まるまるの毬 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 345
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936873

作品紹介・あらすじ

親子三代で菓子を商う「南星屋」は、  売り切れご免の繁盛店。武家の身分を捨て、職人となった治兵衛を主に、出戻り娘のお永と一粒種の看板娘、お君が切り盛りするこの店には、他人に言えぬ秘密があった。愛嬌があふれ、揺るぎない人の心の温かさを描いた、読み味絶品の時代小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 平台で見つけて表紙買いした、久々の掘り出し物。
    とは言え、吉川英治文学新人賞受賞作なのだから
    その面白さは折り紙つきということか。

    とにかく面白い。
    わくわくはらはらどきどきが止まらない。

    そこに甘党の私には垂涎のお菓子たち。
    どうにもこうにもページを繰る手も止まらない。

    治兵衛をはじめとする南星屋の家族たち。
    そのひとりひとりだけでなく周囲の人々までもが
    それぞれの人柄でくっきりと描き分けられていて
    互いの関わりの中で見せる表情のひとつひとつが
    すんなりと心に入ってくる。

    作りものの違和感がない時代小説。
    この作品は高田郁さんの「みをつくし料理帖」に
    肩を並べる秀作だと私の中では抜群に評価が高い。

    まだ読みたい。さらなる連作を期待しています!

  • 表紙絵に魅了されて購入。あまりにも美味しそうだったので・・・。物語の方は家族愛、兄弟愛に溢れた素敵な作品でとても面白かった。これは読まないと損だと思う。
    あらすじ(背表紙より)
    親子三代で菓子を商う「南星屋」は、売り切れご免の繁盛店。武家の身分を捨てて職人となった治兵衛を主に、出戻り娘のお永とひと粒種の看板娘、お君が切り盛りするこの店には、他人に言えぬ秘密があった。愛嬌があふれ、揺るぎない人の心の温かさを描いた、読み味絶品の時代小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

  • 武士の身分を捨て、菓子職人になった治兵衛と、その家族をえがいた、連作短編集。
    各地でまなんだお菓子を、日替わりで売り出す、南星屋。
    どのお菓子もていねいなつくりで、魅力的。
    こんなお店が身近にあったら、と思ってしまう。
    口数は多くないけれど、家族思いの、治兵衛。
    誰にでも物おじせず接し、つねに明るいお君。
    せつないできごともあるけれど、まっすぐに生きる人たちの、あたたかな物語。
    吉川英治文学新人賞受賞作。

  • 書店の店頭にずらっと文庫が面陳されていて、興味を持って、読んでみた。書店員の推しだったのかな。
    初めて読む作家。とても良かった。お菓子が美味しそうで、食べたくなって困る。

  • 南星屋は、諸国遍歴の末に江戸に戻った主人治兵衛と娘のお永、孫娘のお君が、下町で安くておいしい諸国のお菓子を売る店です。
    連作短編集で、基本は人情ものですが、最後のほうでは治兵衛の出生の秘密に起因する大きな事件が持ち上がります。
    食べ物屋を扱った時代小説がブームのようですが、その中で
    扱っている物がお菓子で主人公が老人というのが特徴的です。その分、どこかしっとりと落ち着いた雰囲気がありますし、そこに明るい孫娘がうまく絡んで色を添えています。
    困難があっても、そこを乗り越えようとする前向きさが心地良い暖かな作品です。

  • ランキングを見て目に留まったこの本。ずっと昔に読んだ「金春屋ゴメス」の作者さんですな。それが結構だった記憶もあり、皆さんの評価も良かったこともありで買ってみた。
    ある事情から武家の家を出て、菓子屋を目指し、諸国を回る中で各地の銘産のレシピをものにし、今は江戸で小さいながらも菓子屋を構える治兵衛。出戻り娘のお永とその娘お君の3人で店を切り盛りし、地元では売り切れ御免の繁盛を見る。
    3人を中心に語られる“家族”の物語。
    武士になる自分の将来を厭い菓子屋に弟子入りをしてきた少年の、父を見る思いの切なさ。その父がそのまた父を見る思いの苦さ(若みどり)。
    父の思いを忖度して、心の毬を己の内側に向けるしかない娘の忍耐(まるまるの毬)。
    血が繋がっていないことが分かっても、寧ろ強くなった兄弟のつながり(大鶉)。
    一瞬の気の迷いが本物の輝きを持つことになる、夫婦になることの不思議(梅枝)。
    二人の息子のことを中心に、親子とか結婚とかについて考えることが多いこの頃の中で、色んな思いが次々と湧いてきて沁みた。

  • こんなお店が近所にあったら、足繁く通ってしまいます!

    悪意にさらされても、危機に瀕しても、娘や孫娘、弟と力を合わせて乗り越えていく清々しさが気持ちのよい作品でした。
    何よりお菓子が美味しそう!

  • 父と娘と孫娘。節の身分を捨てて菓子職人になって。各地の菓子を再現してるのが、今もそういうのがあればいいのにと、素敵でした。弟子になりたかったあの子はそのあとどうなったのだろう、ちょっぴり軽い本家の甥と気っ風のよい義姉ともまたうまく付き合えてるのだろうかと、その後が気になる良い読後感。自由で自然で前向きな弟さんがいい感じ。

  • いつのまにかついていた自分でも気付かないような小さな傷を少し癒してくれるような小説

  • 西條奈加先生。お初に読ませていただきます。
    …表紙がいわゆる「飯テロ」。おやき食べたい。

    「食べ物系小説」か「チョンマゲ時代系」か、悩んだけど
    これは「食べ物系」に分類してみた。
    7つの編に分かれてて、どれも和菓子の名前になってる。

    ・カスドース(初めて聞いた〜)
    ・若みどり
    ・まるまるの毬(表題になってる一編)
    ・大鶉(おおうずらと読む。この話が一番好きかも)
    ・梅枝(うめがえと読む。)
    ・松の風
    ・南天月(なんてんつきと読む。)
    となってます。どれも素朴で美味しそう。

    祖父と娘とその娘。家内制手工業和菓子店。
    なんとなく漫画の「三月のライオン」の中に出てくる
    お爺ちゃんと孫たちの和菓子屋を連想する。ほのぼの。

    お菓子と物語が親密に絡み合っていて、食べ物小説好きな
    私にとっては読んでて非常に喜ばしい。
    話の中にちょっと出てくる「食」ではなくて、この
    物語だからこのお菓子なのね!って、共感強い。

    宮部みゆき先生の時代小説にも感じる、女性作家だから
    生まれる(のかな?)、文章全体からの「優しさ」
    というか「柔らかさ」のようなものが
    とても雰囲気がいい。

    キャラクターでは、主人公の和菓子職人爺ちゃんの
    弟である「石海大住職」(こつかいと読む)本名
    「五郎おじさん」がいいわぁ。豪傑キャラに弱い。

    時代物ファンにも、和菓子好きな人にも良い本。
    メシテロ注意。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。12年に『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞を受賞、15年には『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞した。他著に「善人長屋」シリーズ、『九十九藤』『無暁の鈴』『睦月童』などがある。

「2019年 『亥子ころころ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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