献灯使 (講談社文庫)

著者 : 多和田葉子
  • 講談社 (2017年8月9日発売)
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  • レビュー :4
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062937283

作品紹介・あらすじ

大災厄に見舞われ、外来語も自動車もインターネットもなくなり鎖国状態の日本。老人は百歳を過ぎても健康だが子どもは学校に通う体力もない。義郎は身体が弱い曾孫の無名が心配でならない。無名は「献灯使」として日本から旅立つ運命に。
大きな反響を呼んだ表題作のほか、震災後文学の頂点とも言える全5編を収録。

献灯使 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • デストピア文学の傑作、待望の文庫化!
    大災厄に見舞われ鎖国状態の日本。老人は百歳を過ぎても健康で子どもは学校に通う体力もない。身体が弱い曾孫の無名は「献灯使」として日本から旅立つ運命に。話題を呼んだ表題作など近未来小説5編を収録。

  • 大災厄に見舞われた日本。政府は鎖国を宣言してのち、国際社会から姿を消した。技術が後退し、外来語の使用も憚られるようになったこの国で、つましく暮らす老人義郎とその孫の無名。不死を得た義郎は、翻って日に日に衰えていく無名を見つめながら、過去と未来に想いを馳せるのだった。舞台を共有する5つの短編からなる本作。一番長い表題作はお爺さんと幼い孫、という誰もが微笑む構図であるものの、そこに隠された悲劇に胸が締め付けられてしまう。ただ、明らかに3.11をモチーフにしているこの話、自分が福島在住、且つ年若い子供がいたとしたら、決して書けなかっただろうと思う。どこまでも他人事、他人事で。そういう意味でも哀しくて切ない気持ちになりながら読みました。しっとり幻惑的な文章は非常に好みなので、筆者の他の作品も手にとってみようと思う。

  • 表題作と、その前日譚とも読める短編3作、後日譚とも読める戯曲1作の収録。表題作がとても好きだった。汚染され鎖国した近未来日本が舞台ということもあり今までの多和田葉子と少しテイストが違っていたけれど、その独特のディストピアの在り方はやはり多和田葉子らしい。

    過激な言葉狩りや言論統制が行われているわけではないのに、やんわりと変化していく言語。外来語は敬遠され、日本語もまた本来の意味からどんどん乖離していく。未来なのに生活レベルは退行し、老人は不老不死で子供は虚弱という皮肉。少子高齢化、震災後の未来、思いやりという名の極端なクレームなど現代社会の不穏さを反映してるのだろうなと思う部分はあるけれど、全体的にふんわりしていて、押しつけがましくないところが好きだった。

    反面、前日譚となる「不死の島」や「彼岸」では、割合はっきり原発全部止めろ、原発なんか稼働させてるからこんな酷いことになるみたいな話が出てきて、そういう部分はちょっと苦手。あくまで「献灯使」の世界観の補足として読んだ。その点「韋駄天どこまでも」は震災を扱っていながらも漢字を分解した言葉遊びの要素があったり、二人の女性がひたすら手を繋いで駆けてゆく疾走感等が心地よくて良かった。

    「動物たちのバベル」は戯曲で、人類滅亡後、イヌ、ネコ、リス、クマ、キツネらが会話する。それぞれの言い分に動物の個性が出ていて面白かった。やっぱりイヌが一番人間贔屓なんですね。

    ※収録作品
    献灯使/韋駄天どこまでも/不死の島/彼岸/動物たちのバベル

  • 2014年刊行の単行本を文庫化。
    『群像』掲載時に大半を読んでいたので、結果的に再読になった。
    収録作の中では『韋駄天どこまでも』が一番好きだ。

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