Aではない君と (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 123
  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062937146

作品紹介・あらすじ

第37回吉川文学新人賞受賞作

*選考委員のコメントより

伊集院静氏
思わず唸った。
薬丸岳という小説家の力量と才能に頭が下がった。

大沢在昌氏
より道のないまっすぐな物語は、最後まで密度を失わず、
重く暗い話でありながら、目をそらすことを許さない。
名状しがたい感動を私は味わった。

京極夏彦氏
提起された問題は読み手のい許に届き、
読者それぞれが「つけられない結末」を共有できる。

恩田陸氏
もし自分が主人公の立場に立ったら、と
胸が痛くなるような心地でハラハラしながら読んだ。

感想・レビュー・書評

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  • 同級生の殺人容疑で十四歳の息子・翼が逮捕された。

    誰もが加害者にも被害者にもなる可能性を持っている。
    そして、加害者の親にも、被害者の親にも…。

    どうすればよかったのかではなく、これからどうすればいいのか、何をしなければならないのかを考えながら生きていくしかない。
    薬丸さんは、胸の痛くなる答えの出ない話を書くのが上手い。

    よほどのことがあったとしても、人を殺していい理由にはならない。だけど、
    「心とからだと、どっちを殺したほうが悪いの?」
    もし子供にそう問われたら?吉永は最後に答えを出した。私は…まだ出てない。

    ドラマも見ました。原作に忠実でよかった。
    吉永が原作より少し弱くて、その分神崎先生の言葉が響いた。

    私の棒読みじゃなく、仲村トオルの心から出てくる叫びを聞いて、あぁ、藤井さんも愛していたんだなって震えた。

    愛って伝わりにくい。特に親子は…。

    「性格や価値観が同じ人間などいないと思いますが」言い訳の隙を与えない許さない瀬戸さんが好き。

    電子書籍を2台買ってふたりで本を共有する。
    お互いそれぞれ好きな本を買う。色んなジャンルの本が電子書籍の本棚に並ぶ。
    いつもなら読まない本を読む。
    相手の事が少しわかったような気になる。
    私も娘とやってみたい。

  • 薬丸岳『Aではない君と』講談社文庫。

    確かに途中、胸を打たれる展開もあったが、読後は暗澹たる気持ちになった。そういう意味では初めて薬丸岳に裏切られたように思う。決して、面白くなかったのではなく、余りにも終盤の展開が重過ぎて、打ちのめされてしまったのだ。どうして、薬丸岳はこうした難しいテーマを題材にしても真っ向勝負で納得のゆく決着を描けるのだろうか…本当に凄い作家だと思う。

    同級生の殺人容疑で14歳の息子・翼が逮捕される。両親や弁護士の問いにも頑なに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話していた…果たして真実は…

  • 重い。非常に重い。雫井さんの望みとは違い、確実に罪を犯してしまった子供の親の心情を丁寧に書いている。息がつまるほど。実に読み応えがあった。
    いじめの加害者、被害者、誰にでもなりそうで、子供との会話は、仕事をしている私としては、自信がなくなってくるなあ。
    最後の方は、母親も登場させて欲しかったなあ。
    親も子もどの読者層にも読んでほしいなあ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    あの晩、あの電話に出ていたら。同級生の殺人容疑で十四歳の息子・翼が逮捕された。親や弁護士の問いに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話をかけていた。真相は語られないまま、親子は少年審判の日を迎えるが。少年犯罪に向き合ってきた著者の一つの到達点にして真摯な眼差しが胸を打つ吉川文学新人賞受賞作。

    先日のゴルゴタやジャッジメントの復讐劇とは真逆の加害者の少年側から描いた視点の物語です。ところがこちらは加害者の少年に感情を移入しながら読む本の為、この前抱いた加害者を厳しく断罪する事を望む自分の心の矛盾を心苦しく感じながら読む事になりました。何故そこに至ったのか薄皮を剥ぐように詳らかにされていくに従い、加害者の側に立っている自分を感じました。
    どんな事が有っても人の命を奪う事はいけない事ですが、彼の「体を殺す事と心を殺すことはどちらが罪深いのか」という問い掛けが胸に刺さりました。自分の中では人の尊厳を著しく傷つける事は、その人間が持つ根源的な悪の萌芽ではないかと思っており、子供であってもいじめを積極的にする人間に対しては殺人者を見るような視点を僕は持っています。なので今回は加害者の少年に感情移入しました。
    そんな中で父と加害者少年の擦れ違いからの歩み寄りがこの話の最も核になる部分であり、何故命を奪ったことが悪かったのかを少年が理解する事、自分以外の人間にも大事に思い無事を祈っている人間がいて、それを奪う権利は何人にも無い事を理解する事でした。
    結論は読み手の心の中にあって、この先の物語は、許されない罪を犯した人々が十字架を背負っていくべき道の入口を、指し示した本であり、ゴール地点ではありませんでした。
    読んだ人と色々語り合いたい本でした。

  • 親になり、少年犯罪への見方が変わった。
    前は被害者ばかりに意識がいっていたが、加害者側に回ることもあるのだと、本書を読んで再確認。

    子育てに正解はないと言う。
    そして今子供に接している態度や環境、教育などが
    正しいのか、間違っているのか、答えはすぐには出ない。
    恐ろしい。考えてみると本当に怖い。

