新装版 天使に見捨てられた夜 (講談社文庫)

  • 講談社 (2017年7月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784062937009

作品紹介・あらすじ

AVでレイプされ、失踪した一色リナの捜索依頼を受けた村野ミロは、行方を追ううちに業界の暗部に足を踏み入れた。女性依頼人が殺害され、自身に危険が及ぶ中、ようやくつかんだリナ出生の秘密が、事件を急展開させる。乱歩賞受賞直後に刊行された圧巻の社会派ミステリー。「ミロシリーズ」第2弾!

みんなの感想まとめ

社会の暗部に迫るミステリーで、主人公の探偵村野ミロが、AV女優の失踪事件を追う中で直面する困難や葛藤が描かれています。弱い立場の女性たちの実態を明らかにし、彼女たちの強さや生き様を浮き彫りにする物語は...

感想・レビュー・書評

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  • 30年以上続いている「村野ミロシリーズ」第2巻。
    主人公の村野ミロは、夫の自死による喪失感から広告代理店の勤務を辞め、父親が探偵事務所として使っていた歌舞伎町の片隅で、一人ひっそりと暮らしていたのがシリーズの始まりだった。
    ミロは常に金欠気味で、依頼された探偵業は何でも請け負わなけらばならないのが実情だった。

    今回の依頼者の渡辺房江は、AV女優のレイプ被害を訴え、弱い立場の女性の実態を世に知らしめる運動をしている人物だ。
    レイプの被害者として一色リナを探し出し、運動のシンボリックな存在としたいと云う意向を渡邊は抱いていた。
    渡辺の活動を何故か熱心に支援するセレブの料理研究家八田牧子の存在も謎となる。
    そしてミロが依頼を受けて探し出そうとする一色リナは、レイプされるAVが公になった後、自殺のシーンを盛り込んだAVを最後に姿を消し、生存さえ危ぶまれる状況となる。

    ミロの探偵としての調査は限りなく難しく、裏社会にも通じているAV社会に足を踏み入れ、幾度も危ない橋を渡らなければならなかった。
    AVの販売会社の社長やプロデューサーなどから辱めを受けそうになったり、隣に住む同性愛者の男性が心を許し合える友となってミロに協力をしてくれたり、元探偵だったミロの父親が援軍として北海道から出向いてくれたりして、難しい調査が進められて行く。
    調査中、ミロの配慮が足らなかったことから、依頼者の渡辺が死亡してしまう。
    そして苦労の末に、一色リナの隠された生誕の事実を掴むことになる。

    それにしても桐野夏生女史が描く女性たちは常に強いの一言だ。
    社会的に弱い立場の女性たちが、辛酸を舐めながらも何とか前へ進む姿勢が綴られている。
    この村野ミロシリーズは、番外編を含めてあと4篇が上梓されている。
    まだまだ楽しめる読書が続く。

  • 桐野夏生さんの本は大好きで全部追いかけて読んでいるが内容を忘れてしまっていた。でもこの話は上位に入るくらい好きな話だったのを思い出した。
    細切れに読んでもすぐにちょっと前が思い出せる感じ、食事中も続きが気になって、誰もいないお昼についに読みながらご飯を食べる始末。それくらいやめられなかった。
    AVの作品は生まれてこの方見たことがない。でもどんなものかはもちろん知っているけれど笑笑
    いろんなジャンルがあるのもなんとなくわかるけれど、本当にレイプがあったのかなかったのか、それは見極め難しいんだろうな、と思う。最初から演技としてと演者に伝えているより、知らない方がリアリティを追求できるのか。
    何にせよ、18歳以上で見ることができてしまうものは現実とは別にして考えてほしいと女性の立場からは思う。不思議なことに禁止されたシュチュエーションのものがとても多く、さらにそれが多いと言うことは人気があると言うことか。私としては胸糞。
    ミロはこの二作、めんどくさくなりそうな人と関係を持ってしまうが、それも癖なんじゃないかなと思った。学生の時もいた、人の彼氏ばっかりとる人。
    そう言う癖なんだと思ってみてた。
    ミロのシリーズ全部読んだはずだけど、次も読んでみる。

  • 駆け出しの探偵ミロに魅力を感じず、そそられない設定に引っ掛かりながらも読む手が止まらない。後半、真相が明らかになる場面は圧巻。何度も頁を戻りながら読み進めていた苦労を完全に振り払ってくれる納得の結末。

