ主人公の6編。
    特に、女性読者には「読む特効薬」。
    世界を飛び回る著者らしく、舞台は日本ばかりでなく、トルコ、ロスそしてメキシコと多岐にわたっている。

  • 中年女性が主人公の絆をテーマにした短編集。どの話も甲乙つけがたい傑作ぞろいだが、個人的には第一話「最後の伝言」が女性の男にはない強い魅力を感じた。おススメ。
    あらすじ(背表紙より)
    勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独の内に他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは…(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人の存在に気が付いた時の温かい気持ちを描く珠玉の六編。

  • 恋や仕事や家庭に向かってがむしゃらに突っ走って、どこかで自分を騙しているのに気づきながらも突っ走って、ふと立ち止まった時に襲ってくる孤独感。でもそれを受け入れちゃうと今までの自分を裏切ることになるからできなくて。そんなやり切れない気持ちを抱えている女性が主人公の物語もあった。世界中が舞台、でも人間は同じ。同じようなことで笑ったり泣いたり。私は孤独だ、戦わないとと暗示かけている時に自然に現れる自分の本当の心を気づかせてくれる人。その人があなたの、そして私の大切な人なのかもしれない。泣いた泣いた。泣かされた。

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著者プロフィール

原田 マハ(はらだ まは)
1962年東京都生まれ。小6から高校卒業まで岡山で育つ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。
馬里邑美術館、伊藤忠商事株式会社、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館での勤務を経て、2002年よりフリーのキュレーターとなる。
2005年小説化デビュー作の『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、『キネマの神様』で第8回酒飲み書店員大賞をそれぞれ受賞。2013年には『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補、2016年『暗幕のゲルニカ』で第155回直木賞候補となる。2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞受賞となり話題になった。

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