- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062938020
作品紹介・あらすじ
大手人材派遣会社社長の娘を誘拐せよ。
〔派遣時給400円〕負け犬たち、崖っぷちの逆襲!
大手人材派遣会社社長・原沢は、弱者を社会のゴミ呼ばわりする発言が反感を買っていた。生活困窮者自立を支援するジョブトレーナーの沖田は就労生たちを金で誘い原沢の娘を誘拐するが、釈放の条件はむしろ原沢を困惑させる。社会の底辺からのリベンジは果たして成功するか? 書下ろしノンストップ・ミステリ。
柳瀬 真:大学院卒業後、社会に溶け込めずすぐに引きこもる。爆弾作りが趣味。
沖田郁男:生活困窮者支援のジョブトレーナー。誘拐を計画し柳瀬たちを誘う。
稲垣一星:ミュージシャン志望の金髪男。DVを受けて育つ。
上野美咲:AV出演までして、尽くした男に騙されたリストカッター。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
どんどんと展開していく誘拐劇には圧倒されて、読むのが止まらなかった。その分、結末はこれでよかったのか…と思わざるを得ない。
権力者は何かを失わない限り、弱者の気持ちを理解することはできないのだろうか。
人の命の価値に差などない。いや、本当はあるのかもしれないが、それでも無いと声を上げていかなければならないのではないか。
そうしなければまた次の柳瀬、沖田達を産むことになる。 -
格差社会がテーマ。強者の論理、ノブリス・オブリージュ。持てる者と持たざる者の戦い。自己責任。競争社会が生み出した社会問題を鋭く抉る。鳩尾が痛くなる展開...。本音と建前を赤裸々にした本書は、読後感が不快になること間違いない。このモヤモヤの共有が現代社会に必要なのではないだろうか。
-
社会の底辺と言われる沖田たち4人、彼らが計画した誘拐計画とは?
生活困窮者の自立を支援するジョブトレーナー・沖田は、仲間3人とともに、過激な発言で注目される富豪の原沢の娘・詠(えい)を誘拐する。
しかし、その要求する身代金は、なんと『400円』...
なぜ、そんな金額を?
そして、一旦、誘拐が上手くいったように見えたが、更なる裏があった。なんと...
やがて、沖田の遺志を継いだ柳瀬が、第2の誘拐計画を実行する。その内容は?
二転三転するストーリーに、はらはらドキドキします。
あまり、謎解きの要素は少ないですが、最後は切ないですね。
本当に、人は変われるのだろうか?
-
大門剛明『反撃のスイッチ』講談社文庫。
文庫書き下ろしの社会派ミステリー。身代金400円の誘拐とはなかなか面白いと思ったのだが、結局は…
社会的弱者に対する差別発言を繰り返し、彼らを僅か100円の時給で働かせる大手人材派遣会社社長。そんな社長への復讐のためか、4人の生活困窮者が社長の娘を誘拐する。
大門剛明作品としては非常に物足りない結末だった。弱者は弱者のままに…結局は何も変わらず。 -
興味深いテーマだが,何となく中途半端。闇を描くならもっと真に迫ってほしい。
あらすじ(背表紙より)
大手人材派遣会社社長・原沢は、弱者を社会のゴミ呼ばわりする発言が反感を買っていた。生活困窮者の自立を支援するジョブトレーナーの沖田は就労生たちを金で誘い原沢の娘を誘拐するが、釈放の条件はむしろ原沢を困惑させる。社会の底辺からの掟破りのリベンジは、果たして成功するか? -
時給四〇〇円の貧者たち、崖っぷちの逆襲! 大手人材派遣会社社長が繰り返す弱者差別の発言に反感を持つ四人組は社長の娘を誘拐するが、釈放の条件はとんでもないものだった。社会の底辺からのリベンジは成功するか?書下ろしノンストップ・ミステリ。
-
食品会社工場で働く柳瀬真は、社会の崖っぷちで働く日々に嫌気がさしていた。そんな中、同じグループのジョブトレーナー・沖田から、大手人材派遣会社・レヴィナスの社長・原沢知彦の娘を誘拐する計画をもちかけられる。
身代金がたった400円、そして中盤で被害者から買収、誘拐計画者他多数が死亡という、先が読めない誘拐劇はそれなりに楽しめた。が、そもそも謝罪のシーンをネット中継していればよかったのにとか、警察が無能すぎるとか、気になるところも少々。原島の奥さんの人物像もブレてないかなぁ。 -
展開に引き込まれ一気読み。
敵として描かれている権力者が弱者を下に見て、とにかく馬鹿にしている。
腹のたつ奴だが、口は上手くここぞというときの嗅覚がすごい。
だてに一代で会社を急成長させてないなと感じる。
主人公はどうしようもないクズだが、誘惑に踊らされるところが人間味あって良い。
あと、中国人女性とのやり取りがほっこりして良い。
窮地に追い込まれ、覚悟を決めた主人公には期待してしまう。 -
2020.8.14-318