  • 私のミステリーの系譜で社会派推理小説というと松本清張氏の作品を思い浮かべる。

    私は氏の作品を殆ど読んでいる。
    特に短編は涙ぐむ、いい作品がある。社会の隅々で忘れられたような人々のことどもを網羅した独特の雰囲気がぐっとくる。

    しかし、長編(もうミステリと呼べないようなのもあるけど)ではえっ、というような違和感があるのだ。
    よく言われているように女性象が今一つピンとこないのだ。昔そう思ったのだから、今ならなおさら。

    そこで、桐野夏生さんのこの作品。女性にとって等身大のミステリ物語。
    私たちが気が付かないわけにはいかない、社会の影の部分をあばいて。
    レンタルビデオ店、アダルトビデオ、AV女優、ホストクラブ、新宿の街、等々と言葉だけあげても感じる。うごめいている都会ひそむ悪。

    複雑であっと驚くストーリー展開もいいけれど。私にとっては「ローズ・ガーデン」の不思議なミロの世界の伏せんが浮かんでくるのが魅力的だ。

    あこがれのスーパーヒロインとのみ描かれていない、失敗もあえてし、弱さも見せる「村野ミロ」のキャラクターが好もしい。

    仕事、恋愛、生き方を男と同じように模索している、こんな当たり前のこと、いまさら、っていってもやっとここ10年と思う。

    桐野夏生さんのさまざまな女性象のあぶりだしに満足している。
    また、さりげない表現の部分が気にいっている。例えば

    『絶え間ない変化が、心の芯を痺れさせ、肝心のことを忘れさてくれる。』

    『彼は異端を生きるために、すべて冗談で武装する癖がついているのだ。』

    「OUT」とこれおすすめ。でも全部かな。次が楽しみだ。

  • アダルトビデオでレイプされた女性を探すところからスタートするミステリー。
    桐野夏生さんの著作はあまり読んだことが無かったが、限られた文字数で構成も非常に練られている。終盤の謎解きについてもバランスが秀逸であり、テンポ良く読み進められた。どうやらシリーズものの2作目らしく、機会があれば1作目も手に取ってみたい。

  • シリーズ制覇したいと思う。一気に読めた。

  • ミロシリーズ2作目。
    序盤から激しい飛ばし方で、圧倒されました。
    ミロの不完全なメンタルで揺れ動く様が印象的。
    不安定だからこそ人間らしさもあり、言動は予測不可能なので、つい入り込んで読みました。
    でもちょっと長すぎなのと、本のあらすじはちょっと深掘りし過ぎな気もする……
    薄い伏線たちが段々濃くなり、更に絡み合う感じはすごく好き。
    読んだ後疲れがどっと来たのも事実。
    それでも好きなので、シリーズや桐野夏生作品はまた読みたいと思います。

  • 村野ミロシリーズ2作目。
    前作もそうだけど、新宿2丁目の雰囲気やミロや周りの人達がすごく魅力的に描かれている。
    このシリーズかなり好きかも。

  • タイトルに惹かれて借りたもの。読んでいる途中で、「これもしかしてシリーズものかな」と思ったけど、読み始めてしまったら途中でやめるのも嫌だから読了。後書きでシリーズの2作目だと知って、やっぱり、って気持ちと、前が1作だけならそっちを先に読めばよかったな〜先に調べればよかったな〜、という後悔。すごく好き、という訳でもないんだけど、一作目も読んでみたいとは思った。

  • 前作に続き、危なっかしいなと思って読んでいたら。一線を超えてしまった。。。やれやれ。。。次作が楽しみ。

  • AVに出演後に失踪した女性の捜索を依頼された探偵が、業界の裏側に踏み込むうちに自身も翻弄されていく、ミロシリーズ第2弾。

    単行本として出版されたのは、1994年。今でこそ女性の弱みに付け込んだ悪質な商売は問題視されるようになったが、当時は際どい部分に社会問題として先駆者的に斬り込んだ作品だった。
    再読になるが、ミロシリーズの魅力は、探偵としても女性としても、ミロが完璧ではないところだと思う。むしろ、本能の赴くままに行動し、失敗して迷走してそれでも挫けずに突き進んでいくクールな強さがいい。

