おはなしして子ちゃん (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • レビュー :9
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936897

作品紹介・あらすじ

理科準備室に並べられたホルマリン漬けの瓶。ただの無駄な存在に見えた標本のひとつが、けれども「私」には意外と使えた。クラスの噂話や自慢話の聞き役として、私に激しくお話をせがむのだから(短編「おはなしして子ちゃん」より)。

ユーモラスで、アンチデトックス!
才能あふれる芥川賞作家が紡ぐ類まれな物語世界、全十編。

感想・レビュー・書評

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  • 買ってそのままにしていた本。
    小旅行に持っていったら面白くてええ?おおーと心の中急上昇しつつ一気に読んでしまった。

    グロテスクでぞくぞくしたのに、よみおえて後味がいいのはなぜだろう。

    「我々がなによりも重要視し、心打たれるのは、前述のダゲレオタイプによる死者のポートレートと、micapon17によるスナップの形式的な類似である。そう、生者の像が不安定で、死者の像が安定しているという、写真黎明期に顕著に見られる特質を、写真史などしりもしないmicapon17が運命的に受け継いでいる、そのことが我々をかくも感動させるのだ。」
    ー「今日の心霊」

  • 結構技巧的で面白かった。

  • 不気味な夢みたいな

  • 自意識とか、理想像とか、脅迫観念とか、そういうのが膨らみすぎた結果、とんでもなくホラーな事態に…。

  • 一言で言ったら、 こわい 。
    あと不気味、不穏。
    最近こういうじめっと怖い感じの女性作家さん多くない?
    小川洋子さんとか小島未青さんとか。
    局地的に描写が緻密でお話はふわーっともやーっとしてるから余計ぞっとできるっていうか。
    この短編集は後半へ進むにつれて危険度合が上がってゆくね。
    エイプリル・フールあたりからの爆走具合やばい、そして好きだ。
    表紙が水沢そらさんなので読んでみました。
    文庫になるとき装丁が変わらないと個人的には嬉しいです。

  • 最初の3つは文句なしに良かった

    「おはなしして子ちゃん」
    自立のため、教養を欲しがるそいつの姿は
    親の承認欲求で腰砕けにされた子供たちの自我そのもの

    「ピエタとトランジ」
    名探偵の周辺では必ず事件がおきるという現象を用いて
    学校を破壊してしまう女の子の話

    「アイデンティティ」
    出来損ないのミイラのキメラ
    その引き裂かれた心が、あるがままの自己を受け入れるまで

    「今日の心霊」
    自分のことを変な奴だとどうしても認識できないある種の天才
    そしてそれにつきまとう紳士の集団(涼宮ハルヒみたい)

    「美人は気合い」
    エゴを持たない人工知能と、それに作られた生命体のやりとり
    閉じて不毛なルーチンワークが続けられる

    「エイプリル・フール」
    世界観の綻びから目を背け、1日1回の嘘という掟を守り続けること
    それが相互依存の言い訳になっている

    「逃げろ!」
    ただの快楽殺人にそれらしい物語をつけて悦に入ってるやつ
    …としか思えないんだけどなぁ、現実は最後まで彼の欺瞞を守ってくれる

    「ホームパーティーはこれから」
    SNSにドハマリしてる若い奥さんが
    ホームパーティーの接客の忙しさから現実逃避を始める

    「ハイパーリアリズム点描画派の挑戦」
    芸術鑑賞者が芸術の本質に目覚め、制作者の側にまわるという寸劇
    乱闘の描写を、点描作業に重ねているらしいが、これは失敗かな…

    「ある遅読症患者の手記」
    人生の裏側には死の影が、その恐怖が、貼り付いている
    だから私小説は廃れたのかもしれない

  • ストーリがぶっ飛び過ぎてて、理解が追い付かないものもいくつかあったが、ブラックユーモアに富んでて面白かった。気に入ったのが「今日の心霊」かな。
    あらすじ(背表紙より)
    理科準備室に並べられたホルマリン漬けの瓶。ただの無駄な存在に見えた標本のひとつが、けれども「私」には意外と使えた。クラスの噂や自慢話の聞き役として、私に激しくお話をせがむのだがら(「おはなしして子ちゃん」)。ユーモラスでアンチデトックス、才能あふれる芥川賞作家が紡ぐ類まれな物語世界、全十編。

  • 短編集。表題は一見可愛らしめだけど全体的にかなり毒が効いてて可愛いどころかかなりの刺激物。表題作「おはなしして子ちゃん」からして、そう呼ばれるのは理科準備室のホルマリン漬けのお猿さんだし、大人にとってはちょっとしたホラー。

    お気に入りはまるでラノベのような語り口の女子高生ピエタと、殺人事件を引き寄せる体質の転校生トランジの「ピエタとトランジ」(続編があるらしい。これは読みたい)、鮭と猿を合体させて干物にした人魚の「アイデンティティ」、アンソロで既読だったけど写す写真すべてに心霊が写り込む女性の「今日の心霊」あたり。

    どの話も突拍子もないようでいて、着想のきっかけは多分ささいな日常的なことなのだろうなと思う。たとえば行く先々で殺人事件が起こってしまうトランジは、解説にもあったように探偵もののパロディだろうし、連続通り魔犯人の「逃げろ!」も、ものすごく重い蜂蜜の瓶を持ったときになにげなく(これで殴られたら死ぬな)なんて想像したことが発端かもしれないし、「ホームパーティーはこれから」は、承認欲求の強いSNS依存な人たちへの嘲笑だろうし、「ハイパーリアリズム点描画派の挑戦」は激混みでろくに絵を鑑賞する余裕もない昨今の美術館ブームで、周囲の全員を殴り倒していいならそうしたい衝動に私自身も駆られる。

    あたりまえの日常がちょっとズレただけでホラーに早変わりする、ふとした違和感を捉えるのが藤野可織はとても上手いですね。

    ※収録作品
    おはなしして子ちゃん/ピエタとトランジ/アイデンティティ/今日の心霊/美人は気合い/エイプリル・フール/逃げろ!/ホームパーティーはこれから/ハイパーリアリズム点描画派の挑戦/ある遅読症患者の手記

  • かわいくて、黒くて、今っぽい傑作短編!
    理科準備室のホルマリン漬けの瓶。ただの無駄に見えた標本のひとつが、「私」には意外と使えた。世間話の聞き役として私にお話をせがむのだから。ユーモラスでアンチデトックス、芥川賞作家による、魅惑の短編集。

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