黄砂の籠城(下) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936774

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった
    史実を下書きとしたアクションエンターテイメントストーリ
    義和団事件をベースに実在の人物芝五郎の活躍を描く物語

    いよいよ下巻です。
    義和団は徐々に包囲を狭めてきます。
    そして、日本が先陣を切って、漢人キリスト教徒を救出。
    そんな中、西太后はついに義和団を鎮圧もせず、外国公使館から24時間以内退去を通告。
    いよいよ、戦争状態に陥ります。
    さらには、外国公使館内で行われる暗殺。
    誰がスパイなのか?
    そんな中、建設される巨大砲
    その攻撃力により、いよいよ窮地に陥ります。
    そして、クライマックスへ
    という展開です

    もちろん、エンターテイメントとしてのお決まりの結末ですが、最後まであきらめない姿、日本人としての矜持を感じさせる物語です。

    とっても満足、すっきりです。

    歴史の授業でわずかに覚えている義和団事件の裏に、こんな物語があったと思うと
    とても熱くなります。
    どこまでが史実かはわかりませんが、このエンターテイメントは楽しめました。

    お勧め!

  • 1900年春、北京の東交民巷で起きた籠城戦(義和団事件)を、史実に基づき描いた物語。

    本書の冒頭は2017年春、商談のため北京を訪れていた櫻井海斗は困難な取引を請け負っていたが、先方の重役であるエリック・チョウ(イギリス人と中国人のハーフ)は何故か好意的で、日本人であるあなたがたと仕事がしたいと言う。更に彼は、まさにその場で起こった義和団事件について語り、櫻井は高祖父である櫻井隆一やその上官である柴五郎が残した功績について知る。

    本編では、義和団の暴徒化から始まり、外国公使館区域である東交民巷に列強11カ国(ベルギー、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカ、オランダ、ロシア、イギリス、オーストリア=ハンガリー、日本)が義和団や清政府により籠城戦を余儀なくされ、各国同盟千数百人VS義和団およそ二十万という絶望的な闘いを、多くの犠牲者を出しながら援軍が到着するまでの二ヶ月間闘い抜く。
    その中でも、柴五郎中佐や櫻井隆一ら日本人の存在感は大きく、その知性や勇気だけでなく、敵に対しても思いやる仁の心を持ち合わせていた。





    国民性からか、忘れられていた日本人の誇りを取り戻させてくれる一冊。

    この本をきっかけに、知らなかった義和団事件の内容や、柴五郎という偉大な先人について知ることが出来た。

    自慢しない謙虚さも大切だが、日本人なのに世界に誇れる日本の功績があまり知られていないことに疑問を持った。教科書を作り直した方がいいと思う。

    内容では、冒頭に登場した櫻井海斗の物語が、後半にも出てきて過去と繋がる展開を期待したが、義和団事件で終わってしまったのは少し残念だった。

    しかし、籠城戦後半に明かされる裏切り者の存在や、櫻井のライバル的立ち位置にあったロシア兵のラブロフとの共闘、童貞か!とツッコミたくなるような櫻井の硬派な性格など、史実だけでも面白いストーリーがより魅力的に描かれていて、充分楽しめる内容だった。

  • 義和団の乱は名前だけ知っていても、大変な事件だったことも柴五郎なる英雄の事も全然知らなかった。その柴五郎が、サー・マクドナルドによる日英同盟の締結の支えとなったことも。

  • 義和団事件をこんなにも深く知ったのは、初めて。歴史の授業で単語を習っただけ。でも、キリスト教の布教を理由に人民を弾圧してきた西洋人もあり、義和団側のいい分も良くわかる。自国に外国人や異教、文化がはびこるわけだから。歴史のストーリーは、勝ったものの視点が軸になる。真相は。

  • 清の時代に起きた義和団事件で、清に取り残された日本人をはじめとした各国外国人の戦いを描いている。がっつり戦争もののはずなのに、エンターテイメントとして面白く、最後まで勢いよく読めた。松岡さんは義和団事件を清の側から描いた本も描いているそうなので、機会があったら読んでみたい。

  • 上下巻合わせての感想。
    義和団事件での、日本人の活躍を描いた作品。
    松岡圭祐作品初挑戦で著者初の歴史小説というのはいいのか悪いのか・・・。
    でも、迫力のある描写にワクワクして、日本人の素晴らしさに胸アツ。義和団事件自体、教科書でさらっとしか読んだことないけど、そういうこと関係なく非常に読みやすかった。食わず嫌いだったけど、今後松岡圭祐にハマるかも。

  • 日本人てやっぱ特殊なんだな。だから国際社会でダメなんだという風潮はいらないよな。

  • 義和団事件の名前は知っていても、北京の一角でこのような籠城戦が起きていたことは知らなかった。男の生き様と友情に心震え、ページを繰る手が止まらない一冊。
    ただ、この事件の後の日本軍の北京駐留が、その後の歴史で、盧溝橋事件を経て日中戦争へとつながっていくことも、忘れてはならないだろう。

  • 松岡圭祐著。氏がこういう歴史小説を書いているとは知らなかった。
    上下巻を一気に読んでしまうだけのリーダビリティはあった。やや鼻につく演出はあるし、主人公のラブ・ロマンスが誰かと始まりそうで何も始まらずに終わってしまい、物足りなさもある。あとプロローグで出てきた主人公の子孫が、その後エピローグも含めて全く登場しないのは、いかがなものか。
    まぁ面白いといえば面白いかな。重厚さはないけど。

  • 黄砂の籠城上巻からの続き。上巻からのスピード感を失わずに、最後まで物語は駆け抜けていきました。櫻井伍長がかっこよすぎますし、柴中佐とこの2人のタックが素敵でした。
    この作者の他の作品も読みたくなりました!

著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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