  • おもしろい。消えたAV女優を、女探偵がさがす。1994年作で、携帯電話のない人探しぶりが逆に新鮮だ。

  • なんで最後あの人はおの人のかっこしてウロウロしてたんだろ?それだけよくわからなかったなぁ。

  • この作品を初めて読んだのは、
    もう、二十年以上も前のことだ。

    読んだことは覚えていたが、
    内容は…、まったく…。

    ふと、読んでみようという気になったのは、
    ちょっと前に、芦原すなおさんの
    「雪のマズルカ」という女探偵の物語を
    再読したから。

    その主人公、笹野里子は、実にカッコよかった。

    このミロという女探偵は、どちらかというと、
    カッコよくない。

    迷うし、悩むし、失敗するし…。

    だが、転んで、泥だらけになりながらも、
    逃げないし、あきらめない。

    そこが、カッコよいといえば、そうだ。

    異性愛、同性愛、そして、トモさんとの
    隣人愛。
    殺人、レイプ、自殺、裏ビデオ…、

    ドロドロしたものがてんこ盛りの世界で、
    あがく女探偵。

    実に、ハードボイルドだ。

  • 新装版の解説が正鵠を射ており、良かった。

  •  1994年刊。『顔に降りかかる雨』(1993)に続く、桐野夏生さん初期の女探偵ミロ・シリーズの2作目に当たる。
     やはり、面白かった。やはり現代のエンタメ系文学は非常にスイスイ読めるし、物語の展開にはまって先へ先へと駆り立てられる。
     本作でミロは、むしろ敵側と思われるようなダ男性に性的に惹き付けられて寝てしまい、それが原因となって失敗を招くなど、「アラアラ」と悔しくなるような弱さを露呈しており、それもあって、非常にリアルでなまなましい女性像を確立している。
     ミロが探し求める女性リナも、極めて不幸な幼少期を送って情緒面で発達障害的になってしまった人間として、後半リアルに描き出される。
     その一方で、矢代のような男性は奇妙にデフォルメされ、リアルさを欠いているように見える。桐野さんはリアルな男性心理を書けないわけではないので、どうやら、女性にとって強い性的対象となった男性は、その欲望のためにファンタジックな、戯画化されたイメージになってしまうようなのだ。この点、我々男性も性的対象として女性を見ると妙に都合良く戯画化して捉えようとしてしまうことと同じなのかもしれない。欲望の地平に開かれる<神話>的シンボル化、ということなのだろうか。
     全体に面白く読めて満足感を得られる小説だった。このシリーズはこの後短編集が1冊あって、その後最後の作品である長編『ダーク』が来るようだが、どうもこの最終巻は、読者にとってショッキングなまでにミロが変転してしまうらしく、読むのがちょっと怖いような、楽しみなような気がしている。

  • 2022.04.03 読了。

    村野ミロシリーズ二作目。

    AVに出ていた娘を探す話。
    内容的に映像化できなそう。
    前作もそうなんだけれど、
    全体的に暗い雰囲気。

    村野ミロは何故敵みたいなイケメンと性交しちゃうわけ?
    そのへんが解せない。
    女性からすると現実的なの?
    謎。

    思っているよりスタイリッシュじゃないところが桐野夏生氏らしさなのかな。
    個人的にはもう少し格好良くてもいいと思った。
    というか、トモさんともっと深まって欲しい。

  • やっぱりだいすき!ミロシリーズ!
    物語が進んでいくテンポがとても好み。主人公のミロの目線で、いろんな事象のちょっとした違和感とか着眼できるストーリーの組み立て方もほんとうに素晴らしい。親切なんだけど、絶妙に読者(少なくともわたしには)には謎解きしきれないから、クライマックスには毎度驚かされる。
    1stシリーズの「顔に降りかかる雨」の時からだけど、登場人物の服装や身だしなみに言及することが多くて、その人となりを想像するのに有効だと思うし、時間の経過とかも感じられるからすごく効果的だと思う。そして個人的にファッションに興味あるから嬉しい。笑 著者もそうなのかな?
    欲を言えば最後、トモさんにもう一度出てきてミロに寄り添う描写があって欲しかったけど、そうしなかったのも著者の意図があるんだろうな。
    次のシリーズも積読になっているので、早く読みたてうずうずしてます。

    個人的に、新装版の解説をされているのが柚木麻子さんなのもうれしかった。

  • 3.5

  • 読んだのは2度目です。
    主人公のミロ、好きです。女探偵とか女刑事とかっていうと、“カッコイイ”人物像に描かれがちですが、ミロは庶民的というか、にんげん臭いというか… 男に惚れっぽくて失敗もするけど、そこからの巻き返しが読んでいて痛快です。
    失踪したAV嬢を探すという内容ですが、単純ではなく、次から次へと壁にぶち当たり、そして乗り越えていくので、楽しく読めました。
    また、ミロや登場人物のセリフから、男とは、女とは、人間とはの新たな解釈が読み取れました。

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著者プロフィール

1951年生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞を受賞。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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