流 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062937214

感想・レビュー・書評

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  • 第二次世界大戦後の台湾を描いた小説。
    主人公の祖父は戦地で大虐殺を行い、その記録がかかれた石碑を見る主人公から物語は始まる。

    そこから急に、主人公が高校生時代までさかのぼり、祖父が惨殺される。祖父を殺害した犯人は見つからず、その犯人を捜していくのが大筋の物語です。しかし、私は、気が付くのが遅かったため、前半はつまらなく感じました。
    前半は、主人公が、ヤクザな友達と付き合い堕落していく生活。替え玉受験が見つかり、進学校を退学になり、バカな高校に編入し、喧嘩の日々、大学受験にも失敗し…こういう人苦手…。
    途中から、幽霊の話が出てきたり、幼馴染との恋があったり、ヤクザとの対立で怖い思いをして、兵役に逃れて…
    祖父を殺害した犯人を推理していくうちに、誰だか気が付いて、本人に確認…胸も内やお互いの葛藤も…
    最終的にはハッピーエンド。

    後半の、犯人はそうきたか~というミステリー要素はとても面白かったです。

  • 青春小説なんて滅多に読まないけど、ふと手にした東山彰良の新刊が好みだったので2作目。

    やっぱり良かった。激動の時代。なのにどこかあっけらかんとしている。ノスタルジーを感じる。
    筋はどうしてこんな細かい面白不思議エピソードを思いつくんだろう?とびっくりなのだが、何より文章が好きなのです。文字を追っているだけで、読書行為そのものが気持ちいい。台湾の空気や喧騒、茹だるような暑さ、行ったことがないのに情景が浮かび、血肉が通った小説ってこういうことを言うのかと思う。立ち昇る生々しい手触りと虚構が入り混じって、ちょうど良い塩梅。

    人物もみな魅力的だった。石碑に自転車コキコキこいでやってくるじいちゃんとかマジで怖い。

    何回か出てくる魚の詩を象徴するような物語だ。自分の痛みに精一杯で他人の痛みになかなか気づけないし、そもそも大人になっても人の心なんて分からない。傷は見せようとしない。節操なく見せるものじゃない。
    秋生のその後の人生はどうなったのだろう…。

  • 中国語の名前が厄介だが、一応おもな登場人物が最初に記載されているので助けになった
    時代背景も見事に描かれて表現力も高く、ユーモアもたっぷり
    他の人に勧めたくなる

  • 1970~80年代の台湾を舞台にした大河的青春ミステリー小説。
    過去の異国が舞台のなじみのない話で、しかも相当な大部なので、読み進めるのが結構たいへんだったが、なかなか壮大な物語で、気持ちのいい読後感だった。台湾や大陸中国の描写にかなりリアリティがあり、土の匂いを感じた。

  • 祖父の死の謎や様々な伏線でリーダビリティを確保しつつ、超自然的な現象で展開コントロールした上で、歴史、国、血脈と「私」といった文学上のテーマをぶつけてくる。巧みだし面白かった。

  • 台湾が舞台なのに読みやすくてまあまあ面白かった。 でも人名には全て最後までルビ振って欲しい、混乱する。

  • 戦後の台湾を舞台にしており、歴史小説かと思いきや、主人公の秋生の成長を描いたジュヴナイル小説であるなと感じた。

    台湾と中国との関係の複雑さを効果的に用いられるのは、作者東山氏が、中国人の両親を持ち、台湾で生まれるというルーツを持っているからだろう。

  • 面白かった。
    名前の読み方を覚えるのが大変だったけど、後半には何となく漢字から読み方がわかるように。
    ユーモラスな展開もあって、この表現好き!と思えるところが沢山ありました。

  • 初めて読んだ作家。直木賞の選評で絶賛されていたから。
    最初中国名がなかなか手強くて、ページが進まなかったんだけど、中盤からぐいぐいと面白くなっていった。
    祖父殺しの犯人探しという大きな話しの中に、主人公の青春時代の恋やけんかや兵役があり、家族の騒々しい生活がごったまぜになって、でもその背景には大陸と台湾と日本の歴史の大きなうねりのようなものが感じられる。んだけど、やはり細部がとてもいきいきと鮮やかで、映画的というか。台湾の湿度とか夜市の猥雑な感じとか思い出した。
    とても贅沢なものを読んだなあという読後感。

  • 一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で? 無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。

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著者プロフィール

1968年台湾台北市生まれ。9歳の時に家族で福岡県に移住。 2003年第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞受賞の長編を改題した『逃亡作法TURD ON THE RUN』で、作家としてデビュー。 09年『路傍』で第11回大藪春彦賞を、15年『流』で第153回直木賞を、16年『罪の終わり』で中央公論文芸賞を受賞。 17年から18年にかけて『僕が殺した人と僕を殺した人』で第34回織田作之助賞、第69回読売文学賞、第3回渡辺淳一文学賞を受賞する。『Turn! Turn! Turn!』『夜汐』『越境』『小さな場所』『どの口が愛を語るんだ』『怪物』など著書多数。訳書に、『ブラック・デトロイト』(ドナルド・ゴインズ著)がある。

「2023年 『わたしはわたしで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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