叛徒 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062938341

作品紹介・あらすじ

一度目は正義のためだった。
二度目は愛する息子のため――。
僕は正真正銘の“裏切り者になった!

通訳捜査官の七崎隆一は、正義感から同職の義父の不正を告発、自殺に追い込んだことで、職場でも家庭でも居場所がない。歌舞伎町での殺人事件の捜査直後、息子の部屋で血まみれの衣服を発見した七崎は、息子が犯人である可能性に戦慄し、孤独な捜査を始めるが……。

累計10万部突破
『闇に香る嘘』がブレイク中の著者がおくる、
“正義のあり方”を問う警察ミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 警視庁の通訳捜査官の七崎 隆一。
    過去に、同じ職にあった義理の父の不正を告発し、そのせいで、義父は自殺。
    そこから、家庭も職場も、針の筵となった。

    歌舞伎町で起こった中国人の刺殺事件。
    その直後、息子の部屋で隠していた血だらけのジャンパーを発見する。
    もしかして、息子は、事件と関係しているのか?

    息子を守るため、独自に捜査を始める。
    職場で、わざと通訳内容(中国語)を変えたり、捜査方針を変えたり。
    気が付けば、やっていることは、義理の父と同じことでは?

    最後にどんでん返しがありますが、更に、もう一枚のどんでん返しも...凄いですね。

    正義の在り方を問うミステリーです。
    必読の一冊ですね。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    通訳捜査官の七崎隆一は、正義感から同職の義父の不正を告発、自殺に追い込んだことで、職場でも家庭でも居場所がない。歌舞伎町での殺人事件の捜査直後、息子の部屋で血まみれの衣服を発見した七崎は、息子が犯人である可能性に戦慄し、孤独な捜査を始めるが…。“正義”のあり方を問う警察ミステリー。

    友情は大事かもしれないが、命はもっと大事だと思う。

  • 超ハラハラした。危ない橋渡りすぎ。気になって読む手が止まらない。

    「刑事の慟哭」を先に読んでいたので、田丸刑事の言動はよーく理解できた。が、もし先に読んでいなかったら田丸刑事に対して途中までどう思っただろう…「刑事の慟哭」の記憶を失くして読んでみたい。
    相棒は出てこないのか…

    義父の不正のあとに2人で話し合う機会はなかったのだろうか。話し合っても本当のこと言わない気もするけど、密告の前に何かできたのではと思ってしまう。

    訳さんの意味をずっと勘違いしたまま読んでた。読了後に気づいた汗

  • 下村敦史『叛徒』講談社文庫。

    やはり下村敦史は巧みで、面白い。通訳捜査官という異色の警察官を主人公にした警察ミステリー小説である。ミステリーと同時に進行する家族の物語も非常に良い。

    通訳捜査官の七崎隆一は同職の義父の不正を告発し、自殺に追い込んだことから、職場でも家庭でも居場所を失う。歌舞伎町で起きた殺人事件の捜査直後に、息子の部屋で血まみれの衣服を発見した七崎は目撃情報と併せ、息子が犯人である可能性に戦慄し、単身捜査を始める…

    組織に属するが故の正義と組織の存続というジレンマ。そこに大切な家族が絡んだ時、如何に行動するのが、正しいのか…

    “裏切り”の黒いミステリー

  • 七崎が道を踏み外すたびにため息が出た。彼がけじめをつけるのを見届けるために読み続けた。終わり方はよし。

  • 「中国」「嘘」というキーワードが、以前読んだ「闇に香る嘘」を連想させる作品。「闇に香る嘘」が個人的に傑作だったので、本作にもかなり期待を抱いて読み始めたのですが……

    主人公の七崎が担当する事件に関係しているかもしれない息子のために、中国人容疑者の発言をわざと誤訳する(嘘をつく)のですが、これが原因で全く彼に共感できませんでした。言い訳めいた心情が描かれるたびに、私の心が作品から離れて行くようで、終盤まではいまひとつのめりこめず。

    七崎とは真逆に共感したのは田丸刑事。オミヤと揶揄されながらも、そんな周囲の偏見の目を利用して事件解決にリードして行く。哀愁漂うその刑事人生に同情してしまったのかも。

    そんな田丸刑事の真の姿(?)が明らかになり、入国警備官の黒河内の胡散臭さが漂い始め、事件の被害者の周志明と七崎の息子の関わりが見えてくる終盤から、ようやく作品に引き込まれていきました。

    事の結末はおよそ予想のつく内容でしたが、すべてが丸く収まるので読了感はスッキリとしたものに。読む前の期待感が大きすぎたので、パーフェクトに満足はできていないのですが、概ね悪くないなという印象の作品でした。

  • 警察通訳官のお話。
    途中まどろっこしい展開が続く。最後に義父の自殺に絡んだエピソードが展開されるが、時既に遅し!だいぶ飽きてしまっていた。
    テンポ良く、スリル感を味わえる小説が読みたい。

  • 下村作品4作目。
    今年に入ってからは3作目です。

    中国語の通訳捜査官である七崎は、かつて意図的に誤訳をし冤罪を生んだ同じ職に就く義父を告発した過去を持つ。
    義父は自殺し、以降署内では身内を売ったとされ、家庭でも居場所を喪った。
    ある日、歌舞伎町で殺人事件が起き、第一発見者の通訳を担当する。
    その直後、妻から息子の不登校と家に戻らないことを聞かされた七崎は息子の部屋で中国人狩りをしていたらしい形跡と、血まみれの衣服を発見する。
    息子が事件に関わっている可能性を危惧した七崎は、かつての義父と同様に誤訳をすることで息子を操作対象から逸らし、個人的に事件の真相を暴こうとするー。

    下村氏の作品は、日本だけでも数多くあるミステリーや警察小説ジャンルに属しながらも、新鮮な視点で書かれているため、このジャンルの作品を相当数読んだと自負する私でも既視感なく読めるという魅力があります。

    本作も、少年犯罪、身内の犯行疑惑、警察の不正、中国人犯罪など、一見すると巷に溢れているテーマを扱っているようで読んでみると新しさがあります。

    「闇に香る嘘」以来、久しく読んでいなかった作家さんですが、今年再会できてよかったです。
    他の作品も読んでみたいし、今後にも期待できます。

    本作にちょっとケチをつけるなら、最後がキレイにまとまりすぎてるかなぁと。
    そんなことする家族、いないでしょう、と笑。

    2020年49冊目。

  • 己の正義を曲げてでも、犯さなければいけない罪なんてあるだろうか。
    立場によって、正しさも異なる。
    分かっていても胸が苦しい。
    息子の疑惑を晴らすため、通訳捜査官という立場を利用して秘密裏に捜査する七崎。
    彼の言動が危なっかしすぎて、終始ハラハラさせられた。
    まあそれが面白いのだけど。

  • スピード感のある傑作。解説を見ると乱歩賞後第1作とのこと。

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著者プロフィール

1981年、京都府生まれ。2014年に『闇に香る噓』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。著書に『生還者』『難民調査官』『真実の檻』『失踪者』『告白の余白』『緑の窓口 樹木トラブル解決します』『サハラの薔薇』『法の雨』『黙過』『同姓同名』『ヴィクトリアン・ホテル』『悲願花』『白医』『刑事の慟哭』『アルテミスの涙』『絶声』『情熱の砂を踏む女』『コープス・ハント』『ロスト・スピーシーズ』などがある。

「2023年 『ガウディの遺言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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