    傍観している立場から見れば、『もっとこうすれば良いのに』といとも簡単に答えは出るのに、
    実際に子育てしてみて、何が正しいのか私は良く解っていない。難しい。

    人の命を何故奪ってはいけないのか、これに理屈はいらない気がする。
    どちらの立場になっても、淋しすぎるし辛すぎる。

    あぁ、久々に心をえぐられた作品でした。

  • あの晩、あの電話に出ていたら。同級生の殺人容疑で十四歳の息子・翼が逮捕された。親や弁護士の問いに口を閉ざす翼は事件の直前、父親に電話をかけていた。真相は語られないまま、親子は少年審判の日を迎えるが。少年犯罪に向き合ってきた著者の一つの到達点にして真摯な眼差しが胸を打つ吉川文学新人賞受賞作。

  • これは罪を犯した少年の父親が主人公、フィクションでこの設定は読む方も難しい。子供は時に残酷だけれど、それは時に大人の責任逃れの為の言い訳なのかもしれない。

    そして、単行本化に伴い加筆された第三章。この第三章があることでよりこの本の内容を重くしているし、本の価値を上げている。

    それと、本著の感想って訳ではないのですが、、、
    薬丸さんはとにかく人間という生き物の描き方が凄まじく上手いな...初めて感じる人間としての欲を自分の決して消えない過去の為に抑え込み、他人に迷惑をかけてはならないと、他人から避けられることを選ぶしかない人達の描写が素晴らし過ぎやしませんか。

  • 思春期の時期、特に中学生になると誰しもが通る問題だと思う。
    小学校の時にはなかったいじめが大人も驚くようなくらいにえぐく、むごいものになる。
    この時期には、学校が彼らにとってのすべての生活であり、学校から取り残され、受け入れてもらえないことから、どうにかしようともがく。それが、例え殺人をしようとも....

    生活水準が上がっていくとともに、私たち一人一人の自由を求めていく。ある夫婦は死ぬまで寄り添え、もちろんそこにはなんらかの理由で寄り添えなくなってくる夫婦もいる。でも、どちらの親にしても子供を第一に考えることの大切さは一番必要だなと思った。日本では、ほとんどの家族では離婚したら親権は女親のほうになり、男親は離婚すると定期的に会う回数も減ってくるときく。
    こういうストーリーを見ると、アメリカのように法律で親権はどちらも持つことや定期的に会うこと、週末はこっち平日はこっちとなるようなことを具体的に法律できめてしまうことも大切なのかとも思う。そうすることにおいて、男親、女親、双方に責任感を持たせることもできるのではないかと思った。
    日本はまだまだ、子供の人権においては信じられないくらいの後進国であることを知らしめてくれた本だとも思う。



  • 加害者側家族視点の物語を読んだのは初めてでした。
    少年のやったことは許されることではないのに、同情してしまう自分もいて。
    父親の立場も辛かったです。

    当たり前のように報道される悲惨な事件をみていますが、ニュースの画面の被害者、加害者 だけじゃわからないことってきっとたくさんあるんだろうなと思います。

    誰にでも起こり得ることかもしれなくて、でも何があっても死んでしまった者は戻ってはこなくて、それはわかっていてもこの少年が自分の力で生きていける未来はあってほしいなと願ってしまいます。

  • この重く難しい内容を一気に読ませるのは さすが。
    読む前は いまはこんな暗くて重い話を読む気分じゃないんだけどと ためらいながら手に取ったのに あっという間に引き込まれて すごい勢いで読了。
    本を読む前に テレビドラマを見て わりと早々に途中で断念したので 正直本を読むのも あまり気が進まなかった。
    でも 借りた本だし いつまでも放っておけないし やや渋々読み始めたのに。
    こんなことなら ドラマ途中でやめないで もっとちゃんと最後まで見ればよかったなぁ。ドラマは キャストがよかったし 薬丸岳の原作だしで 期待値が高すぎたのかも。それか あのあと急激に面白くなってたのかもしれないし。
    こういう話は終わり方が難しいと思うけど こんなにスッとしっくりくる終わり方はさすが。どんな終わり方をしても なにがしかの違和感はあるものだけど これに限ってはなかった。
    もし第2章で終わってたら なんだかなぁだったと思うけど 第3章があることで すごく現実味が増して すんなり受け入れられた。
    最近自分の中で余裕がないせいか 重い話や長いストーリーには手が伸びず 軽く読める短編やエッセイばかり読んでいて
    こういう重い話や長いストーリーは 誰かから借りて 致し方なく読むって感じになってた。それも なかなか進まずって感じで。ひさびさに長編を一気読みした。この本も手に取ってストーリーは確認してたけど いまはあまり…と棚に戻してたから 借りなかったら 読んでなかったかも。読んでよかった。尾崎さん ありがとう 笑。

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著者プロフィール

薬丸 岳(やくまる がく)
1969年生まれ、兵庫県明石市出身。1988年、駒澤大学高等学校を卒業。高野和明の『13階段』の影響で小説家を目指し、2005年『天使のナイフ』が生まれる。同作で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。日本推理作家協会現会員。
2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞、2017年「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)をそれぞれ受賞。その他の代表作として「刑事・夏目信人シリーズ」があり、2018年2月にシリーズ最新作『刑事の怒り』が刊行されている。

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